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違法にアップロードされた動画のembeddingは著作権侵害ではないとする米国での判決

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以前このブログにも書きましたが、アメリカで違法にアップロードされた動画コンテンツをembedするのは著作権侵害にあたるかどうかの裁判が行われていました。

Flava Worksというポルノビデオ製作会社が、同社の違法にアップロードされたコンテンツを大量にembedされているとして、MyVidsterという動画ブックマークサイトに対して著作権侵害であると訴えていました。Flava WorksはDMCAに準拠した形で削除要請を送っていましたが、MiVidsterも要請のあった分は削除に応じていたものの、Flava側はそれだけでは満足せず訴訟に踏み切りました。
そしてこの訴訟に対するThe Trial Judge(第一審)の判決は、Flava Worksの訴えを認めるものでした。

訴えられた側のMyVidsterは、動画のソーシャルブックマーキングサービスで、ネット上の動画のリンクやembedを登録してフォロワーと共有できるというサービス。このサイトには、多くの動画が登録されていますが、それらは全てMyVidsterのサーバ上で管理されているものではなく、他の動画サイトサービスからembedで張り付けられているだけです。

この裁判は、ポルノ業者とさほど有名でない動画ブックマークサービスとの間で争われたものですが、この第一審の判例を全米映画協会(MPAA)が支持する声明を発表し、意見書を裁判所に提出するなどしています。(詳しくは以前書いた エントリーを参照)

この判決の怖いところは、違法コンテンツをアップロードされたホスティングサーバと単純にその違法コンテンツがembedされたサイトも同様の法的な責任が生じうる、としている点で、個人サイトやフェイスブック、ツイッターで違法にアップロードされた動画を紹介するだけでも、著作権侵害となっていまいます。

しかし、控訴審でこの第一審で棄却。embeddingは、その対象が違法アップロードされたものであったとしても、著作権侵害にはあたらないとの判決がくだされました。これによって、MyVidsterは今まで通りのサイト運営が可能になります。 MPAA “embedding is infringement” theory rejected by court

判決の要旨は、
MyVidsterのサイト上に流れる動画は一見、同サイトが提供しているように見えるが、実際にはサードパーティの動画ホスティングサーバーから、ユーザーに直接提供されているため、著作権侵害とはならない。よってMyVidster運営側も、そのサイトにemebedコードを貼っているユーザーも著作権侵害にあたらない。
著作権侵害を犯しているのは、あくまで動画のアップロードした者である、という見解。

さらには、単純に違法にアップロードされたコンテンツをストリーミング視聴する場合、それだけでは違法に複製したことにはならず、違法な配布にも当たらないので、著作権侵害にはならない、とはっきりと結論づけています。

至極まっとうな判決だと思います。
アップローダーの責任をきちんと問う姿勢がきちんと明確に語られており、判事は視聴側を著作権侵害で押さえつけることのネガティブな波及効果を、十分理解した上での判決ですね。

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