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巷溢れるクソ綺麗事よりも、遥かに見る人を勇気づける裸の心のライム。映画レビュー「SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」

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入江悠監督の人気インデペンデント映画シリーズ「サイタマノラッパー」の最新作、「SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」が昨日初日を迎えたので早速見に行ってきました。レビューを書きたいと思います。

 
いつものこのブログのエントリーよりも情緒的になってしまいますがご容赦を。この映画を語るには、理屈はふさわしくないんです。 

このシリーズは、映画ファンの間では大変な人気の高い作品でして、近年の自主制作映画では、国道20号線などとならんで自主映画の花形とも言えるような作品です。
 
今回はシリーズ3作目は、集大成という位置づけで、今の崩壊寸前の日本映画の状況の中で、インデペンデント映画という枠組みでどこまでやれるのかの限界に挑戦した作品であります。
 
 
監督と主演の奥野瑛太さんとのケンカというか仲違いがネット上でも展開されていて、不安に思ったファンも多かったんじゃないかと思いますが、あのやり取り見てて僕は「ああ、この映画は相当スゴいんだな」とむしろ確信を持ちました。
http://togetter.com/li/287038(このまとめの後もさらにヒートアップしてました)
 
慣れあいの中で作られた映画じゃないんだな、と。
 
このシリーズ、テクニカルな部分では決して優れてるわけでもなく、むしろ拙いところいっぱいあるんですが、画面から目が離せなくなるんですよ。昨日は初日ということもあり、舞台挨拶もありましたが、その中で入江監督が「楽しんでとは言いません、スクリーンを凝視してください」と仰ってたんですが、その表現が正しいなと思いました。
 
今回の作品は、タイトルにロードサイドの逃亡者とありますが、その名の通り、自分の夢から、大事なモノから逃亡する男の話です。1作目で深谷から逃亡して、今度は東京から逃亡して、またさらに逃亡して。。。
 
主人公のマイティは、不幸にも何かの事件に巻き込まれたのではなく、自分の弱さや情けなさが原因で逃亡する男です。友人たちから逃げ、夢からも逃げ、自分の犯した罪からも逃げようとするそんな男を1シーン1ショットの長回しを基本としたカメラがどこまでも追いかけていきます。
 
 
まるで、「おまえがどんなに落ちぶれようともオレはお前から目をそらさない」とでも言わんばかりに。
優れた映画はこうして映像そのものが饒舌に語るものなんです。
 
 
安易なハッピーエンドは用意されていません、むしろマイティは逃げるたびにどんどん落ちぶれていきます。それでもこの映画は不思議と観る人に勇気を与えてくれてしまう。どう見てもこの映画のストーリーは人を応援するようなものにはなっておらず、身も蓋もなく転落していく男を描いているにも関わらず、見終わった後に残るのは絶望じゃなく、希望なのです。
 
 
世の中がどんなにヒドかろうとフィクションの中でハッピーエンドを作るのは簡単です。監督は自分の作る作品の中では、神の見えざる手を自在に行使できる権限を持っていますから。(実際には予算とかスポンサーとかいろいろあるけども。。。)
 
でも、もし映画は社会の中で生きるもので、社会と何らかの接点を持つものだとしたら、そんな絵空事になんのパワーにあるってのか。クソですよ、そんな映画。
 
入江監督の「劇場版 神聖かまってちゃん」でも応援ソングはクソだって言ってますけど、それと同じことです。入江監督はぶれない男ですね。
 
これからどう生きていこうか悩んでる人はいっぱいいると思うんだけど、そういう人にこの映画を見てほしい。マイティの落ちぶれていく様とそれでも魂から絞り出されるライムを聞いてほしいと思う。
 
世界一勇気をくれる負け犬の遠吠えが聞けるから。
 
 
インディーズ映画の素晴らしさと矛盾を両方合わせ持ったこの作品、是非スクリーンで見てほしいと思います。
きっと僕ももう一回か二回見に行く気がします。
 
 
『SR サイタマノラッパー』は「半径1メートル」から「ここではないどこか」へ向かって「無視すんな!」と声を上げて作り始めたものです。(入江悠監督)
 
 
予告編

 

舞台挨拶、当日の渋谷の街での宣伝の様子等を写真にまとめました。

「SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」の舞台挨拶に行ってきた

他のサイトの同作品のレビューを下記のエントリーでまとめています。

SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者レビュー まとめ

あとPinterestで写真館を作ってみました。

サイタマノラッパーラッパー ロードサイドの逃亡者のPinterestページを作ってみた

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