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『SAOアリシゼーション』ボトムアップ型AIがもたらす新しい人権意識と差別について書きました

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 リアルサウンドテックに『ソードアート・オンライン アリシゼーション』について書きました。

 AIの発展は新たな差別を生み出すか? 『SAOアリシゼーション』で投げかけられた問い|Real Sound|リアルサウンド テック

 ポイントをAIの2つの開発アプローチ、トップダウン型とボトムアップ型に絞って書いています。記事中にも言及していますが、全ての生物はボトムアップ型で進化してきたというのが重要で、ボトムアップ型の開発が成功したSAOの世界では、それはもはや人間と変わりない存在で、それゆえにそこには新しい差別、新しい人権の概念が必要になるよね、ということを書いています。今回の『SAOアリシゼーション』はそういうことをテーマにしているんじゃないでしょうか。

 ここで描かれたことは、これから確実に人間社会が直面する問題なんだろうと思います。それを先取りして描いた、とてもSFらしい作品ですね。

 
以下、メモです。

—-

AIの開発手法はその初期から今日に至るまで2つの対立したアプローチがとられている。トップ・ダウン型とボトム・アップ型だ。
トップ・ダウン型はマーヴィン・ミンスキーを筆頭に、 脳の生理学構造をひとまず無視して、シンボルやルールで人工知能を作り上げようとするもの。
ボトム・アップ型はフランク・ローゼンブラットを筆頭に、神経構造を重視するものだ。
これら2派は1960年代まで競い合ったが、神経構造モデルのパーセプトロンの限界が示されボトムアップ型は下火となる。
この辺の解説は、ハワード・ガードナー「認知革命」やパラメ・マコーダック「コンピューターは考える」がおもしろい。
それ以降1970年まではトップダウン方式全盛の時代だったが、「背景知識」や「フレーム問題」など根本的な問題を解決することはできなかった。
1980年代になってコンピューターの進歩によって、ボトムアップが見直され、「コネクショニズム」として、再び表舞台に登場してくる。http://kamakura.ryoma.co.jp/aoki/paradigm/History-of-AI.htm

 

ほぼすべての工学製品が「トップダウン型」の設計方法でつくられるのに対し、生物は「ボトムアップ型」の方法で進化してきました。 https://www.data-max.co.jp/article/32873

人間の持つ「脳」・・脳細胞が一千億個連結された生態器官の構造そのものを、人工の電気的装置によって再現し、そこに「知性」を発生させようという考え方。もし実現すればそこに宿る「知性」は、「トップダウン型AI」とは本質的に違う、真の人工知能と呼べるものになるかもしれません。 https://www.infini-forest.com/guest/tips/commentary/detail/ai#/

本物の人工知能を目指して(5ページ目) | 日経クロステック(xTECH) https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/032300023/00001/?P=5

AIはどこまで人間に近づくのか――人工知能が「創造性」を持つまで(現代ビジネス編集部) | 現代ビジネス | 講談社(4/5) https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70702?page=4

「シンギュラリティと AI」〔第 1 回〕人を超えるとはどういうことか? https://jsai.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=8820&file_id=22&file_no=1

 

Point2つ
・トップダウン型AIとボトムアップ型AI、2つの開発手法
  SAO6話から引用していく
  生物の進化はボトムアップ型で進化した
・そのAIに人間としての権利はあるのか
  菊岡は、10万人のAIより一人の自衛官の命の方が大切
  アスナとキリトは、ユイという娘を持っているがゆえに、AIにも人間と同じ権利があるべきだと考えている
  実際に仮想世界で生まれ成長したアリスは、現実世界を生きるようになる

この2つを柱とする。

 
Intro
SAOアリシゼーション編が佳境を迎えている。

この作品で、描いたAIの進化はなぜすごいのか。それが実現したら世界はどう変わるのだろうか。

 
Body1 トップダウン型AIとボトムアップ型AI、2つの開発手法
トップダウン型とボトムアップ型の開発アプローチの違いは、SAO6話から引用する。

工学製品はトップダウンで作られるが、生物の進化はボトムアップ型である。

ほぼすべての工学製品が「トップダウン型」の設計方法でつくられるのに対し、生物は「ボトムアップ型」の方法で進化してきました。 https://www.data-max.co.jp/article/32873

現状のAI開発のほとんどは、トップダウン型。ディープラーニングがどれほど進化しても、それは「ものすごく頭の良い機械」でしかない?

 
Body2そのAIに人間としての権利はあるのか
菊岡は、10万人のAIより一人の自衛官の命の方が大切
VS
アスナとキリトは、ユイという娘を持っているがゆえに、AIにも人間と同じ権利があるべきだと考えている。人の定義の拡張か。

実際に仮想世界で生まれ成長したアリスは、現実世界を生きるようになる(ネタバレになるかもしれないので避ける方が無難か)

 

入れるかどうするか。

Body3 宇宙派と地球派、2つのAIに対する考え方

日本におけるミスターシンギュラリティこと,宇宙物理学者にして神戸大学名誉教授の松田卓也先生によれ ば,AIについての考え方で「宇宙派」,「地球派」という分け方がある. AIは当たり前であるが人のために人が開発するものである,という立場が地球派である.これに対して,宇宙派は,主役を「人」ではなく「知能」と考えるのである.そして知能の目的はその知的レベルの向上である. この見方だと,人類が登場するまでにおいて,他の生物によりそれなりに知能のレベルが向上し,人類の登場によりレベルが格段に向上し始める.そして人類が生み出したAI,そして,人を超えるAI の登場によりさらに知能のレベルが指数関数的に向上していくという流れである.人類は知能という主役がその知的レベルを向上させるある一時代を担ったという見方である.https://jsai.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=8820&file_id=22&file_no=1

 

 メモ、終わり。

 生物の進化はボトムアップ型であり、工学製品はトップダウン型、という区分は重要ですね。だから、ボトムアップ型の開発で生まれたアリスは人間と言えるのだというのが本作の肝。それは、今現実で開発されているトップダウン型のAIとは根本的に違うわけですね。

 そして、そんなAIから生まれた命に対する差別感情にこれから人類は向き合うよという話でまとめました。これはTVアニメの22話で描かれましたね。この原稿は21話放送までの段階で書いています。

 地球派と宇宙派の考え方の違いも大変興味深いですが、『SAOアリシゼーション』ではそこまで語られてないなと思ったので、蛇足だなと思い削除しました。本作はあくまで人間の域にとどまっている作品です。そこに良さがあるんだろうと思います。

 
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