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録画やキャッシュされたコンテンツは価値をあるのに利益を生まない矛盾

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民放地上波のテレビ局の収益元はCMによる広告料であることは広く知られています。このCM枠の価値を決めるのが視聴率です。番組の視聴率が高いほど広告枠が高くなるという構造になっていますので、視聴率という指標は唯一絶対の番組の価値を計る指標になっています。

この視聴率は現在までのところ、リアルタイムでその番組を視聴したものしか集計していません。なので番組制作者の目標は放送時のその時チャンネルを合わしてもらうことに注がれます。

一方で録画という行為は、80年代にVHSが普及してから一般的な行為となっています。録画する理由もいろいろあろうかと思いますが、ストックして後で観たいほどにその番組を観たいという気持ちではないかと思うんですね。

なので、録画された番組というのは視聴者は高く評価しているコンテンツとなります。しかし視聴率上では残念ながらその評価が反映されることはありません。

境治さんがブログのエントリ「“イカ”と”とんび”には誰も優劣がつけられない、はずなのに・・・ 」でこないだのダイオウイカのスペシャルな映像と日曜劇場「とんび」とどちらを録画してどちらをリアルタイムで視聴するかをどう判断するかについて書いておられます。

曰く、ダイオウイカまコンテンツとしてリアルタイムで観た方が面白い。実際ツイッターでもおおいに盛り上がっていました。何せ裏番組でアバターを放送していたにも関わらずFOXの中の人すらイカの方を見ていたわけで。

【悲報】20世紀FOXの中の人、結局ダイオウイカを見る : なんJ(まとめては)いかんのか?

境さん曰く、録画で視聴した「とんび」も素晴らしいドラマだったそうで、コンテンツの優劣を判断してリアルタイム視聴と録画を観たのではなく、コンテンツの性質上、ドラマのとんびを録画するという判断にしたそうです。

でも視聴率的にはこの視聴判断によって評価されるのは一方的にダイオウイカなんですよね。世界初の偉業なのですから評価されて当然でもありますが、一方で録画されたコンテンツも価値があると認めたからこそ録画でストックされている。

これはテレビが喫緊に解決しないといけない課題の一つであるのですが、ひるがえってウェブの方でも似たようなことはやってるよなあ、とも最近思うのですよね。

日々ブログやニュースサイトでいろんな記事を目にするわけですが、RSSで読まれる場合、その記事にトラフィックが生まれていません。多くの無料のネットサイトのマネタイズも広告収入ですが、RSSで記事の配信を取得している場合、広告が基本的に表示されないので商売としては成り立っていないんですよね。

同様に記事のキャッシュを後から読む機能にしているinstapaperやpocketのようなサービスも広告をそぎ落としてキャッシュしますから、あれもお金という価値を産んでくれないんですね。

でもわざわざRSSに登録する、後で読むリストに加えるのはそのサイトや記事に価値があると思ってるからです。価値を認めているからこそ行う行動をお金に換えてあげることができてないんですね。

無料メディアのマネタイズは広告に頼るしかないのですが、テレビもウェブも価値あるコンテンツこそが、広告をスキップされる確率が高くなって、お金を産まない構造になってるのかもしれません。
そうすると、ウェブでは2分以内でさらっと読めるようなマイクロコンテンツばかりになり、テレビもますます瞬間的に受けるものばかりになっていまします。

ビデオリサーチがタイムシフトやネットワーク視聴も計測する手法を開発中ですが、これがきちんと実用化できるのなら多少はテレビの評価も変わってくるかもしれません。
録画やネットワーク視聴も視聴率に、ビデオリサーチの新たな取り組み

ウェブの方もRSSなどからもうちょい収益の上げれる方法があるといいんですけどね。Googleもフィード向けアドセンスは無くなりましたし、記事がキャッシュされても利益にはつながりません。

この辺が解決できたらウェブメディアももっとずっと健全になるのかなあ、という気もしますが、難しい問題です。VHSが普及したのが80年代ですから、テレビも30年近くこの課題を解決できてないわけですから。

ここが解決されたらSmartnewsみたいなサービスも大歓迎されるかもしれないのですけど。

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境 治
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