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『パブリック 図書館の奇跡』監督・主演のエミリオ・エステベスにインタビューしました

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 ハフポストに『パブリック 図書館の奇跡』の監督・主演のエミリオ・エステベスのインタビュー記事を掲載しました。

 図書館が“民主主義”と“生命”を守る最後の砦に。『パブリック 図書館の奇跡』が問う公共のあり方とは | ハフポスト

 チャーリー・シーンのお兄さんですね。80年代に青春スターとして活躍した人ですが、今でもいぶし銀な俳優として活躍しています。監督としても優秀な人で『ボビー』とか有名ですね。本作も監督としての代表作になるのではないでしょうか。

 本作は、大寒波から身を守るためにホームレスたちが図書館を占拠するという話です。全米でシェルターが足りず、図書館はホームレスたちの居場所になっており、情報へのアクセスの自由だけでなく、図書館が生命を守る場所になってしまっている現実を反映しています。

 インタビュー、そして原稿作りにあたりアメリカの図書館とホームレスの関係についていろいろ調べましたが、驚くほど多岐にわたるサービスをしているのだと知りました。ヘアカットサービスや併設されたカフェでホームレスを雇用したり、ショッピングカートに物を入れて移動するホームレスのために、ショッピングカートのための駐車スペースを設けたり。

 本作でもオピオイド過剰摂取者の蘇生法の研修のアナウンスが流れるんですが、そんなことまで図書館員がやらなきゃいけないというのがアメリカの現状なんですね。記事の中でも紹介しましたが、リーマンショック以降にホームレスの図書館利用が増えているとのこと。ということは、コロナショックでまた増えるのでしょう。ここで描かれた図書館をめぐる問題はこれから一層深刻になるのだと思います。

 以下、記事作成のための構成とメモです。

ここからメモ

Point3つ
・脚本をリーマン・ショック後の現実に合わせて修正した
  それは偶然の産物だが結果的に良かった
・民主主義の柱
  多岐にわたる図書館の役割
  作品から。。。オピオイド過剰摂取の研修
  ホームレス支援の現実。。。カレントアウェアネスから。。。そこまで図書館がやらなければいけない現実がある
・パブリックという概念
  民主主義VS民主主義の対立。。。検察は民主主義を武器化している
  この映画は我々の権利を表現している。
  人こそが最も重要。一番重要な人が最後に去っていく、それは図書館員のこと
  図書館員への試写では大好評

Intro
公開日、タイトル
作品概要、、あらすじ、タイトル、監督について、

一言で映画を象徴できる言葉を引用する。→「図書館は民主主義の柱」、

それどころか生命を守る最後の砦になっている現状を描いている。

 

Body1 脚本をリーマン・ショック後の現実に合わせて修正した
それは偶然の産物だが結果的に良かった
エピソードは。元々脚本は、2007年に書き終えていて、2008年に準備に入り、キャスティングなんかも始めてたんですが、ご存知のような世界的な経済危機に襲われていて、一度頓挫。ただ、その時点で映画作らなくてよかったと思ってらっしゃるそうなんです。
実際そのリアルな様々な問題に、我々が実際に向き合っていたわけですよね、この時間の、長年の間。特にアメリカでは、社会的弱者に対して状況っていうのがどんどん変わっていて。なので、それに呼応するように自分の脚本というのも、かなり柔軟に変化していきました。本当に、フィクションというか、作り出すような必要がないぐらいにフェイクニュース、政治家たちが、ある状況を自分たちの利のために操ってしまう、あるいはメディアが、自分の数字を稼ぐために、ストーリをある形で報道してしまう。こういったことは、全てリアルタイムで起きていたんですよね。そしてもちろん今の米大統領が、後は、それが加速したような感覚があります。
 

Body2 多岐にわたる図書館の役割
作品から。。。オピオイド過剰摂取の研修から見る多岐にわたる図書館の役割

ホームレス支援の現実。。。カレントアウェアネスから。。。そこまで図書館がやらなければいけない現実がある

そのことについてエミリオ・エステベスはどう考えているか。
例えば、警察も、アメリカではホームレスの方あるいは心の病を持っている方、と、本来だったらば自分たちの業務の範囲にはないのに、そういった方々をケアする、といったことまで任されている。でも本当だったらば、アメリカの場合は、ソーシャルワーカーきちっとそういった方々の、どういう風に相手したらいいのか、というトレーニングを受けている方々が、引き受けるべきことなんだけれども、
ここ数年、実際に図書館を訪れる方に殺されてしまった、図書館員の方も何人かいらしたりするんですよね。ですから、とても大きな問題で、で、最近、ソーシャルワーカーの方を実際に図書館に常駐みたいな形で、みたいな試みも始まっているんですが、まだまだやっぱり数が足りていないというのが現状ですね。

