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テレビのこれからを考えるソーシャルテレビ推進会議のオープンセミナーに行ってきた

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昨夜開催されたソーシャルテレビ推進会議のオープンセミナーに参加してきました。僕もメンバーだが、もう1年経ったのですね。月日が流れるのが本当に早い。ソーシャルメディア時代になってたくさんの情報に触れるようになってなおさら時間の経過が早く感じる。
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1周年の節目のセミナーのテーマは「ビジネスモデルは見えてきたか」。テレビ局もソーシャルメディアの活用が必要、と叫ばれきて、この1、2年実際にいろんな試みがなされてきましたが、結局それらはテレビ局にとって有益なものになり得るかを3つの観点から考えるというのが今回のオープンイベントの主旨。
3つの観点は以下の通り。

  • テレビはWEBで飛躍できるか・・・NHKの番組APIの発表
  • テレビ視聴のこれから・・・スモール画面か大画面か。ハード中心のお話
  • テレビづくりの未来をつくる・・・水曜どうでしょうとダウンタウンDXのディレクターが語るテレビ製作に普遍な大事なもの

テレビはWEBで飛躍できるか

ここでの話はNHKの番組APIの発表がメインでした。番組情報の入手先として今でも一番多いのは新聞のテレビ欄だそうで、2番目に多いのがEPG。ウェブからの情報入手というのはまだあまりないのですね。
ウェブから情報を探す、というのは多くの人に定着したものですが、ウェブで利用できるテレビ番組情報はIPGの提供するGガイドなどがありますが、多くはないですね。

その原因の一端は利用できる情報ソースがないため。様々なアプリベンダーがテレビ向けのアプリを開発しているのですが、情報は手打ちしてたりするんですね。若年層にテレビをもっとアピールするにはネットからもっと情報を取得できるようにするのが重要。
今回NHKが番組APIを発表しましたが、それによって多くサードパーティが番組データを用意に取得できるようになります。
NHKの番組APIの公式サイトはこちら。
NHK番組API

利用開始は今月中を予定しているとのこと。

テレビ局側にとっては番組の認知獲得というメリットがあり、サードパーティにとっては開発がやりやすくなるなど、双方にとってメリットは大きいでしょう。こうしてテレビ局の持つ情報をオープンにしていくことでテレビ局の中心のエコシステムができてくるといい。

NHKさんの以下のような発言もありました。

このありとあらゆるところから情報やコンテンツがボコボコと生まれる時代に自分たちだけで対抗しようというのは普通に考えたら無謀な話で、いろんなプレイヤーと協力してかないとダメですね。それには情報を使いやすい形で公開するのが大事。

ちなみに日テレも実はひっそりAPI公開をずっと前からやってたらしい。出演者検索APIとニュース検索API。
Web API|日テレ アプリ

現状、NHKのAPIも番組情報を2日間まで取得できるという限定的なものとして始まります。どんどんオープンにしてもらいたいと思いますが、ウェブの活用を情報取得からテレビのリアルタイム視聴につなげるだけでない、放送以外の部分でウェブを使って収益を挙げれるモデルを何か考えてほしいところです。簡単に思いつくのはオンデマンドサービスの拡充ですが。メタデータの解放も大事ですが、テレビ最大の財産は映像コンテンツ。それをどうやって多くのプラットフォームに載せていくかが重要だと思っています。

しかし、データの解放もとても意義は大きく、これを利用した多様なサービスが登場することを期待します。

テレビ視聴のこれから

ゲストは角川アスキー総研の遠藤さんとLG Japanの土屋さん。
ここではハードの話が中心。4Kや8Kなどどんどんと画質が良くなり大画面化していく一方、高画質化、大画面化以外の付加価値を求めるハードの在り方と、利便性の追求ならモバイル化の方が重要なのでは、の対立軸による議論でした。

こないだ行ったNHK技研の公開でハイブリッドキャストを活用したデモを見ましたが、テレビのモニタ上にネットから取得した情報が多く乗っかっていました。ああいう方向にやはり行くのでしょうかね。8Kテレビのデモなども大画面でマルチウィンドウでコンテンツを見せるというようなことをやっていました。

それも1つの方向性ですが、一方でアスキーの遠藤さんのおっしゃるようにコンテンツ消費の個人化が進むなか、モバイルなどのスモールスクリーン展開を考えるのは非常に重要なことだと思います。

ていうか最近、僕はテレビを見る際にはスマホでガラポンが一番多いです。自宅のテレビで絶対みる番組はとある科学の超電磁砲と進撃の巨人くらい。あとは映画見たりとか。

ガラポンはテレビの最大の弱点(と僕が思う)であるアクセシビリティを劇的に改善してくれる端末。ネット回線とブラウザさえあればどこからでもテレビ番組が見れる。ようするにWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)とほぼ同じ感覚でテレビが楽しめるようになる。

