[PR]

『シチリアを征服したクマ王国の物語』のレビューを書きました

[PR]

 リアルサウンド映画部で、『シチリアを征服したクマ王国の物語』のレビューを書きました。

 『シチリアを征服したクマ王国の物語』は世界を見通す一流の寓話だ 人の歴史の真実を紡ぐ|Real Sound|リアルサウンド 映画部

これはメチャクチャおすすめの映画です。児童書原作のアニメーション映画ですが、絵が素晴らしい。どこを切り取っても一流イラストレーションとして通用する画力です。色使いも素敵ですね。動きも美しくて滑らか。アニメーションとして見どころ満載です。

 物語も非常に奥深くて、世界とはこうなっている、という寓話として一流だと思います。

 今年を代表する1本だと思います。

 
 以下、原稿作成時のメモと構成案
 
 

——————-

「とおいむかし、けものたちは善良で、人間は性悪だった。」。。。原作の冒頭の一文

映画『シチリアを征服したクマ王国の物語』公式サイト
ロレンツォ・マトッティ。雑誌「ザ・ニューヨーカー」の表紙などを手がけるイラストレーターとして活躍し、バンデシネ作家としても知られる。絵本にアニメにと領域を広げてきた彼は、建築学と伝統の西洋美術に裏打ちされた確かな画力と、赤・緑・青の色彩のグラデーションが特徴的だ。

物語の構造に注目
自然からやってきたクマたち、、、やがて独裁、腐敗を起こす
人間という暴君を倒したクマもやがて独裁者となっていく皮肉
トニオと少女の小さな絆
原作との比較も必要・・・トニオたち若い世代が希望となっている。、大道芸人が語るというスタイルになっている。
 
 

色彩感覚
アニメーションにとって色は何か。
現実の再現・・・写実的な役割
象徴的な役割・・・色の約束事によって特定の意味を伝える
感覚的な役割・・・・現実の色彩に捉われずに自分の感じたままの色を塗ることを意味
伸びる影の意味は

美術と「色」 | 2016年度「色」 | 南京大学集中講義 | LAP: TODAI Liberal Arts Program

アニメーションの魅力
 
 

子ども向けだが深いお話
それは、子供向けと子ども騙しは違うから

様々な業種・視点からアナログゲーム業界を見る「ブシロードTCG内覧会」セミナー(後編) ( 1 / 3 ) | DuelPortal トレーディングカードゲームコミュニケーションツール
子供向けのコンテンツとは、「大人の自分が本当にかっこいいと思っている(こと)を、分かりやすく伝えているコンテンツ」です。
「これは絶対に子供だってかっこいいと思うはず!でもちょっと難しい(分かりづらい)かもだから、分かりやすくしよう!」これが子供向け。
逆に子供だましとは、「大人の自分はあんまり好みじゃないけど、たぶん子供はこういうのがたぶん好きなんだろうと思って作られているコンテンツ」です。

今川泰宏②「落差」と「リアル」を学んだ『アルプス物語 わたしのアンネット』 | Febri

Point3つ
権力は必ず腐敗する。純粋なクマでさえも。。。この寓話の持つ力。。。歴史の必然を寓話にしている
  ただの人と自然の対立の物語、ではない
絵本から飛び出たような、鮮やかな色彩のアニメーション
  伸びやかで躍動的なキャラクター芝居、表現主義的な感覚の色彩
  色とは、作り手が世界をどう見ているかの直接的な表象
  大蛇と大猫のスペクタクル
次世代に希望を託すアレンジ

 
 
Intro
公開情報

驕れるものも久しからず、ということを考えてしまう。。。。どんなに権勢を誇っても終わりがやってくる、どれだけ聖人君子の盟主でも、権力を得て腐敗する。それは個人としての倫理では押しとどめられない必然としてこの世界にあるようなもの

本作はそれを寓話を用いて、子どもにわかるように伝えている。
人の残酷さと自然の過酷さ。そして権力の腐敗構造と冨による堕落を、楽しさ満開のアニメーションで描く。
絵本から飛び出たような鮮やかな色彩のグラフィックを縦横無尽に動かして、みせる

そのような複雑かつ、残酷な物語を子どもに理解できると思わない人がいるかもしれないが、それこそ子供騙しで子どもをなめてはいけない。上質な子ども向けの作品だ。つまりは子供だましではない、本気で考え抜かれ細部まで作り込まれた、世界の本質を知るための寓話だ。
 
 
Body1
あらすじ
旅の道化師がクマに語り聞かせることで進行する。
 
2段構えの物語であること
クマが圧政を覆し、子どもを取り返しめでたし、めでたし・・・それを人間の道化師が信じている。
その後、クマの独裁が始まってしまう様子をクマが語り聞かせる

あらゆる国々で繰り返されてきた、支配と腐敗の繰り返し。。。。「おごれる者も久しからず」をものすごくわかりやすい形で提示している。

しかし、ただのビターな寓話で終わらせない。原作をアレンジし、若いトニオとアルメニーナが暴走を食い止めようと奔走させる。1人と一匹の絆は、クマと人も分かり合うことができるという希望を象徴し、それを若い世代のキャラクターに託している点に監督の願いが込められている。
 
 
 Body2 アニメーションの魅力
日本ともアメリカとも異なる色彩の使い方。
感じた色を優先する色使い
多彩なキャラクターが抜群に気持ちのいい動きをする。

物語には続きがある。人の歴史が連綿と続くように、人の人生が連綿と続くように、この物語にも続きがある。原作のさらなる続きをアレンジするも、それは観客には示されない。地平線にどこまでも伸びていく一本道を良く道化師たち。その道のように、人生という物語がどこまでも続いていく。

映画が示す物語は、そんな風に映画を突き破り、観客一人一人の人生の糧となり、どこまでも続いていく。これはそんな映画だ。

 
 
————–
 
 
メモ終わり。

「驕れる者も久しからず」という言葉が出てきたのは、『平家物語』の影響だと思います。権力がいつか衰える、それは必然だよ、ということが描かれている作品なので、共通点があるなと思って、日本人にはわかりやすい一文だと思って入れました。

 子ども向けだと書いていますが、それは大人が観てつまらないという意味ではありません。子ども騙しの作品ではないからです。むしろ、子どもにわかりやすく世界の複雑さを教えてくれる、大人の目をも唸らせる作品です。ぜひご覧くださいね。
 
 

[PR]