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黒子のバスケ脅迫問題と一匹のネズミに翻弄される脆弱な社会

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黒子のバスケ脅迫事件が一段と深刻さを増しているようです。

昨年から関連イベントが脅迫を受けて、続々と中止を決定し、しばらくは動きがなかったのですが、今月に入りセブンイレブンのウエハースに毒を入れたとの脅迫があり、セブンイレブンはこれを撤去。
さらにはツタヤにも脅迫状が届き、11月3日までにツタヤ全店で関連商品を撤去するそうです。
「黒子のバスケ」TSUTAYAから全商品撤去へ レンタル・販売中止に → 「事実です」 – ねとらぼ
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この事件、犯人の動機が判然とせず、犯行も1人での犯行なのか、複数なのか、長期に渡り話題を呼んだために模倣犯が出ているのかもハッキリしませんが、問題が長期化して沈静化する気配を見せず、それどころか深刻さを増しつつあります。

各企業やイベント運営側の対応は、犯人の目星がつかない以上、致し方ない部分もあると思います。現代は評判のリスクが増大していますから、仮に脅迫状を無視して販売を続けて万一被害が出た場合、相当な炎上を覚悟する必要があります。お店だけでなく黒子のバスケそのものの評判も今以上に著しく損なわれる可能性が高い。

しかしツタヤの他にも今回は三省堂書店、ジュンク堂書店、紀伊国屋書店にも同様の脅迫が届いているようですが、今のところ撤去の予定はないようです。
「黒子のバスケ」、TSUTAYAから撤去 脅迫状届く:朝日新聞デジタル

この対応の差が今後どのような結果になるのかわかりませんが、本当に何事もなれけばいいな、と思います。

それにしても、リスク社会化とはこういうことなのかとつくづく思います。爆弾のような大掛かりな爆弾も必要なく、脅迫状ひとつでここまでの悪影響を社会にもたらせてしまう。

規模はまるで違うけど、911を思い出します。ワールドトレードセンターに突っ込んだ飛行機をジャックした犯人は大した武装をしておらず、ナイフ1本であのビルを崩壊に導いてしまいました。
宮台真司氏の言い方を借りると、一匹のネズミが社会に紛れ込んだだけで崩壊するおそれのある社会の到来を911は告げていたとなりますが、黒子のバスケに対する社会の右往左往ぶりもそれと同じような点があるように思います。アメリカではそうした一匹のネズミをあぶりだすために愛国者法などができたわけですけども。

9・11は、ハイテク社会化を逆手にとったハイジャック犯が、ナイフ一本でツインタワーを崩壊させた。それどころかナイフさえ必要ではない。時間をかけて原発職員や旅客機操縦士になった上でシステムを暴走させれば、ハイテク社会はひとたまりもないからだ。
■リスク社会化の核心は、ハイテク社会に紛れ込んだたった一匹のネズミが社会を崩壊させ得る点にある。リスク社会化が進めば“「社会よりも国家が恐い」から「推定無罪」で行け”に代わり、“「国家よりも社会が恐い」から「推定有罪」で行け”がリアルになる。 MIYADAI.com Blog

国家による規制もたしかに怖いのですが、現代では個人の脅迫による抑圧も同様に相当に恐ろしい。今回の脅迫も事実上の表現規制として機能してもおかしくありません。
幸い藤巻先生と集英社、アニメを放送しているMBSに関しては今のところ屈するつもりはないようですが。

表現を規制するものは何も公権力だけではないのですね、今の世の中は。

警察には一刻も早く犯人を捕まえて頂きたいとと願うばかりです。

【追記】
容疑者が逮捕されたということで、改めて書きました。
黒子のバスケ脅迫事件犯人逮捕。個人の暴力から表現の自由をどう守るのか

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