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『劇場版 呪術廻戦 0』のレビューを書きました

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 リアルサウンド映画部に『劇場版 呪術廻戦 0』のレビューを書きました。

 『劇場版 呪術廻戦 0』には言葉の力が込められている “言霊の国”で年末に大ヒットした因果|Real Sound|リアルサウンド 映画部

 大ヒットスタートなり、良かったです。映画館の救世主になるのはまたしてもジャンプ原作のアニメ作品でした。日本のコンテンツ産業の中心に位置する存在になったと言っていいでしょうね。

 本作のレビューを書くにあたり、どこにポイントを置くべきか悩みました。声優さんの芝居のことや、テレビアニメのシリーズを観ていなくても大丈夫かどうかとか、アクションがすごいとかは、結構多くの人が書くだろうと思いましたので、どこを紹介すべきだろうかと。悩んだ結果、作品の中心的アイデアである「呪い」のそもそもから掘り起こして、言霊の力をテーマにしました。

 棘の活躍もあるし、ちょうどいいんじゃないかと。乙骨くんの呪いの原因もふとした言葉がきっかけになっていますし、夏油の最後のセリフも呪いと言葉の関係を端的に示していると思います。

 で、言葉の力に敏感になると本編読む時ももっと面白くなるんじゃないかと思ったのです。僕もこれを考えてみて、虎杖くんがどうして戦うのか、理解が深まった気がします。
 
 
 以下、原稿作成時のメモと構成案
 
 
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言葉と呪い。人を縛り付けるもの。。。言葉と呪い、そして愛

呪いのポイント・・・・呪いとは物理的手段によらず、誰かや社会に災いを与えようとするもの。精神的な打撃を与えるもの・・・・だから言葉と相性が良いのか

「呪術廻戦」に描かれた”呪い”のルーツを紐解く | ゲーム・エンタメ | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

言霊の国、日本の物語。。。言葉の持つ力とは。。。。本編以上に言葉の力の危うさが描かれる
言霊の幸わう国 言霊の幸わう国とは
 
 
Thesis 言葉と呪い、そして愛

Point3つ
言霊の国、日本の物語
 本編以上に言葉の縛る力に自覚的なストーリーとなっている
  棘の活躍回、愛している、結婚するの、死んじゃ駄目だ
  言葉に決意を出すことで変わるきっかけとなる
  猿という言葉を使うことで言い聞かせているかのよう
呪いと言霊の関係
 愛ほど歪んだ呪いはない
 愛もまた誰かを縛るものとして位置づけられる
 自らこれになら縛られてもいいという無償の形を純愛と呼んだ
こうなると本編の虎杖の祖父が言った「お前は人を助けろ」も呪いだということに説得力が増す。
 こっちはこっちでメンドクサイ呪いがかかってるんだわ
 穏やかに死ぬことを目標という若い主人公らしからぬその目的は、祖父の呪い
 
 
多くの言葉が軽々しく飛び交う現代社会。その言葉は知らずのうちに誰かを呪っているだろう。言葉の危うさ、大切にする気持ちが込められている。

派手な呪いのバトルの裏には、言葉の物語があるということ。。。。少年漫画的な作風として必要なので。
 
 
Intro
日本は言霊の国である。新年は特にそれを感じさせる
「ことほぎを紡ぐ」 日本人古来の心根が今も息づく、 京都のハレ支度をたずねて (1/3) – T JAPAN:The New York Times Style Magazine 公式サイト

そういう時に呪術回線が大ヒットしているのは良い、とても良い。本作もまた言霊の危なさと素晴らしさについての物語と言えるからだ。本編以上に言葉の力が意識されているといえる。

 
 
Body1呪いと言葉
言霊信仰から呪いもまた生まれた。

祝祝詞,神託,呪文はとりわけ古代社会で重視された言霊信仰の反映であるし,忌詞 (taboo) の慣習と,それによって引き起こされる婉曲語法 (euphemism) の発達は,現代の諸言語にも広く見られる.
#1876. 言霊信仰 (keio.ac.jp)

負の感情から生まれる呪い。。。。感情とは言葉を学ぶことで自覚していく。
言語によって感情が規定されていき、それは言語によって拡散していき呪いとなって集積していく。

本作の主人公は、結婚するの、大好きという言葉に呪われている。

中盤で、2年生のうち、呪言を扱う棘の活躍が描かれることで、言葉の持つ呪いの力が強調される。棘はおにぎりの具でしか会話しないのも、不用意に相手を呪わないためというが、それだけ言葉とは放っただけで誰かを呪うことがあるものだ。

言葉で呪いを解くと決意を口にすることで彼は強くなっていく。
 
 
Body2純愛
無償の愛のカタチを純愛と呼ぶ、相手に自分をささげる覚悟を純愛という言葉で主人公は表現する。。
愛ほど歪んだ呪いはない。。。だからこそ、呪霊の理香の力を最大限に引き出したと言えるかもしれない。
愛が歪んだ呪いとは、どういうことだろうか。そして美しい愛とは、。。。すすんでこの人になら縛られてもいいと思える自発的な制約を課す姿に純愛と読んだ
 
 
Body3本編
虎杖は、「お前は人を助けろ。死ぬときは穏やかに人に囲まれながら死ね」と死に際の祖父に言われ、呪術を学ぶことになる。。。。一巻

これもまた呪いだ。虎杖は人を助けて生きるしかなくなってしまった。
それは本人にも自覚されている。「こっちはこっちでメンドクサイ呪いがかかってるんだわ」。。。一巻

現代は軽々しく言葉が飛び交う。そのせいで呪いが渦巻いている。

それよりも言祝いだ方がいい。年末年始に言葉を大事にする本作が公開されているのは福音だ。

あけましておめでとう。今年も良い年でありますように。。。。最後の言祝ぎを実践して締める。
 
 
 
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メモ終わり。最後の言祝ぎはフライングになってしまった・・・。いや、年明けぐらいの掲載だろうと思っていたので。

 おじいちゃんの遺言は素敵な言葉なんだけど、それで虎杖くんは戦わないといけなくなったのかと思うと、本人の言う通り呪いみたいなもんですね。 

 呪いは調べてみると、意外と奥が深いものでした。今でも日本で呪いとか呪術とかを用いる地域あるんですね。

 参考にこの「呪いと日本人」を読みましたが、大変読み応えある本でした。『呪術廻戦』の副読本としてオススメです。

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