先日、ソーシャルTV推進会議の主催するオープンイベント「ソーシャルTVカンファレンス」が開催され、メンバーである僕も参加してきました。今回は海外からのゲストスピーカーとしてBBC IPlayerの開発者であり、ソーシャルメディアとテレビ番組を繋げるプラットフォーム「Zeebox」の共同創業者、Anthony Rose氏をお迎えしての大きなイベントとなりました。
今回は、そのソーシャルTVカンファレンスのレポートをお届けしたいと思います。4つのセクションと事前レクチャーで構成されたカンファレンスでしたのでそれぞれ個別にレポートを起こします。
事前レクチャーは以下の3つがテーマ。
- ソーシャルテレビを支えるマルチデバイス
- スマホ・タブレット、利用とそのコンテンツ
- アプリ&サービス事始め
- ソーシャルTVカンファレンスレポート:事前レクチャー編
- ソーシャルTVカンファレンスレポート①:Zeebox創業者Anthony Rose氏のセッション
- ソーシャルTVカンファレンスレポート②:日本のユーザー参加型テレビ番組事例
- ソーシャルTVカンファレンスレポート③:テレビ広告の真(新)の実力を考える
- ソーシャルTVカンファレンスレポート④:どうなる?どうする?ソーシャルテレビ
ソーシャルTVでは、テレビ番組を視聴するためにTVモニター(ファーストスクリーン)のほか、ソーシャルメディアなどで番組内容を共有したりするためにスマートフォンやタブレット(セカンドスクリーン)を用いることから、ソーシャルTV現象を支えるデバイスについての説明が1。そして2がスマホやタブレットにおいて人がどんなコンテンツを消費しているかについて、そして実際にどんなアプリやサービスでテレビ番組とスーシャルメディアを繋げているかを説明した3という構成。
ソーシャルテレビを支えるマルチデバイス
プレゼンターはMM総研の新志有裕氏。
ソーシャルTVとはまず前提として、視聴者が単に番組を視聴するだけに留まらず、番組側とインタラクティブに繋がったり、友人間ソーシャルメディアを通して意見を共有するなどの能動的なアクションを引き起こすものです。
そうした活動が一般ユーザーに浸透してきた背景に人々の所有するデバイスの変化があります、言うまでもなくこれはスマホと始めとするスマートデバイスの浸透です。テレビモニタそのものの多機能化、スマート化も進んでいますが、テレビモニタの買い替えサイクルはモバイル端末と比べて長いので、利便性、機能性の進化のスピードが遅い傾向があります。そこでセカンドスクリーンとしてのスマホ・タブレットがソーシャルメディアとテレビを繋げる重要な役割を担います。
またファーストスクリーンたるテレビモニタのネットへの結線率は以前低く、設定も複雑であるため、利用率は低い数字に留まっています。自宅のテレビをネットに接続していないユーザーが16.7%、接続はしてるが利用していないというユーザーが48.9%、そしてテレビにネット接続機能がないユーザーもいまだに21.2%となっており、スマートTVの利用者の少なさが伺いしれます。
しかし、テレビでネットをしようとは思わないが、テレビ番組を視聴中にソーシャルメディアを同時に利用するユーザーは増加しており、そうした行動を支えているのがスマートフォンとタブレット。2013年時点でのスマートフォン普及率は40〜50%、タブレットは15%、出荷台数ベースではスマートフォンは75%となっており、今後もより多くの人の手元にスマートデバイスが行き渡ることになるでしょう。
テレビは受動的に利用される端末、対してスマート端末はユーザーが能動的に利用するもの。この対照的な端末同士の組み合わせが新しいテレビ視聴の形を作り基礎となっているということですね。
スマホ・タブレット、利用とそのコンテンツ
プレゼンターはビデオリサーチインタラクティブの深田航志氏
ここでは、スマホとタブレットの世帯所有率や、消費されるコンテンツがどのようなものなのかの動向を解説。
スマートフォンの普及はすでに50%近くに達しており、普及の段階はすでにアーリー・アダプターや、アーリー・マジョリティからレイト・マジョリティへの普及段階に入っているとのこと。今後も爆発的にスマートフォンの普及が進まず、ある程度鈍化するであろうとのこと。対してタブレットの普及率は15%、こちらにはまだ伸びしろがありそう。
スマホやタブレットで利用されるコンテンツは、どちらもヤフー、Googleなどの情報検索系が圧倒。動画系サービスではYouTubeがやはり高位にランクしています。スマホに限って言えば、LINEの利用率が爆発的に上昇しています。まあそうでしょうね。
また昨今のウェブでは」まとめサイトの流行が見逃せない要素です。中でもNAVERまとめはここ2年で大幅に利用者を増やしており、なかでも女性ユーザーの利用者が急増しているとのこと。またテレビ番組に関するまとめを多数作成されるようになっており、これもネットでのテレビ番組のバズ創出に一役買っているのではないか、とのこと。
今後はまとめサイトなどもテレビ局のネット戦略として重要かもしれませんね。
アプリ&サービス事始め
プレゼンターはニフティのソーシャルTVアプリ「みるぞう」の開発者伊與田孝志氏。
このセクションでは、実際にスマホやタブレットと一緒にテレビを視聴する際に使用されるアプリにはどんなものがあるのか、とどんなタイプに分類されるのかを解説。
ソーシャルTVを巡るアプリには4つのタイプに分類できるとし、数ある番組の中からオススメなどを探しだす番組ガイド的なアプリ、リアルタイム視聴中にソーシャルメディアを利用しやすくするソーシャル視聴系、番組関連情報やコンテンツを提供するもの、視聴履歴を残すチェックイン系の4つ。
このうちみるぞうは、ソーシャル視聴と番組ガイドにまたがる機能を提供しています。
今回のカンファレンスで来日したAnthony Rose氏のZeeboxは、チェックイン機能以外の3つの要素を洗練した形で統合して1つのアプリで提供しているとのこと。
また、ソーシャルメディアの台頭によって番組製作サイドもソーシャルメディアを番組作りに取り込む動きも見られ、代表的な例としてNHKのNEWS WEB 24のようにツイートから質問を広いコメンテーターがそれに答えるもの、謎解きという形でユーザー参加を促すリアル脱出ゲームTV、音ゲーを提供したTHE MUSIC DAY 音楽のチカラ、番組出演者がオンエア中にツイート実況に参加するテラスハウスなどを挙げています。
またソーシャルTVは、番組プロモーションやエンゲージメントを向上させる手段、マーケティングや視聴分析(視聴質の分析)などをも可能にするものとしています。ニールセンがTwitterと提携して番組評価の指標を提供することになったというニュースは記憶に新しいところですね。
事前レクチャーはこんな感じでした。次はAnthony Rose氏のキーノート「Zeebox」の取り組みを紹介します。
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