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ACTAがEUで否決。ハリウッドはこれをどう見たか。

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ACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)がEU議会で否決されました。

欧州議会 海賊版防止条約否決

Acta: Controversial anti-piracy agreement rejected by EU

478対39で否決という、異様な大差になりましたね。昨年来、欧州では各地で大規模な反対運動が展開されていましたが、その成果が出たと見て良いでしょうか。
以下の地図は、欧州で起こったACTAの反対運動の起こった箇所を示しています。

2012年2月11日ヨーロッパでのACTA抗議デモ

このACTAという協定は、日本が主導で押し進めてきたものですが、その当然アメリカの著作権団体や、ハリウッドのロビーイスト達もこの協定を支持いていました。

今回の欧州議会の決定は、今後の著作権保護を押し進めたい権利者団体側の動きにも影響があると思うのですが、その代表格たるハリウッドはどう思っているのかな、と思っていたら、ハリウッドレポーターがメジャースタジオの気持ちを代弁するかのような記事を書いていたので意訳して紹介してみます。

反ACTAvists(反ACTA主義者)の祝う勝利は概して記号的なものである。 
(The victory being celebrated by anti-ACTAvists is largely a symbolic one. ※Sybolic oneをどう訳すか迷ったんですが、記事全体がこの勝利をぬか喜びさせようというニュアンスを感じたので記号的と訳しました)
http://www.hollywoodreporter.com/news/europe-rejects-acta-anti-piracy-345033

ACTAは死んだ。
少なくとも欧州では。

ではそれはハリウッドにとってどんな意味があるのだろうか?別に大したことはない。確かにハリウッドのメジャースタジオは、プロデューサー協会や欧州における同等の組織と共に、海賊版と著作権侵害と厳しく取り締まるためのこの協定を後押ししてのは確かだが。

今回この協定は、欧州の政治家たちの断固たる態度と共に否定されたわけだが、実際に反対派が主張するほどには厳しいものではなかった。ACTAの最も厳しい規定、例えばスリーストライク法(継続して侵害を行うユーザーに対しインターネットアクセスを遮断する)は最終稿からは除外されている。
ACTAに対して最も激しく反対したいた層も、この協定がすぐに欧州各国の著作権保護を規定する法律に取って変わるわけではないということは認めていた。ACTAは、それに反対する国の国民に対して、非営利目的での著作権侵害に対して強制的に罰を与えることはできないものだ。

ACTAがあろうとなかろうと、MPAA(全米映画協会)は個別の国に対して、反海賊版の法案を受け入れるようにロビー活動を続けることができる。
そこにはスリーストライク法のような制度も含まれる。今週、15年に渡るハリウッドによるロビーイングの成果で、カナダ議会はオンラインの著作権侵害行為をさらに厳しくとりしまることを目的としたCopyright Modernization Act(著作権近代化法)を成立させた。

実際、アメリカ通商代表部は、TPPの中で、「3ステップテスト」という、ACTAで除外されたものとよく似たものを提案してきている。

だから、欧州や他の地域の反ACTA主義者たちが今日お祝いしている勝利は、記号的な意味でしかない。しかし記号、シンボルもまた政治の世界では重要だろう。
反対派は、ACTAがとても秘密主義的かつ非常に曖昧で、アメリカ式の厳しい著作権侵害対策の枠組みを、世界に対して無理強いしようとしているという議論を導くことに成功した。
実際の彼らの主張の根拠がどうあれ、反ACTAの群集は勝利した。実際、彼らは上手くやった。
欧州の政治家の中には、当初この協定を支持していた者もいたが、数多くのデモと溢れんばかりの反対を訴えるメールを見て、コロッと手の平を返してしまった。

TPPへの言及があるのがポイントですが、こうしたインターネットの自由を制限し、ユーザーの権利よりも利権者の利益を確保しようとする動きを止めるつもりはない、というのがすごくよくわかる記事ですね。

半分くらい負け惜しみにも読めますが(笑)、とにかく自分たちの権益拡大を諦めるつもりは毛ほども無いんでしょう。これからも継続的にウォッチし、問題点を洗い出し、議論をしていくという努力が必要ですね。