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安野モヨコ『監督不行届」のレビューを書きました

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 リアルサウンドブックに安野モヨコ氏のエッセイマンガ『監督不行届』のレビューを書きました。

 安野モヨコがいなければ『シン・エヴァ』は生まれなかった? 『監督不行届』から読み解くオタク夫婦の絆|Real Sound|リアルサウンド ブック

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開と、NHKのドキュメンタリー「プロフェッショナル仕事の流儀」庵野秀明スペシャルで、庵野監督の私生活と夫婦生活が改めて注目されていたので、これを書こうと思いました。

 この本、一応フィクションとは銘打ってますが、まあ結構リアルな部分も多いようです。

 最初は単純にカントクくんの面白い生態について書こうと思っていましたが、改めて読んでみると、安野モヨコ氏の分身ロンパースもカントクくんに救われている部分が結構描かれていて、なるほどこの夫婦はだから上手くいってるんだと納得できる内容だったので、そちらに比重をおきました。

安野モヨコ氏もオタクなんですよね。でもそれを隠して生きざるを得なかった。それを庵野秀明カントクと出会い、隠さなくてもよくなったのがよくわかります。

 
 
 以下、原稿作成時のメモと構成案です。

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Point3つ
オタクを隠していた女性漫画家がオタクの嫁になったこと
 本当の自分はどっちだ。
 安野モヨコのエッセイの変遷
 美人画法、監督不行届、くいいじ・・・美人になろうという女子力からオタクの嫁として開き直り、鎌倉で食い意地と話に目覚める
庵野監督との生活は大変だけど楽しいのだ。安野モヨコにとっても自分らしく生きられるから
庵野監督は乙女?

 
 
Intro
シン・エヴァンゲリオン劇場版』の制作ドキュメントを見て、安野モヨコの功績をたたえる人が多かった。

生活に無頓着すぎて、着替えない、風呂に入るのも忘れるほどの生活力のない庵野秀明を生き長らえさせて『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を作れるようにしたこと、そして、希死念慮さえ時折いだく庵野秀明の心のよりどころとなっていることなど。

そんな安野モヨコと庵野秀明の夫婦生活を綴ったのがコミックエッセイ『監督不行届』だ。ドキュメンタリーとは異なる当人たちの視点で、二人の大物作家のオタク夫婦生活がつづられている。
これを読むと安野モヨコもまた庵野秀明に救われている面があるのだということもわかってくる
 
 

Body1安野モヨコはオタクである
本書には日本のオタク四天王と呼ばれる「カントクくん」と結婚した漫画家「ロンパース」の夫婦生活をコミカルに描いた作品だ。

フィクションであること。

巻末に庵野監督がいろいろアイデア出しもして、面白く見せていることが語られている。

オタクの嫁が務まるか不安というところから始まり、結局自分もオタクだったことに改めて気づく過程がつづられている。

そう、庵野秀明は相当にオタクであるが、実は安野モヨコも相当なものなのである。

しかし、ロンパースはそれを隠して生きてきたのだという。同業者がオタク男子と付き合ったこともないと語られる。
彼女の代表作は確かにイケてる女たちの悲哀が描かれていて、オタクの生態とは程遠く見える。同時に数々の小ネタに作者のオタクぶりが表れている。

基本的には、カントクくんに振り回される毎日なのだが、一方で彼女の今までひた隠しにしてきたオタクぶりをさらけ出すことができて、自分らしく生きれてしまっている面があるのだ。

さらには、エストを受けるカントクくんを見て、このままでは普通の男になってしまうことに危機感すら覚えるようになる。なんだかんだ、刺激的な生活なのだ、このオタク生活は。

普通の人と付き合えばいつか中和されて、オタク度の低い女(モテ)になれるんじゃないか。

監督不行届以前のエッセイ『美人画法』ではそういう努力の痕跡がたくさん表れている。
そして、ハイパー、ワンダーを巻を重ねるとだんだん心の持ち方の話になってくるのが面白い。
本書で鎌倉に引っ越すエピソードがあるが、その鎌倉での上手い者三昧をつづった「くいいじ」も面白いエッセイだ。
 
 

Body2 マンガを読者の避難場所にしないすごさ
巻末の庵野秀明のコメントが泣ける。
つらい過去の呪縛と常に向き合わなきゃいけないし、

嫁さんのマンガのすごいところは、マンガを現実からの避難場所にしていないとこ
マンガを読んで現実に還る時に、読者の中にエネルギーが残るようなマンガ
それは自分がエヴァでできなかったこと。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でようやくそれが出来たのではないか。

そういう意味でもやはり安野モヨコがいなければ、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は完成しなかったのだろう。本書を再読すると心からそう思える。

 
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 メモ、終わり。

 本書は本編も面白いですが、巻末の庵野秀明監督のエッセイも面白いです。「マンガを現実からの避難場所にしていない」と安野モヨコ氏のマンガを評しているのが印象的だったので、そこも原稿に入れたいなと思いました。

 
 
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