1月24日、ギリシャの巨匠、テオ・アンゲロプロス監督が亡くなられました。
バイクとの接触事故だったそうで。
しかも新作の撮影中だったのですね。
この映画はもう完成するとはないのですね。
誰か他の人が意志を引き継いでもアンゲロプロスのようには撮れないでしょうから。
それくらいアンゲロプロスの作る映画は希有なものでした。
最初に見たアンゲロプロスの作品は「ユリシーズの瞳」でした。たしか高校1年の時でした。確かヴェンダースが「映画100年、私のベスト1」と云ってたっけ。
ミルチョ・マンチェフスキーの「ビフォア・ザ・レイン」と並んで、僕に最初にヨーロッパ映画の魅力を教えてくれた作品でもあります。それだけに思い入れの深い作品です。
思えば、アンゲロプロスの作品に出会う前は映画と云えばハリウッド、としか思ってなかったですから、アンゲロプロスはその後の僕の映画人生を決定づけた人でもあるんだなあ。
あの重厚な長回しは観るとものすごいエネルギー消費しますが、あの美しさに目が離せなくなります。この人の作る画は、まさに動く絵画でした。35ミリフィルムとはこんなにも美しいものかと何度も感嘆しました。
「霧の中の風景」も大好きです。幼い姉弟が雪が降る中、警察署から逃げ出すシーンをスローモーションで撮ったあのショットは息を飲むほど美しいショットでした。
まぎれもなく映画史に名を残す巨匠でした。
ご冥福をお祈りします。