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中国の動画サイトTudouの創設者がアニメーションスタジオを設立。ハリウッドから人材招聘も

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中国の動画サイト、Tudouは昨年ライバルであるYoukuに買収され、Tudouの創設者Gary WangもそのCEOの座から降りていたのですが、そのWang氏が中国にアニメーションスタジオを設立するニュースがありました。

Video – Unleashing Innovation: Tudou Founder Sees a China Full of Ideas – WSJ.com

A well-known Internet entrepreneur in China, Mr. Wang plans to create an animated-film studio in Beijing next month to make movies primarily for domestic audiences. The 39-year-old said he already had secured tens of millions of dollars in funding from an international group of investors. He declined to name the investors.

中国の有名なネット起業家であるWang氏は、来月オープン予定のアニメーションスタジオを北京に設立する予定だ。中国国内市場向けにアニメーション映画の製作を行う。39歳のWang氏は、数百万ドルの資金を海外の投資家グループから確保していると述べている。

2005年、YouTube開始と同じ年に中国で立ち上げたTudouをライバルに売却し、その後の展開を注目されていた同氏ですが、ネットプラットフォームではなく、コンテンツ制作事業に正面から取り組むようです。

“I wouldn’t have done this five years ago, but now the time is right,” he said, citing an improving environment for movie distribution, promotion and copyrights in China. With more theater screens across the country and rising income levels in urban areas, the potential return justifies the investment, he said.

「5年前ならおそらくこの事業に取り組みはしなかっただろうけど、今は丁度いい時だと思ったんだ」と語るWang氏。その理由として中国国内の映画配給、著作権やプロモーションなどの整備が進んでことを挙げる。さらに国内の都市部の所得が増え、スクリーンの数も増加傾向にあり、そのポテンシャルは投資に値すると判断した、とWang氏は述べた。

中国の動画サイトは著作権侵害パラダイスで、日本のアニメや映画などが無料で見放題の治外法権でしたが、今は正式に中国の動画サービスと契約を結んで正規配信を行うようになっており、海賊版の数が減少傾向にあります。
中国動画サイトで日本のコンテンツ正規配信へ、海賊版対策のCODAが後押し -INTERNET Watch

2年前には配給会社さんのこんなツイートもありました。正規配信契約を結べばトップダウンで掃除してくれるらしいですね。それはそれでどうなの?というのもありますけど。

世界の映画市場の中で、中国が現在市場規模で2位に躍り出ました。ずっと日本が北米市場に次ぐ存在だったのですが、中国は急激な勢いでスクリーンの数を増やしており、世界映画市場2位の座を明け渡すことになってしましました。最近、ハリウッドスターも日本への来日の機会を減らし、中国に行ってしまうケースもけっこう目立ちます。
それどころか、作品内容をあらかじめ中国市場を意識した作りにしている作品もチラホラ見受けられますね。記憶に新しいところでは「007 スカイフォール」でしょうか。メイン舞台の1つが上海でしたね。

それとブルース・ウィリスとジョセフ・ゴードン=レビット主演のSF映画「LOOPER ルーパー」は出資が中国の制作会社であるDMGであるというのもありますが、中国人女優シュイ・チンを起用して大ヒットを記録しています。
ハリウッド映画「LOOPER ルーパー」が中国でNO.1ヒット : 映画ニュース – 映画.com

今後も成長が見込まれる中国映画市場ですが、実写映画では中国映画も大きな興行成績を上げていますが、アニメーション作品に関してはハリウッドの独壇場となっており、カンフーパンダなどがいくつかの都市で抗議を受けたりもしましたが、大きな成功を収めています。カンフー・パンダの制作会社であるドリームワークスは中国国内にアニメ制作スタジオを設立予定で、中国市場を意識した作品作りを今展開していくと思われます。

Wang氏はそうしたハリウッドメジャーと国内市場で対抗できるスタジオ作りを目指しており、ハリウッドから人材をヘッドハンティングしてくるつもりのようです。
Tudou Founder Gary Wang to Poach U.S. Talent for New Chinese Animated-Film Studio

Wang is aiming to recruit animation-film experts from Hollywood so as to compete with imported U.S. blockbusters.

Wang氏は、アメリカから輸入されてくるブロックバスター映画と競争するため、ハリウッドからアニメーション映画のエキスパートをリクルートすることを狙っている。

ハリウッドから人材を引っ張ってくることに成功したら、前代未聞です。世界の映画業界において、ハリウッドは常に人材が集まるところでしたから、そこから人材が流出するということはあまりありませんでした。もっとも最近では税制優遇措置や、人件費の問題でハリウッドの人材を使わずに済むのなら使わない、という形で逆にハリウッドが空洞化しつつあるという現象も生じているのですが。特にコンピューター上で仕事をするVFXの業界は。新興国のVFXクリエイターも今はかなり高い技術を持っていますので。
NEWSポストセブン|米ハリウッド映画 今や中国とインドの出資なしでは作れない

積極的に誘致策をとっているカナダ、英国、オーストラリアに対抗して、米国でもカリフォルニアなどいくつかの州が税制優遇措置をとりいれているが、以前のような隆盛を取り戻せていないのが現実だ。VFXスタジオも同様で、ひと昔前はハリウッドの近くに工房を置くのが有利と言われていたが、映像新聞社の布施悟さんによれば、作業そのものを地理的に近い場所で行う必要はなくなっているという。

どれだけのお金をWang氏が人材確保のために投入するのかわかりませんが、ハリウッドを支える一流の人材が流れるとなると、世界の映画業界の勢力図にも影響が出るのかもしれません。

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