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香港民主化デモを追いかけたドキュメンタリー映画『時代革命』の監督にインタビューしました

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 ハフポストで、香港の民主化デモを最前線近くで追いかけたドキュメンタリー映画『時代革命』のキウィ・チョウ監督に取材してきました。

 カンヌでサプライズ上映された「香港民主化デモ」の克明な記録。あの時、最前線で何が起きていたのか | ハフポスト アートとカルチャー

 香港では上映できない本作ですが、デモに参加する若者たちの悲愴な決意、デモが追い詰められていく様子、香港警察やマフィアの暴力が映し出されています。結局、デモの成果は上がることなく、香港では国安法が施行されてしまいましたが、そんな今、監督は何を考えているのかを聞いています。

 これは敗北の記録というべきものですが、だからこそ、色々な学びのある作品になっています。ぜひとも多くの人にご覧いただきたい作品です。

 
 
 以下、原稿作成時の構成案とメモ。
 
 
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参考リンク
催涙スプレーを浴びながら撮影…日本人が見つめた香港デモ。28分の映画が語りかける「私たちが学ぶこと」 | ハフポスト アートとカルチャー

日本の街頭から消えゆく「香港民主派」。彼らの岐路と選択肢
「香港で使われているSNSのマップがあるんですが、そのマップを開くと香港中のほとんどのお店が親中派、民主派で色分けされて評価されているんです。これは登録ユーザーの自発的な書き込みによる情報に基づいています」

いまの香港で起きていること 規制が進むなか 市民は? | NHK国際ニュースナビ

【今の香港で起きていること⑤】多くの市民から「ありがとう」と言われた新聞があった | NHK国際ニュースナビ
映画に対する規制の強化が打ち出されたのは2021年8月。香港政府は映画の検閲に関する条例の改正案を発表した。国家安全維持法に基づいて描写や内容が「国家の安全に悪影響を与える」と判断されれば、その作品の上映は禁止される。刑事罰が科される可能性もある。
香港ではこれに先駆けてすでに2021年初めから、2019年のデモを扱ったドキュメンタリー映画の上映会が開催自粛に追い込まれるケースが相次いでいた。
<引き裂かれた香港>(上)2色分断 デモ後「警官の夫怖い」:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

『香港 失政の軌跡』監訳者インタビュー by 安田峰俊民生から読み解く香港の分断とレジリエンス – 白桃書房 中国関連経営・経済書籍フォローアップサイト (hakutou.co.jp)
私くらいの世代(1950~60年代生まれ)の香港人なら、中国大陸で生まれた人も多くいます。中国大陸の文化大革命や貧困から逃れてきたとはいえ、自分が中国人だという意識は残っており、オリンピックでは英国よりも中国を応援する。これが一昔前までの香港人意識だったのですが、若者の場合は大きく違うのです。
若者の場合、中国に返還された後の「一国二制度」の下にあるという意識の中でずっと生きてきて、返還前のことを知らない。年配層からすれば、現在の香港は植民地時代に比べればインフラなど、物理的に豊かになっているし、1990年代からは多少なりとも直接選挙をできるようになったわけですから、現在はそこまで悪くはないという考え方もあり得るわけですが、若者の場合はそうはいきません。かつて植民地世代の台湾人の心情を指して「台湾人の悲哀」という言葉が流行りましたが、現在の香港には「香港人の悲哀」を意識する世代が生まれてきてしまいました。
──さらに言えば、現在の香港の悲劇は、香港自身の将来を香港で決められず、北京の習近平政権の動向といった外的な要因によって社会が左右される点にもあるのではないでしょうか。
曽根:同感です。とはいえ、どれだけ習近平政権が盤石だったとしても、それが十年後か二十年後かはわかりませんが、やがては別の指導者の時代が来ます。その時まで、「一国二制度」を定めた香港基本法が維持されれば、また違った将来を描くこともできるのではないでしょうか。

 
 
構成

Thesis 抵抗とその後の香港社会を今日本はどう見ればいいか
 

Point4つ
あの時、香港はどうなっていたのか
表現の自由
国安法以降の香港社会
なぜ若者は戦ったのか、香港人というアイデンティティーとは
 
 
Intro
2019年に連日報道されていた香港のデモ。2022年にはすっかり香港に関する話題は消えてしまったかのよう。

2020年に国安法が施行されていらい、香港では表立った民主的言動ができなくなったことによる。
このままでは、あのデモが時代の波に流され、だれも記憶しないのか。

時代革命はそんな流れに抗うかのように今、公開されることに大きな意義のある作品だと言える

香港では公開できないこの映画について、監督はどう感じているか。デモと今の香港社会について聞いた。
 
 
Body1 あの時香港はどうなっていたのか
映画の概要をここに入れる。
デモの中にカメラが飛び込み、過酷な戦いを身を投じる若者たちを映している。
章立てで構成しており、デモがどのような流れを経ていったのかわかりやすい。そして、どんどん追い詰められていき、勝ち目のない戦いに絶望してゆく若者たちの姿がわかる。

