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菊池真理子さん『「神様」のいる家で育ちました』のレビューを書きました

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 リアルサウンドブックに菊池真理子さんの『「神様」のいる家で育ちました』のレビューを書きました。

 宗教2世が自ら「人生のハンドル」を握るためにーー信仰と自由意志を考える|Real Sound|リアルサウンド ブック

 宗教2世を題材にしたマンガです。安倍晋三氏の銃撃事件の犯人が宗教2世だったこともあり、クローズアップされた問題ですが、今まで社会が気にかけてこなかった苦しみが、この本にはリアルに切り取られています。

 2世の問題は、社会とのかかわりもありますが、やはり親との関係性が主題になっています。「親への愛情があるから苦しい」ということが描かれており、ただ離れればいいという問題ではないというのがよくわかります。

 
 
 以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
 ————–
 
 

Thesis
宗教2世のリアルな生活と苦しみ、人生の在り方

Point
宗教ごとに異なる実態をつぶさに描いている
そもそもどんな生活をおくるのか。
参加してはいけない行事があったり、
薬を使わせてもらえなかったり
人を好きになってはいけなかったり
人の幸せとは
それに幸せを見出す人もいるが、中には成長するにつれ苦しみを感じる子どもがいる
パンクを聞いて涙を流す子ども。サタンの音楽だと思っていたのに
家族とは、、、家族を好きだからこその苦しみ、簡単に割り切れるものではない
自由とは。。。子どもは親からどれだけ自由か
何をもって自由意志なのかが問われる問題
一世は守られるよね、信教の自由で
宗教2世だけの話ではない、だれもが親の教えから自由になっていないかもしれない
宗教がなかったら出会わなかった両親、生まれなかった私。だけど宗教を離れても生きていける。。。そう思えるようになるまでの葛藤ははかりしれないものがある。
 
Intro
宗教2世の問題が今、社会でクローズアップされている

これまで、現代社会は宗教2世の問題というものがどういうものか、ほとんど知らなかった。
少なくとも筆者も関心を払ってこなかった

しかし、ここには特別な葛藤があり、普遍的ともいえる親と子の物語がある。
ようやく声を挙げられるようになった2世の人たちの痛切な葛藤と思いが込められている。

自由とは何か、
信教の自由を巡る問いだが、それは大きく広げて自由意志がどこにあるのかを問いかけている。
 
Body1生活の実態
本書の構成、、、いろいろな宗教2世の親子関係をオムニバス形式で一話完結で描いている。

変わった生活の一端

小さい時は当たり前だと思っていたが、学校など、家庭の外の社会に触れるとそれがおかしいと感じるようになる

箱庭の中にいればおかしいとは感じない
 
Body2 親が好きだから苦しい
宗教2世だけの話ではない、だれもが親の教えから自由になっていないかもしれない
宗教がなかったら出会わなかった両親、生まれなかった私。だけど宗教を離れても生きていける。。。そう思えるようになるまでの葛藤ははかりしれないものがある。

何もさせてくれなかった、何もできないようにさせられた。今、何がしたいのを言われても、何もできない人間に親がした。

何が宗教の教えでどれが母の考えでどこからが私? だんだんわからなくなっていく。
 
Body3 自由意思はどこにあるのか
宗教で幸せになった人もいるのだろう。2世にだっている。しかし、そうでない人もいる。
それはどのように選べるのか。

一般社会で生きる我々が新興宗教に幸せを見出さない、それは不幸なことだという。
しかし、私たちがそのように思うのは、そのように教育されてきたからではないか。大多数をそのように教育する、何らかの意図があって、私たちはそれから自由になっていないかもしれない。

高度に洗練された洗脳と教育は見分けがつかないのではないか。

親から自由になるというのは、難しい。親とは最初に出会う世界であり、人間の姿だから。
人生のハンドルを自分で握る感覚、、、それを持てるかどうかの話だ、これは。

それは宗教に限らない、他の多くのことにも通じる。
果たして、この社会に生きる何人が、自分の人生のハンドルを自分で握って、行き先を自分で決めることができているのか。

このような形で注目されることになることを望んだ2世はいなかったでしょう

あの事件は、2世を生きやすくしたわけでは決してない。
むしろ、信者を周縁化することに危惧を抱いている。

だからこそ、このマンガに描かれた子どもも親も誰一人、ただのへんな人ではない、いきることに苦しみを抱えた人間だと描いた

親は子どもの人生のハンドルを、いかなる理由でも奪っていはいけない。うしろで補助輪を支えている時期は必要だが、いつでもハンドルは本人が握っているべきだ。そして、時期がきたら、補助輪も差さえも外していく、それが人生ではないか。

 

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