[PR]

TVアニメ「3月のライオン」第一話。シャフトとの相性はどうだったか

[PR]

羽海野チカ原作の傑作マンガ「3月のライオン」のテレビアニメの放送が開始された。

原作は全て読んでいるが、改めて羽海野チカの世界観がどう映像で表現されるのか、気になっていた。制作を担当するのは「魔法少女まどか☆マギカ」や「物語シリーズ」を手掛けたシャフトだ。シャフトは非常に個性ある映像作りをする、代替どの作品でも数十秒見ていると、「ああシャフトだな」とわかるほどにスタジオのカラーがはっきりしている。その個性がまどマギのようなとんがった物語にも非常に相性が良いのだが(ラブコメと日常ものもそのスタイルのままやって成功した作品もあるのはわかっているけど)、「3月のライオン」の下町の落ち着いた雰囲気と合うのだろうか、という危惧はあった。この題材なら長井龍雪、岡田麿里、田中将賀の『あの花トリオ』あたりの方が適任ではないだろうかなどと思っていたが・・・

しかし、なかなかこれがよかった。というよりシャフトらしさをそれほど全面に押し出していなかった。ちゃんとモブもいるし、独特のタイミングのカット割りもしていなかった。背景も作画も非常にキレイで声優陣の芝居もハマっている。原作の世界観が見事に再現されていた。

シャフトの個性はそれでも時折見られる。特に主人公の桐山の心の闇の心象風景の描写はシャフトらしさを感じさせる。得意技を使うべきときにはきちんと使い、それでいて原作のテイストをしっかりと保つ両輪の姿勢がきちんとあってとても良かった。カット毎の構図ではシャフトを思わせるものは散見されるけども、初回放送は、全体としてはマイルドで町の空気感がきちんと感じられた。優れたスタジオは何をやらせてもレベル高いのだな。

主人公を演じる河西健吾は非常に良い。いつも伏し目がちで髪も長い桐山はビジュアルとしては地味で引っ込み思案のような印象を与えるが、その実強い自我を持っていて、将棋の対局の際にはその強い自我が無意識のうちに出ていたりする。初回放送でも義理の父親との対局に対し、「一手一手素手で殴るような感覚がした」という表現があるが、静かな物腰の奥底にはそれだけ強い感情が渦巻いている。河西健吾の声は、その芯の強さのようなものが声にこもっていてハマり役だと思う。

まだ初回放送が終わった段階だが、これは秀作の予感がする。毎週楽しみだ。
TVアニメ「3月のライオン」公式サイト

3月のライオン 12 (ヤングアニマルコミックス)
羽海野チカ
白泉社 (2016-09-29)
売り上げランキング: 40
[PR]