1人ひとりが責任を果たそうと思っていた
そもそも、多くの若者はなぜデモに身を投じたのか。監督自身の動機はどこにあったのか。

チョウ:2点話します。2019年のデモの時は、平和にでもを行っている人もいれば激しくデモを行っていた若者もいます。みんな全然違う職業を持った人がデモを行っていました。それで自分の職業は映画ですから、ドキュメンタリーではなく劇映画が専門ですが、自分も何かできるのではと思い、今回この作品を作ることにしました。2点めは、7月1日のデモの時、立場シン版というメディアっがあるのですが、自分が持っている携帯でライブ配信を立法府に入って行ったんですが、その時にみなさんが目の当たりにした真実は、格職業の人が自分たちが何を残せて何ができるのか、多分考えていたと思うんですけど、メディアも自身でできることをやっていたので、自分は映画監督なので、映画を作るべきだと思いました。
もう一点補足します。公民責任という言葉がありますが、民間人にとって一人一人やるべきことがあります。僕は自分の責任を全うしただけなのでそういった民衆の公民、責任を果たしたということになります。

取材対象者を見つけるのは難しくはなかったようだ。

誰の周囲にもデモ参加者がいるのが当然のような状況だった
まず1人の人間の周囲に必ずしもデモに参加している人間が1人か2人は必ずいるような状態でした。その中からさらに詳しく前線にたっている勇武の人たちを見つけ出して、話をします。ある日、撮影前に、その方に20人くらいの前線にたっている若者たちを紹介してもらい話を聞く機会がありました。その20人の中からさらに3,4名を絞り込みました。どういう風に絞り込んだかというと、このデモの本質であるリーダーがいないということをきちんと理解して、そう行動をとっているのか、自分で考えて行動をとっている人を選びました。男性、女性、勇部、前に立つ人、うしろで用意をする人とか、きちんと選んで絞り込みました。

香港デモで食い違う参加者数、正しい推計値の求め方 (reuters.com)
 
 
Body2 なぜ若者は戦ったのか、香港人というアイデンティティー
若者が立ち上がったのはなぜか。

チョウ:僕は、前の世代の人間ですが、僕自身びっくりしています。若い人たちがなぜここまでやるのかというのは。しかし、話を聞いていくうちに、若い世代は香港についてかなりわかっているんです。もちろん歴史や政治について勉強しています。香港は高度な自由があるにもかかわらず、民主主義がありません。そんな香港の成長を勉強しながら見てきたのです。その中で行われてきたデモというのは2019年に始まったことではなく、続いてきたことなんですね。そういう香港を若い人は観ていく中で、違うと気が付いたんです。もう一点振り返ってみると、若い人に限らず香港の人は反応が早いと思います。例えば、自分の友人が逮捕されたら何かしないといけない、周りの人たちがおかしいと思った時に、歴史について、政治について勉強する、そういう反応が早かったと思います。なので、2019年になって目覚めた人も多くいます。

この映画は、Film By Hongkongnerというクレジットがされている。香港人というアイデンティティーを持った人間たちによって作られたという連帯をより強く示そうという狙いだと思われる。
【新移民は削除した方がいいかも】新移民の若者たちの存在

新移民とは
「新移民」にとっての香港デモ | 麗しの島から | 福岡静哉 | 毎日新聞「政治プレミア」 (mainichi.jp)
【苦悩する香港】(下)声上げられぬ「新移民」 親中派として攻撃対象に – SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
〔20年の追憶〕150万人が「新香港人」に – NNA ASIA・香港・社会・事件
【実録ルポ】香港デモに参加したカップルは「一番の価値は法律」と語った。一国二制度に揺れる若者のリアル | Business Insider Japan
香港デモ参加者「夢、希望、お金がない」 背景に急増する中国移民(1/2ページ) – 産経ニュース (sankei.com)
香港 あなたはどこへ向かうのか 5 | 出版舎ジグ (jig-jig.com)

チョウ:もちろん香港人というアイデンティティは昔からあったと思います。僕自身も香港で生まれ育ったので香港人という自覚があるし、これは普通の感覚だと思います。でも、僕の上の世代は中国から来ている人もいるので、そうは思わない人もいると思います。しかし、2019年になってより香港人というアイデンティティが確立されたと思います。映画の中では話していませんが、僕がインタビューを行った若い人たちは新移民という新しく中国から移民してきた人たちなんですね。そういう若者が以外と多いんです。僕以下の世代でも新しく来た人が多いです。そして、そういう人たちは僕のように香港で生まれ育った人間よりも香港人というアイデンティティを強く持っています。だからこそ、2019年のデモが起きてより強く確立されたのではないかと思います。
チョウ:そうですね。自由を求めてやってきた人は多いと思います。その人達は香港に来ていろんな衝撃を受けたんだと思います。というのは自由な情報が入ってくる。例えば中国にいた時は天安門事件について教えられることはないけど、香港では毎年集会があります。それがある種衝撃で、だからこそ2019年のデモは若い人たちの時代ではあったと思います。
 
