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感光材で放射線を可視化。「痕 – 写真感光材による放射能汚染の記録」が面白い

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放射線の恐怖の一端は、見えないということから来るのであろうと思うのですが、そういう見えない放射線を可視化する方法は、測定したデータという「数字」による方法が一般的かと思います。

でもこんなアプローチもあるんですね。福島出身の写真家、武田慎平さんは銀塩感光材が可視光線だけでなく放射線でも感光する特徴を生かして、土壌に含まれた放射線物質を可視化する試みを行っています。2011年からすでにこの活動をしてらっしゃったのですね、不勉強でつい最近知りました。

放射性物質を含む土壌とフィルムを暗箱の中に一緒に一定期間放置すると、放射線の影響でフィルムが感光し、フィルムに光の粒が記録されます。

以下の公式サイトでサンプルの写真を見ることができます。
SHIMPEI TAKEDA – 痕 – 写真感光材による放射能汚染の記録 / 武田慎平

映像や写真は見えないものを映し出すことは不可能な媒体なので、放射性物質に関するものを扱うとどうしても防護服とか、廃墟になった町とかそういうセンセーショナルなものを映しがちなんですが、こういう形で可視化するというアイデアがあったんですね。

出来上がった写真は、宇宙に浮かぶ星のようで、不謹慎と思われてしまうかもしれませんが、美しいですね、これは。
汚染濃度が高ければ高いほど、光が多くなり、明るくなるというのは何だか皮肉めいていて写真一枚で強い批評性をもっていますね。電気をつくり人口の明かりを作る源だった原発の事故によって土壌がこのように暗闇のフィルムに光を放っている。

見えないものをいたずらに恐怖を煽るのではなく、深く静かに考えさせられました。
数字による理詰めの議論よりもこういうイメージの方が効くって人も中にはいるのかもしれない。

公式サイトでは写真の販売も行ってますね。
Shimpei Takeda | SHIKA Inc.

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