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「あかぼし」、朴璐美が全力で人間の弱さを見せる【映画レビュー】

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とにかく人間臭い作品だった。人間の弱さがあって、そこにつけ込む宗教団体があって、そしてそれは完全に善意だと信じで行われていて、子供のせかいの序列があって、それはふとしたきっかけで逆転して苛めが起きて。。。

つまりエグい作品。
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物語を貫く主題は母子の愛情。突然夫が蒸発して心のバランスを崩したシングルマザーを人気声優朴璐美さんが熱演。実写の映像での演技自体見れることはめったにないんですが、ハスキーでかっこいい声を出す朴さんがこういう弱い女性を演じるのは実に新鮮。そして大変上手い。

人生に疲れ果てた、という風情で駅のベンチにもたれかかる佳子(朴璐美)に新興宗教「しるべの星」の代表を名乗る男が勧誘してくる。すがれるもにはなんでもすがるという心理状況なので佳子は会合に参加してしまう。誘われるままに勧誘活動にも手をだし、しかもしれがそれなりに上手くいってしまい、そこが自分の居場所なのだと思うようになっていく。勧誘活動には息子の保も手伝わせていた。無垢な子供の笑顔は強い。ほとんど勧誘の成功も実は息子のお蔭だったりする。
息子の保は勧誘活動のせいで学校に苛めにあうようになる。一方の母親も後から入信してきた母子に勧誘実績で上回られ、嫉妬や憎しみやいろんな感情のせいで彼女たちのお金を盗み、教団に居場所を失う。しかし佳子は教団を離れても信仰を手放そうとしなかった。ほかにすがれるものがないので、無理やりにでも信じ込もうとし、一人で勧誘活動を続ける佳子だったが、保はしるべの星の代表の娘と家出を画策する。

朴さんも素晴らしい熱演を見せているが、息子の保役の亜蓮くんも素晴らしい存在感。きれいではかなげな顔立ちをしていて、どこか「だれも知らない」の時の柳楽優弥を思いだしました。なかなかの逸材だと思います。

人間は強くないので、すがるものが必要だが、すがるものはなんでもいい。欲望や悲しみだけが不動に存在していて、その対象となる事物だけが入れ替わり続ける。さて、ラストで突きつけられるのは母と子の愛情も不動であるのかないのか。佳子は実の妹にも見放されている。家族間の愛情すら永遠ではないことをこの映画は示唆している中で、息子の保が最後に選ぶ道は救いになるのかどうなのか。映画は応えを示さずに終わります。

低予算映画なので少し音がよくなんシーンも散見されるが、ドラマとしては見ごたえある作品です。吉野監督はこれが最初の長編映画ということですが、映画初主演の朴さんの魅力を存分に引き出したのは大したものです。

予告編はこちら。

公式サイトはこちら。
吉野竜平監督作品 映画『あかぼし』|公式サイト

※初日の舞台挨拶にも行ってきましたそのレポもご一緒にどうぞ。
朴璐美映画初主演「あかぼし」の初日舞台挨拶レポート

遠い記憶
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