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映画レビュー『パシフィック・リム』超面白い。以上。

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超面白い。いつまでも見ていたい。アメリカからこんなものが生まれてくるとは。

パシフィック・リム ビジュアルガイド (ShoPro Books)

全編興奮しっぱなしだった。エヴァもガンダムも鉄人28号もジャイアントロボも特撮映画もギレルモ・デルトロの愛する日本のサブカルチャーに対するオマージュを全部ぶち込んで、破綻することなくスゴいレベルの娯楽作品に仕上げて。パイロット二人制でシンクロ(この映画ではドライブという)しないとロボットが動かないというのもいい。シンクロして力を合わせる、というのは日本のヒーロものでは度々形を代えて出てくる設定だ。

ところでこの映画の主力機、ジプシー・デンジャーは原子力が動力。そのことが人類の起死回生のきっかけになる。決着をつけたのも原子力だ。

原子力を動力とする巨大ロボットが人類救済の最終兵器というのは今の日本にとってはとても政治的論争を引き起こしうるものだが、たしかにギレルモ・デルトロの愛する日本のサブカルチャーを支えたマインドでもある。鉄腕アトムを筆頭に、原子力が象徴する人類の科学の力が未知の脅威を凌駕する。(この映画の場合、直接参考にしているのはジャイアントロボでしょうかね。デザイン的には鉄人28号に近いけど)
日本の一部のサブカルチャーの発展はたしかにそういう科学が照らす輝かしい未来、という想像力によって一時発展した。(そしてその後、その反動でAKIRAやナウシカ的想像力がでてきた)

そんな日本の捩じれた環境から生み出されたカルチャー、大リスペクトのこの作品。日本が生んだ、日本の想像力が作り出した特異な世界観なのに、今の日本では作ることができない。今日本で原子力ロボが地球を救う話をやったら、政治的論争に巻き込まれてしまうだろうし、おそらく作ること自体「正しく」ないのだろう。ロシア機の名前もチェルノだし。チェルノの頭部分なんて、そのまま原子炉っぽい形してるし。(ていうか実際原子炉なのかあれは)

あんなジョークを今日本人がやったら袋叩きにされるだろう。そもそも、この手のロボットの動力が原子力だったのは、原子力が夢と希望のエネルギーだと思われていたからだし、少なくとも今の日本で原子力に夢と希望を見いだす人はいないだろう。推進派すら原発は「現実に」経済動かすために「必要」という消極的な認識だろう。反対派は言わずもがな。そういう想像力が覆う社会でこういう映画はもう作りようがない。

ただ、問答無用に面白いんですよ、この映画。もうそんなこと考えてみる映画じゃない。
「考えるな、感じるんだ」の境地で見るべき。この映画を楽しむためにはその方がいい。

「ああ、こういうの日本じゃもう作れないわ」という喪失感も噛み殺して見た方がいい。ただただフィクションの想像力を満喫するべきだ。

でもたしかに原子力に熱狂した時代がこの国にもあったんだ、ということをいつの間にか無かったことにすべきではいよね、とも思う。デルトロはそんなメッセージを込めたのだろうか。

ああ、またそういうことを考えてしまった。この映画を楽しむためにはそんなことを考えるべきじゃないのに。

でも、この映画を貫く感性は、徹頭徹尾日本が生んだものなんだ。いい意味でも悪い意味でも。

結論:超面白い。以上。

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