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志布志市のウナギ少女のPR動画。炎上の境目はどこにあるのか

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志布志市のウナギを美少女に擬人化したPR動画が炎上の末、削除された。

水着少女が「養って」 志布志市のPR動画『少女U』が削除された理由は?

批判内容は、少女を養う(養殖する)というのが女性差別にあたるのでは、なんでスクール水着なのか、さらには擬人化したことによってカニバリズムを連想させるというのもあったようだ。擬人化は少女だっために、それを養殖するのが児童ポルノを連想させるというのもあった。

人の想像力は多様なので、どんな作品でも気持ち悪いという批判は起こりうるものだが、炎上するかどうかには境目はあるように思われる。もしこれが娯楽作品として(映画でもアニメでもなんでもいいが)提供されていたら、炎上しただろうか。

イカ娘はイカを少女に擬人化していたが、こういう批判は起きていない。ディズニー作品でも動物などの擬人化は数多くされている。少女を監禁する完全なる飼育という映画もある。炎上そのものには、娯楽作品か、行政のPR動画か、という発表された文脈の違いが大きく関わっているだろう。行政のPRの動画ならば、「そういうの好きな人がみれば?」では済まない部分は確かにある。

個人的には、なんでウナギの擬人化がスクール水着の少女なのか、必然性がないゆえに、PR動画なのに作り手のフェチみたいなものが前傾下してしまっているように感じる。気持ち悪さの源泉はそこかもしれない。どんな作品でも作り手のフェチや趣味、個性は大なり小なり現れるが、それに正当性を与えるためにいろいろ設定を考える。
現在大ヒット中の「君の名は。」でも脚本を作る段階で、気持ち悪さや不快に思える描写を洗い出す作業を綿密に行っている。

ただ、無造作にやると不快なものになりかねない。瀧は、三葉という別の女の子のことを見ているのに、なぜか奥寺先輩という他の女性が付いてくる。下手をすると無神経な展開になりかねませんので、そう思わせないための「回路」をきちんと作る。その点、脚本会議で「これは無神経ですよ」とか「気持ち悪いです」とかダイレクトに伝えてもらったことで、だいぶ助かりましたね。
『君の名は。』大ヒットの理由を新海誠監督が自ら読み解く(下) 新海誠・映画『君の名は。』監督インタビュー|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン

行政のPR動画なら、そうした作業はなおさら重要だろう。ウナギが少女になるのはなぜなのか、養殖という命の管理を人間に置き換えた時のリアクションはどうなのか、そいいう突き詰めて考える作業はどの程度行われたのかが気になる。

それから、この批判・炎上を言論弾圧と語る方々もいるようだが、動画公開もそれへの批判も等しく表現であって、一方へ反論の機会が保証されなければそれこそ表現の自由が侵されていることになる。
批判も自由、批判を受けて引っ込めるのも自由だ。

妖怪・憑依・擬人化の文化史
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