米国の公共図書館はホームレス問題への取組みの最前線にある(記事紹介) | カレントアウェアネス・ポータル https://current.ndl.go.jp/node/26604
また、苦情も多いことを紹介したうえで、以下ようなプログラムの存在が列挙されています。
・ノースカロライナ州のGreensboroの図書館では、散髪や食事、血圧測定、職業カウンセリング、などを提供している。
・フィラデルフィア中央図書館では、ホームレスの人たちがスタッフを務めるカフェがあり、また洗面所が洗濯などに使用されないようホームレスの人たちが見回りをする取組みがある。
・フィラデルフィアやサンフランシスコ、ワシントンではソーシャルワーカーを雇用している。
・ウィスコンシン州のMadisonの図書館では、ショッピングカートやその他の手荷物用の“駐車場”がある。

映画の中にも登場するホームレスの裁判の例

CA1809 – 動向レビュー:ホームレスを含むすべての人々の社会的包摂と公共図書館 / 松井祐次郎 | カレントアウェアネス・ポータル https://current.ndl.go.jp/ca1809

 過去の議論と動向1-1. クライマー事件 ホームレスと公共図書館に関する日米における過去の議論については、「問題利用者」論の動向レビューで既に整理が行われている([CA1479](http://current.ndl.go.jp/ca1479)参照)。そこでは米国における研究の蓄積に比して、日本における議論の少なさが指摘されている。

 ただし、この問題を議論する時に必ずと言っていいほど引き合いに出される米国の「クライマー事件」に関する論考については日本でも充実している[ (5) ](https://current.ndl.go.jp/ca1809#ref)。

 クライマー事件は、米国ニュージャージー州モリスタウン公立図書館とホームレスの利用者R.クライマーの間で争われた訴訟事件である。他の利用者を凝視するなどの迷惑行動や体臭により、クライマーに関して他の利用者からの苦情が集中したことを受け、1989年に図書館側は利用者行動規則を制定した。そして、この規則による規定を根拠に図書館はクライマーに複数回にわたって退館を命じた[(6)](https://current.ndl.go.jp/ca1809#ref)。

 1990年1月、クライマーは、ホームレスであるがために図書館から追い出されたとして、モリスタウン警察や図書館などを相手取り提訴した。同年5月のニューアーク連邦地裁の判決は、クライマーの主張を全面的に受け入れ、当該規則の該当条項は連邦憲法及び州憲法に反するとして、その効力を否定した[(7)](https://current.ndl.go.jp/ca1809#ref)。

 同判決は、ホームレスに対する嫌悪感は一般の人たちが作り出したものに他ならず、ホームレスの図書館利用の権利を取り上げるのではなく、ホームレスの置かれた状況を解決しなければならないとの問題意識を明らかにしている[(8)](https://current.ndl.go.jp/ca1809#ref)。

 
Body3 民主主義の最後の砦
図書館員への試写では大好評、一方、フォーブズのくだらない記事に象徴される無理解
エミリオ「数年前に、アメリカの結構経済ビジネスの記事にするフォーブスで、という媒体で、あるジャーナリストが、「なぜ図書館などまだいるのかと、Google・Amazonがあるじゃないか、と、インターネットがあるじゃないか」と言った方がいたそうなんですね。この記事は、みんなの怒りによって、あっという間になくなったそうです」

 
民主主義VS民主主義の対立。。。検察は民主主義を武器化している

パブリックという概念についての物語である。

ジェフリー・ライトのセリフ「民主主義の最後の砦」
エミリオ「ニューヨークの図書館システムのプレジデント、トップを務められているトニー・マークスさんが、この映画を観る前におっしゃった言葉で、「図書館というのは静かに民主主義というものを守っているんだ」と、そのことをおっしゃってます。全く同じ気持ちです。で、苦笑してたのは、アメリカでは、この台詞が、ちょっと鼻につくとか、上から、わかりやすく、上からじゃないかというような、そんな風に言う方もとても多かったんですよね。でも、図書館員はすごく同感だ、と言ってくれるわけです」

これは、NY公共図書館の映画でも紹介されていた言葉だ。

図書館は単なる無料貸本屋なのか? ニューヨーク公共図書館が貫く“民主主義”とは | ハフポスト https://www.huffingtonpost.jp/entry/nypl_jp_5cdba612e4b0c39d2a135467
「社会格差が広がり、高齢化を迎えている日本だからこそ、誰もが無料で利用でき、サポートを受けられるNYPLのような場所がますます必要になると思います。この映画を観て、図書館の可能性に触れてほしいですし、単なる無料貸本屋批判に終わらない、幅広い議論のきっかけになればと思います」(菅谷さん)

人こそが最も重要。一番重要な人が最後に去っていく、それは図書館員のこと
図書館は建物にすぎないわけですよね。で、そこに訪れる人と当然図書館員の方々が図書館という存在を作り上げている。最後におっしゃってましたけれど、図書館は最後、1番重要な人々が最後に去っていく、と。毎日毎日、お家に帰る図書館員のことをそう言うそうなんですが。

この映画は我々の権利を表現している。
エミリオ「この映画が表現している、象徴しているのは、私たちみんなだし、我々の権利であるし、我々の集まれる権利、そして自由に発言できる権利、情報へのアクセスを持つ権利、で、その情報へのアクセスっていうのは、邪魔されない権利、全て象徴していますから」

 

concl
図書館は民主主義の柱どころか、格差社会に喘ぐ人々の生命を守っている。
リーマンショックの不況後に図書館を利用するホームレスが急増した現実(カレントアウェアネスから引用する?)