 
Body3 国安法以降の香港社会
日本で香港に関する報道が減り続けているのは、国安法の影響もあるだろう。表立って活動できなければ、報道するネタも減っていく

監督は恐怖が支配していると言う
チョウ:デモ以降の国安法が定められて以降の社会は、まず恐怖ですね。明確にわかるのがメディア、民主的なメディアが消えていき、団体もなくなっています。今残っている団体は親中派だけで、その反対の声は聞けなくなっています。そういったメディアや団体以外、例えば映画業界も映画上映の条件も厳しく取り締まるようになっていますし、色々なところで変わったと思います。
香港社会の変化はそれだけではない。デモに参加した若者たちに心を病む人も増えたようだ。

心を病む者たちと分断してゆく社会
民主派と親中派に大きく分断され、色分けされる世の中だった。監督はデモ後は民主派の中にも分断は見られるという。
チョウ:そうですね。分断はもちろん、民主派と親中派に分かれていましたが、同じ民主派の中でもかなりすごく別れています。元々同じ志を持って活動していようと、心の中の傷はかなり大きいので、心理的に健康でない人が多いです。なのでちょっとしたことで喧嘩になってしまう、そういう分断というのは、今もありますし、たしかにすごいです。

どうして分断してしまうか。
チョウ:そうですね。強いて言うなら分断というのは、同じ民主派でも分断してしまうのはみんなが傷を負っているからだけではないと思います。深い思想はみんな同じだと思うんですね、ただ、外部からの攻撃が強くていろんな情報が入ってくることによって不振を抱いたりとか、一緒に戦ったきたのにあなたは香港を離れてしまうのかとか、そういった外部的な不振によって離れていく、分断していくということがあります。ただ、内部的、心の中はきっとみなさん一緒だと思うんですよ。
チョウ:そうです。もちろんあります。ただ個別に一人ひとりに出たのではなく、集団的に後遺症はあると思います。僕も悪夢を見たりしました。僕が知っている若い人たちはみんなカウンセリングに通っています。なので、一人の人が後遺症を持ったりとかでなく多くの人に後遺症が見られます。
 
 
Body4 表現の自由
国安法以降の香港で表現の自由は今、どうなっているのか。
この映画は香港では公開されていないし、今後も公開予定はない。

タイトルを言っただけで首になることもあるそうだ。
:もちろん今週末の映画賞にはノミネートはされませんし、参加者もこの映画に言及したりタイトルを言う人もいないでしょう。ちょっと前にあった話ですが、僕の映画のタイトルをテレビ局のちょっと上の人が言っただけで、首になりました。それくらい、香港では敏感になるタイトルです。一人一人がかなり厳しく自己検閲をしている状態で、この映画はきんぞうしょうだけでなく、香港の映画館でも上映されません。映画館で上映されませんが、カンヌでは上映されたりしましたけど、地元の香港で上映されないことに関してはは、自由がないということにみなさんお気づきだと思います。

この映画に対しても、デモ参加者の顔を見せらないのが無念だという。勇気を出して戦った若者が誰なのか、記録しても明らかにできないはがゆさがあるという。
チョウ:そうですね。多すぎて絞り切れないですが、しいて言うと顔ですかね。人々の顔です。例えば理工大学にいた10代の顔、その個の顔はそこで自主すべきか下水道を通るべきか悩んでいた顔、他にも逮捕される時の顔、警察に引きずられていた時の顔、それらの顔は移せなかったので無念に感じます。映画の顔というのは自分の胸の内にしまって、かお以外の部分で彼らの無念さが伝わればいいなと思っています。
↓「
今、香港の人々はデモに関して話題を避けるようになっている。ネット掲示板の話をしてくれた。
チョウ:そうですね。同情することもできない。まさしくデモの話すらできない状態です。たとえの話になりますが、一ヶ月ほど前、2人の若者がネットの掲示板でそういう話をしていたんです。その話の中で、スローガン、「光復香港、時代革命」と書いただけで、逮捕されました。その逮捕も保釈もさせてくれません。この時点でそのニュースを見た人は、恐怖に満ちて、白色テロといえばいいんでしょうか、何も言えません。だから香港を離れる人もかなり増えています。なので、香港に残っている人はデモの話は控えて言わないようにしています。

このデモのキャッチコピーは、国安法違反であると、公式に香港政府は見解を出している。
「光復香港、時代革命」は国安法違反、スローガンに香港政府が見解 | ロイター (reuters.com)

 
 
Concl 監督の今後は
これから監督はどうするのか。
希望は海外に向けられている
無料で見られるサイトを開設。
監督自身も最後まで責任を全うするという。
表現の自由がなくなるということは、記憶も記録も彼方に葬り去られるということ。議論できなければ社会の改善もない。こういう状況に日本を陥らせてはいけない。香港で語れなくても、この国ではまだ議論できるはず。あのデモはなんだったのか、この映画は大変に貴重な記録でり、監督の言葉は、表現の自由がなくなった社会とはどういうものなのかの貴重な証言だ。

 
 
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メモ終わり。

映画の予告はこちら。

通説なやるせない内容なんですが、観るべき価値あるものだと思います。

 
 
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