ただ不満がないわけじゃない。テレビ番組は地上波だけでも1週間に約2000タイトルもあります。BSやCS含めればもっとあります。そんな中から自分が楽しめる番組をどう探したらいいんでしょう。第一部の情報の取得のしづらさも関わる話でもありますが、欲しいものを効率よく見つけれるシステムはやはり欲しいですね。

テレビはそもそも リーンバックだという、ツイートも昨夜あったのですが、もしテレビ本来の受け身のメディアとしての姿勢を突き詰めるとすると、新しい技術はレコメンデーション機能、パーソナライゼーションの方向に生かすといいと個人的には思います。

テレビづくりの未来をつくる

第三部は現場で実際に番組を製作しているディレクター2人による対談。トーク番組のノリでしたね。登壇したのは読売テレビの西田二郎さん(ダウンタウンDX、ガリゲル)と藤村忠寿さん(水曜どうでしょう)のお2人。トークすごい面白い。エンタメとして水準高い。

このお2人はテレビ埼玉で「たまたま」という番組を不定期で放送しているのですが、番組予算ゼロで始めたそうです。スポンサーもついておらず、スタッフもゼロ。本当に2人がカメラの前でしゃべるだけ。でもそのトークが面白い。ほとんどニコ生みたいなノリですね。
予算がゼロなので、テロップも入れることだできないので、放送中に手書きで貼ったりして放送してるらしい。

通常テレビは番組にスポンサーがついて、それで放送がされますが、スポンサーいないままに始まる番組というのも相当珍しい。番組内でスポンサー募集の呼びかけを行ったそうですが、実際にスポンサーに名乗りを挙げる企業が出た時には視聴者まで大喜びだったそうです。

コンテンツ作るには本来お金がかかります。テレビの予算はスポンサーによって支払われます。そうして僕らが普段楽しむコンテンツが作られてるんですが、視聴者がスポンサーに感謝するっていう瞬間って普段あるでしょうか。CMうぜえとしか思ってないですよね、普段。

このセミナーで「たまたま」の企業のスポンサードを視聴者も一緒になって喜ぶという構図は、製作者、スポンサー、視聴者の誰にとっても理想的です。
そういう関係を築くように製作側も努力するし、そういう関係が可視化しやすいように仕組みをこれから作っていくのが重要ということでしょうね。

観る人を喜ばせ、お金を出してくれた人も喜ばせる。コンテンツの製作者にとって実は当たり前のことです。でもつい忘れがちになるのです。いろんなすれ違いがあって対立したりもするのです。でもやっぱりこれが原点なんです。たまたまは斬新なことをやっているようで、証明したのは不変の原点。ネットの活用が進もうとも、ソーシャルメディアによって環境が変わろうとも変わらないコアな部分をきちんと見えている製作者のお2人の話はとても心に響きました。

最後は人間の魅力かもしれない

ビジネスモデルは見えたかというと、水平線の向こうにちょっとだけ見えたかも知れない、という感じです。APIを利用した具体的なサービスが登場するのはこれからですし、テレビの端末のあり方も決定的な解がなかなか出てきません。スマートTVという言葉が登場して大分たちますが、ユーザーがテレビに何を求めているのかイマイチ掴みかねている状態。

ソーシャルメディアとテレビを考えるのがこのセミナーの目的であるわけですが、そのディテールの前にテレビの持つ最大の武器をなんだろうということを改めて考えたいなと思いました。

ソーシャルメディアが明らかにしたことは「ネットの向こう側にいる人間ってやっぱり面白い」だったと思うのですが、ソーシャルテレビが明らかにしたものもまた「テレビの向こう側にいる人間って面白い」ってことなのかもしれません。
藤村さんと西田を見ていてそんなことを思いました。だってこの2人、面白いもの。

こうした魅力的な人間が多数いるのならこれからもテレビは消費されるだろうし、そういう人たちが作るコンテンツもきっと面白いはずをお2人を見てると希望が持てます。
コンテンツへのアクセシビリティを改善し、情報も公開し、新しいサービスでテレビへリーチする人が増えて、そうした人たちの声が可視化されて、製作者の顔も見えて、そんなコミュニティにスポンサーも巻き込んで・・・

最後はやはり人間なんだろうと思うのです。とりあえず「たまたま」見たいです。神奈川県民ですけど。

結局、どうして面白いのか ──「水曜どうでしょう」のしくみ
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