インターネットは、世界中を瞬時に繋げるネットワークです。僕らはどこにいても世界中の人間とコミュニケーションできるし、コンテンツを配信できるようになりました。が、実際にいくつかの壁の中に生きています。
一つは権利。アメリカで人気のドラマや映画も日本への配給権をどこかの会社が買ってくれなければ、日本に住んでるぼくらは見る事ができません。実際、Netflixは米国以外からのアクセスをブロックしてます。YouTubeの映画レンタル、アマゾンのオンデマンドサービスも同様です。
もう一つは言葉の壁です。日本でいくら優れたコンテンツがあろうと、それが日本語である限り日本語を解しない人には届きません。英語のニュースサイトを開いても英語が読めない人には意味がありません。
インターネットが世界を繋げれば繋げるほど、この言葉の問題が顕在化します。特にネット上で事業を起こそうとするとこの問題って皆ぶち当たる問題ですね。
その問題を解決してくれるのは、Google翻訳のような自動翻訳サービスですが、自動翻訳機能の精度はまだイマイチ。Conyacのような人力ソーシャル翻訳サービスも最近は人気です。
すてに出来上がったテキストの翻訳をしてくれるサービスなわけですが、インターネットはソーシャルメディアの登場によってリアルタイムでの共有を大切にする方向に来ています。
USTREAMなどのライブ配信プラットフォームを使えば、世界中で視聴可能な放送が可能ですけど、日本語をしゃべる以上、それは日本語がわかる人にしか伝わらない。映像作品に字幕をつけるのは大変です。字幕作業者に依頼すれば2時間の映画で普通に100万近くかかります。容易に手は出せませんし、リアルタイムで共有は不可能です。
言語の壁は思いのほか、やっかいです。しかもその壁の中しか知らない人はそのやっかいさを意識できないという問題もあります。
その言語の壁を突破できるかもしれないサービスの発表がありました。
今回、カナダのスタートアップOrtsboが発表したのはリアルタイムでライブ配信に翻訳キャプションを表示する機能。すごいのは対応言語の豊富さ。何と53カ国語に対応しています。(日本語も含まれています)
CES2012で発表され、パートナー締結したバラエティのサミットで実際に使用されました。そのデモを体験したFast Companyによると、フランス語とスペイン語はかなり精度のたかい翻訳だったよう。
逆に英語とは違う文法を持つアラビア語やヘブライ語はやや精度が落ちるとのこと。ただGoogle翻訳よりは断然良い仕事をしている、と。
この機能が可能にすることは、ある製品やサービス発表のイベントを世界中に世界中の言語で配信可能になるということです。OrtsboはIndyCarと締結し、そのイベントでこの機能を提供するようです。
発表会以外でも、様々なところで活躍すると思われます。YouTubeやUSTREAMのような動画配信サイトでこれが利用可能になれば、日本語で製作したコンテンツを即座に世界中に配信可能です。もう日本語という狭い市場に留まる必要がなくなります。インディーズのコンテンツ制作者にとってこれは非常に大きい変化じゃないでしょうか。
YouTubeやニコ動などのUGCプラットフォームはコンテンツ製作の個人化を促進させていますが、個人で字幕作成の費用を捻出はコスト的に現実的じゃないので。ましてや英語字幕つけるだけで100万とかかかってたら他の言語まで作りようがないです。
さらに、リアルタイムでの翻訳が可能なのであれば今まで以上に情報の拡散が早く、広く行われることになるでしょうね。その意味でこの機能は情報化社会の質をまた一段引き上げるかもしれません。自分の発信した情報、コンテンツが今よりもさらに広く早く伝わる世界を実現してくれるかもしれません。
ちなみにこのOrtsboという会社は、テキスト翻訳のiOS用アプリ、Ortsbo 2Goというアプリをリリースしています。テキストを入力して翻訳、その内容を翻訳するサービスですが、フェイスブックと連動させて翻訳しながらチャットができます。短い文章の翻訳なら日本語から英語への翻訳もなかなかの精度です。
価格は無料なのでお試しあれ。