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『機動戦士ガンダム』のシャアについて書きました

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 アニメ!アニメ!の敵役連載、今月は『機動戦士ガンダム』シリーズのシャアを取り上げました。

 仮面の下の素顔は空虚…だからこそシャア・アズナブルは「何者にもなれない」私たちの胸を震わせる | アニメ!アニメ!

 シャアをやってくださいと振られた時、「正直難しいなあ」と思いました。さんざん語り尽くされているキャラクターや作品を改めて取り上げるのは大変です。オリジナルの視点を提供することが難しいですし、それぞれの人が持つカッコとしたシャア像があるし。

 とはいえ、敵役を取り上げる連載でシャアが出てこないのはどうなんだというのもありますし、いつかは書かないといけないんだろうとは思っていました。

 シャアの魅力は語弊を恐れずに言えば、中途半端なところだと思っています。彼は劇中、本当にいろんなことをやりますが、腰を据えてずっとガンダムパイロットだったアムロとはそこが一番対照的だと思います。確固たる自分を持てない空虚な存在だからこそ、惹かれるタイプのキャラクターという視点で書きました。

 以下原稿を作る時のメモと構成案です。

—-
26話復活のシャア:「子どもじみているだろ」と自分のことを言う・ガンダムを自分で倒したいと言う。

32話強行突破作戦:シャアはドミトリの勝手な出撃にかなり機嫌悪くなる。自分の知らないモビルアーマーにも気に入らない様子。

自分のコントロール下にないことが許せない、、、? 支配欲の強さがあったのか。

34話宿命の出会い:実践というものはドラマのように格好いいものではない。

シャアという英雄もまた、ドラマのように格好いい存在ではない。

過去を捨てたからマスクをする
38話再会、シャアとセイラ:「復讐それだけの男と思うのか」というセリフ。。。人類全体のことを考えている? 
 

仮面の悪役の系譜、
オペラ座の怪人など、古今東西の仮面キャラについて考察してもいいか。

何が本当のシャア・アズナブルなのか。

評伝シャア・アズナブル

彼の不幸はニュータイプとして2流でありながら、見識においては1流だったこと(下P166)

英雄でありながら、終生独りの男だった

ニュータイプのなり損ない、、、シロッコのセリフ

シャアは、いろんなものになりそこっているのではないか。
・復讐者になり損なっている・・・・ガルマを謀殺して虚しさを感じてしまった・・・満足感を得られたなら復讐鬼への道を歩めたかもしれない
・極悪非道な独裁者にもなり残っている・・・・甘さがどこか拭いきれない部分がある・・・ギレンの方が独裁者らしい独裁者ではないか
・パイロットとしても、アムロやZガンダムに出てくるニュータイプのパイロットに比べると劣る存在になってしまう。

「ガルマ様の時・・・むなしくなりました。
      キシリア様流に言えば、復讐の後に何の昂揚感もなく、
      ただむなしい自分を見つけた時、おかしくなったのです。
      自分に笑ったのです。」
キシリア「私の父も、そうらしいが・・・」
シャア  「で、父の言うようなニュータイプの時代の変革があるのならば、見てみたい。
      それが自分の野心です。」

 
 

Thesis:いつも何かになり損なった男・・・何者にもなれなかった男・・・仮面の下の素顔は空虚
復讐者になりそこねた、一流のニュータイプになりそこねた、指導者になりそこねた(じぶんではそれは道化だと感じていた)、愛する人を守るような男になれなかった。

シャアは本名ではない。名前についてと仮面について。有名すぎる彼の本質的な匿名性について。

人類を革新しようと一番熱心なのに、オールド人類っぽさを引きずってしまってもいる。でも完全にニュータイプの素養がないわけでもなさそうなので、オールドタイプにすらなりそこなっている。

やはり仮面とペルソナの話だろう
仮面で正体を隠した男、仮面を脱いでも誰かを演じ続けていた。演じられた悪役

Thesis;:何者にもなれない、仮面の男シャア・アズナブル

仮面の男であるということの、外見以上に本質的な意味を書く

Body1
シャア・アズナブルはつかみどころのない男だ。ときに言っていることとやっていることが違う。復讐者かと思えば、大局を見据えた
シャアは仮面をしている、そして偽名を使っている。

しかし、後年仮面を脱いでも彼は別の人間を演じ続けた。
仮面をしている、それは本心を隠しているということで、演じているということ

Body2
彼は何かにいつもなりそこなっている
最初、ザビ家への復讐に燃えているので、アムロのことを気にかけていない。ライバルになりそこねている。
その後、復讐して虚しくなっており、復讐者になりそこねている。。なぜキシリアを殺したのか、復讐の一環とは別の意味がおそらくある。
そして、一流のニュータイプに、つまり自分の理想になりそこねている。
それを決定的に突きつけられるのがララァとアムロの邂逅。。。私はお前の才能を愛していると言った。。。でも、ララァはアムロの才能と共振してしまい、男としてシャアは選ばれる。

 

 
 メモ、終わり。

 なかなか苦しんでいるなという印象です。悩ましかったのは、『機動戦士ガンダム』から始まった当初のシリーズと、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』で設定が異なる点です。この設定の違いをどう扱うべきだろうというのは、迷いました。結果としては、『ORIGIN』は大きく参照せず、昔の作品で描かれるシャアを参照して書いています。『ORIGIN』のシャアについて書くとすると、やはり復讐者としての側面を語る必要があるんでしょうね。

 しかし、『機動戦士ガンダム』においては、シャアは復讐もしてるけど、復讐そのものは半端な状態だなと思います。ザビ家を自分の手で根絶やしにするわけでもなく、キシリアを最後に殺したのも復讐以外の動機が入り込んでるようにも思えます。

 本当にそこからたくさん紆余曲折していくキャラクターですが、だからこそ人を惹き付ける何かがあるんでしょうね。その一端にでも触れることができたかどうかわかりませんが、参考になれば幸いです。

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