月額定額料金で音楽を聴き放題とするストリーミングサービスのSpotifyが欧米では大人気です。
そのSpotifyは現在、音楽以外のコンテンツの配信は行っておりませんが、ちょくちょく将来音楽以外のコンテンツ、例えばテレビ番組、などの配信にも乗り出すのでは?という噂が出ては消えていきます。
そして2日前ですが、アメリカのPaid ContentがSpotifyがアメリカの有料チャンネルHBOのコンテンツを北欧で配信するのでは?と報じています。ソースはデンマークのbeeptv2の サイトなのですが、Paid Contentの取材では、SpotifyもHBOも否定ではなく、ノーコメントとしています。
まるで目がない話なら否定して終わりかもしれませんが、互いにノーコメントとしているところに可能性があるという記事ですが、それ以上の根拠があるわけではなく、両社の提携にはメリット・デメリットそれぞれあるぞ、ということなのですが。
HBOはHBO Nordicというストリーミング配信サービスを北欧で開始したのですが、それほど思うように利用者が増加していないような事情もあり、Spotifyと組むというのは、北欧においては大きなアドバンテージを獲得することになります。NetFlixも北欧でサービスを開始すると発表していますからSpotifyのエコシステムと課金システムに乗れるのであれが競合他社に対して有利な立場にたてるのは間違いないでしょう。
スウェーデン生まれのSpotifyの北欧における影響力は相当に大きくなってきているようで、スウェーデンのデジタル音楽史上のセールスの89%がストリーミングサービスによるものですが、そのほとんどは実質Spotifyからの売り上げによるもので、2012の上半期のスウェーデンの音楽市場全体のセールス30%ほど増加させる原動力になっています。スウェーデンではデジタル音楽といえば、iTunesではなくこのSpotifyなんですね。↓
Spotify helps Swedish music sales rise 30.1% in first half of 2012
SpotifyがHBOを扱ううえでのデメリットは、現在Spotifyがバンドル契約を結んでいる通信会社、TeliaSoneraがすでにHBO Nordicの取り扱いを決めていること。スウェーデンにおけるSpotifyのプレミアム会員の1/4がこのTeliaSoneraのバンドル契約からのユーザーということで、けっして少ない数字ではないですね。
Spotifyが音楽以外のコンテンツを配信し、マルチメディアを目指す可能性は、現時点はあまりないように思いますが、AppleのiTunesでミュージシャン検索したときに便利だな、と感じるのは楽曲やアルバム以外にもミュージックビデオもヒットするところなんですよね。
すでにミュージシャンも音楽そのものだけをコンテンツとしていない時代になってきているわけですし、YouTubeやニコニコ動画のような動画プラットフォーム、音楽シーンになくてはならないものともなっています。
そういう時代の流れの中で音楽だけを提供するプラットフォームが果たして魅力的であり続けるのかどうか、ですね。少なくとも音楽に関わる映像サービスなら解禁してもいいのではないかな、と思います。
その延長線上にその他の映像コンテンツも取り扱うという未来はあり得るかもしれません。
ケーブルTV会社コムキャストの経営部門の元エグゼグティブディレクターがSpotifyのプロダクトヴァイスプレジデントに就任してたりして、定期購読制の映像サービスの提供に関しての知恵を持った人間は一応中にもいるんですよね。
iTunesが音楽からスタートして、映画やテレビ、さらには電子書籍と単品のデジタルコンテンツ販売の幅を広げてきたのに対して、定額によるデジタルコンテンツのストリーミングサービスをSpotifyが一手に担うというのもユーザーの利便性を考えるとあり得ない話ではないのかもしれませんね。