コロナ後にも同じことが起きるかもしれない。図書館は情報の自由だけでなく、人々の生命を守る戦いの最前線に立たないといけなくなってしまっている。

決められた役割を果たすだけではない、公共のために必要であればやることを増やし、時に法に逆らうことで公共概念を守る必要もある。図書館の負っている大きな役割は、公共とは何かを考える上で非常に大切な何かを問いかけている。

図書館の占拠時代は法律違反。しかし、今回はその行為が公共(パブリック)の精神を守っている。パブリックとは法を守ることか、人を守ることか。

  
**質問**
あなた自身はこれまで図書館をどのように利用していたのですか。作中ユニークなエピソードがたくさん出てきます。これらは実際に見聞きしたものも含まれているのですか。例えば裸で歌い出す人とか。

閉館間際の図書館でオピオイド過剰摂取者の蘇生法の研修のアナウンスが流れています。なぜ図書館の人間がそんな研修を受ける必要があるのでしょうか。

アンダーソンは情報の自由のために人生を捧げてきたと言っています。そんな図書館が生命まで守らねばならない現状をどう考えていますか。シェルターに空きがないという話が出てきます。

アンダーソンの図書館は民主主義を守る最後の砦というセリフが出てきますね。なぜこのセリフを書いたのですか。

検察官は法と民主主義を守るのが仕事と言っています。図書館員の考える民主主義と検察官の言う民主主義、同じ言葉だけど意味が違うようですね。法律や制度がホームレスの人々を守れない、そんな法律や制度は民主主義と言えるのか。

なぜパブリックというタイトルにしたのですか。図書館だけの問題ではないからですか

コロナウイルスで全米の図書館も休館したと思います。そして大量の失業者が出ました。図書館の役割はますます増大するのでしょうか。

図書館はホームレス問題の最前線なのだとこの映画を見て感じました。

ホームレスの臭いが理由が追い出して、ホームレスが勝訴したという話がでてきます。しかし、他の利用者の迷惑にならないようにするにはどうすればよいでしょう。

パブリックとはなんでしょうか。法律を守るだけが公共を守ることではないという考えが見えてきます。ジョシュ・デイヴィス(クリスチャン・スレーター)は法と民主主義を守るのが自分のしごとだと言っていますが、この映画で本当に民主主義を守っているの誰でしょうか。法律や制度がホームレスの人々を守れない、そんな法律や制度は民主主義と言えるのか。

ザ・パブリックというタイトルですが、公共図書館の役割とは何かと考えますか。

図書館の役割は多彩でただの無料貸本屋ではないわけですね。

図書館は生活を支えるインフラなのだとNY公共図書館の人が言っていました。ここでは文字通り生命を守る最後の砦であるわけですね。

リーマンショック後、ホームレスの図書館利用は急速に増えたというが、今回のコロナで大量の失業者を出したアメリカで、図書館の役割はますます重要になるのでは。

本来、生命を守るべきは別の施設ではないかと思います。図書館がそれをやらないといけない現状をどう思いますか。

以下、参考リンク
米・公共図書館協会(PLA)、新型コロナウイルス感染拡大下の公共図書館の対応状況の調査結果を発表 | カレントアウェアネス・ポータル https://current.ndl.go.jp/node/40748

ホームレスの人々へのサービス:新型コロナウイルスによる休館中にできること(米国) | カレントアウェアネス・ポータル https://current.ndl.go.jp/node/40582

米国の公共図書館はホームレス問題への取組みの最前線にある(記事紹介) | カレントアウェアネス・ポータル https://current.ndl.go.jp/node/26604

U.S. libraries become front line in fight against homelessness – Reuters https://www.reuters.com/article/us-usa-homelessness-libraries/u-s-libraries-become-front-line-in-fight-against-homelessness-idUSKBN0FM16V20140717

CA1809 – 動向レビュー:ホームレスを含むすべての人々の社会的包摂と公共図書館 / 松井祐次郎 | カレントアウェアネス・ポータル https://current.ndl.go.jp/ca1809

図書館は単なる無料貸本屋なのか? ニューヨーク公共図書館が貫く“民主主義”とは | ハフポスト https://www.huffingtonpost.jp/entry/nypl_jp_5cdba612e4b0c39d2a135467

メモここまで

 カレントアウェアネスには相当お世話になりました。全米の図書館事情についてよくわかりました。質問については、用意した全部できわけではありません。30分しかなかったからね。ちなみにリモートでのインタビューでした。

 以前、フレデリック・ワイズマン監督の『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』についての記事も作っていたので、それも大きな助けになりましたね。その時も、アメリカの図書館のサービスの多彩さに驚きましたが、今度は生命を守る最後の砦になっているとは、またも驚きです。本作と合わせて見てもらうと理解が深まると思います。菅谷明子さんの以下の本も大変参考になります。
 
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