プラットフォームはコンテンツ提供者よりもエラい。
コンテンツビジネスは今、大変です。
音楽CDは売れない、映画もDVDが売れない、TVは視聴率取れない。ここは最先端のオンデマンド配信だろ、と思ってみてもDVDの売上減少をカバーなんてとてもできません。単価が低すぎてとてもペイできない。
ジャンルを変えて見てみても、この傾向は変わらなくて、iPhoneのapp storeなんかは全体としてアップルに恩恵をもたらしているものの、各コンテンツ製作者は、あんまし儲からないです。(プラットフォームとしてのiPhoneの設計の話はfladdictさんのこのブログが面白いですね。http://fladdict.net/blog/2009/06/iphone-as-platform.html)
コンテンツビジネスは当然プラットフォームが無けりゃ商売も始められないし、そこから追い出されたらアウト。今アメリカでアマゾンから蹴られたらDVDの売上半分くらい消失します。
結局、彼らの敷いたルールに粛々と従ってやっていくしかないわけです。iTunesやアマゾンのような販売プラットフォームでも、広報、マーケティングに活用するだろうSNSサービスでもそれは同様ですね。
儲かるのは、巨大なプラットフォームを運営しているところだけ、と。いや、ホントシビアですな。
コンテンツより先に死ぬプラットフォーム
マードックのNews Corp.がmyspaceを激安で売却してしまいました。
20世紀のメディア王、マードックも21世紀のネット時代に入り苦戦が続いてます。myspaceはメディア王の本格的な新しいプラットフォームでの展開の走りとなるはずでしたが、マネージメントの悪さ(古さ?)が仇となり、凋落する一方になっちゃいました。20代の血気盛んな若者ザッカーバーグのフェイスブックになすすべなく敗れたmyspaceはサービス自体いつまでつづくはもうわかりませんが、かつてあれほど栄華を極めたサービスがたった数年でここまで落ちるとは、盛者必衰の理を感じずにいられません。
myspaceは今のフェイスブックのように総合型SNSとして人気を博し、序々に音楽機能を強めていき、日本では音楽特化型SNSとして認知されています。実際、myspaceをきっかけにブレイクしたミュージシャンもけっこういます。アメリカではThe Arctic Monkeys、 Soulja Boy、 Sean Kingstonや Lily Allen、日本ではたむらぱんとかが比較的有名ですね。
彼らは間違いなくmyspaceというプラットフォームがあったからこそ、台頭してきたミュージシャンであると思うし、myspaceがなかったら有名にはならなかったかもしれません。
しかし、myspaceが死に、彼らはどうなったかというと、
その土台のプラットフォームと一緒に死んだ、
わけではなく、ちゃんと他のプラットフォームに乗り換えてまだ活躍してるんですよね。
Arctic Monkeysなんかは、フェイスブックで190万いいねを集めててもはや規模的にはインディーズではないですね、もう。僕の好きなCranberriesより多い。。。
プラットフォームは覇権を握れば、ものすごい儲かる。しかし一度競争に敗れるとすごいスピードで凋落しちゃいます。かたやコンテンツは、各プラットーフォームの特性とルールさえしっかり把握しておけば、乗り換えながら上手いこと長生きできるかもしれない。
それどころか、もしかしたらコンテンツ側の方が強い力をあり得るかもしれない。もしLady Gagaがフェイスブックのアカウントを削除でもして、GagaがGoogle+で活動し始めたらそれなりのユーザーの移動が起こる気がします。もしそんなことが起こったらフェイスブックは全力でGagaを引き止めるでかはわかりませんけど、それなりのダメージにはなるでしょう。
そうなると、人気コンテンツ作成者のがプラットフォームより偉い、みたいな逆転現象が起きるかも。
オンラインプラットフォーム上で、コンテンツビジネスをやるってのは、けっこうシビアですが、プラットフォームの覇権がずっと続くのかどうかは、個人的にはわかりません。もしかしたらその逆転現象はあるかもしれない、と思ってて、コンテンツ提供者に優しく、かつ参入障壁が低く、しかもユーザーもハッピーなプラットフォームが構築されるのかどうか。っていうかあり得るのか。
いずれにしてもコンテンツとプラットフォームの関係は今のようにプラットフォーム側が圧倒的なパワーを持つ、というのはやはり健全ではないと思います。プラットフォーム、コンテンツ、ユーザー三者間のベストなバランスはどのへんなのかは、これから模索されないといけない点です。