バルト9の世界最速上映、のチケットは取れなかったんですが、AM3:30からの3番目4番目の上映にて『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を見てきました。
全然寝てないで行ったので少々心配でしたが、やはり僕の場合は映画館に入ると集中力が普段の3倍くらいになるので眠気など起きない。映画館のいる状態で仕事に励めたらさぞスゴい成果を上げているであろう。映画館で仕事してみようか。映画見てしまって仕事にならないだろうけど。
さて、今作のレビューですが、ネタバレを含みます。ネタバレしてから見るか、見てから読むかはお任せいたします。
何しろ、前作、前々作との最大の相違点は100%安全新作であるということ。TV版のストーリーは一切入ってきません。
まず今回の『Q』の始まりは前作の『破』でシンジ君が初号機とともに覚醒して綾波を助けた14年後から唐突に始まります。眼帯をしたアスカが二号機を乗り回し、ピンクの八号機に乗ったマリがそれを援護し、シンジ君を奪還、そして身柄を拘束。しかし拘束された場所はネルフ本部ではなく、移動戦艦の中。その戦艦の艦長はミサトさんで副艦長はリツコさん。リツコさんがベリーショートになっております。
その戦艦で働くクルー達の中には懐かしい顔ぶれ(オペレーター三人組)の他、トウジの妹の鈴原サクラを始めとしての新顔がそろっています。
目が覚めたシンジ君は何がなにやらわからず、周囲からの冷たい扱いに戸惑います。そして事情がわからぬまま、戦艦は敵襲にあい、戦闘態勢へ。
「あなたはもう何もしないで」と冷淡に告げるミサトさん。初号機に乗って自分も戦うと言い出すシンジ君だったが、もう初号機はなく、ミサトさんが艦長を努めるその船こそが初号機をベースに作られた人類の希望の船「Wunder(ブンダー)」なのだ。
特定のパイロットを必要としないその大戦艦を襲撃したのは0号機に良く似た六号機(マーク6と呼ばれる)。現在ミサト達は、新たな組織、ヴィレを結成しネルフを敵対関係にある。六号機に乗った綾波の呼びかけに応じ、ミサトやアスカたちの元を去るシンジ君に待っていたものは、ゲンドウとの再開とカオルとの出会い。ゲンドウはシンジ君にカオル君とともに13号機に乗れ、とだけ告げる。事情のわからない混乱するシンジ君にカオルがピアノに誘い、心を解きほぐしていく。やがてカオルは世界に何が起きたかをシンジ君に告げる。サードインパクトを引き起こし世界を壊滅させたことを知ったシンジ君は絶望するが、リリスに刺さる2本の槍、ロンギヌスの槍とカシオスの槍があれば世界をもとに戻せる、そのために13号機に乗ろうとさいうカオルの誘いに応え、ダブルエントリーシステムである13号機に乗り込む。
しかし、そこでアスカの乗る2号機とヴィレが急襲。そして、2本の槍を見たカオルが表情を変え異変に気づく。どうやらこの2本の槍はカオルの知るもカシオスの槍ではないらしい。引き返すことを提案するカオルだが、自分の侵した罪(サードインパクト)から一刻も逃れたい一心のシンジ君は、云う事を聞かずに2本の槍を抜く。
そして起きるフォース・インパクトの前兆。これらは全てゼーレのシナリオ通りのようだ。それを阻止すべく捨て身の闘いを挑むアスカとマリ、そしてブンダー。カオルの最後の抵抗のおかげかすんでのところでフォースインパクト防ぐことに成功したヴィレ。しかし、二号機も八号機も大破。ブンダーも損傷を負い先の見通しは決して明るくないがフォース・インパクトを防いだだけでも良しとすべきというリツコは云う。
シンジはエントリープラグの中で一人縮こまり動かない。アスカはそれを無理矢理こじ開け、強引に彼を外に連れ出す。そこにマーク6に搭乗していた綾波(のクローン)が近づいてくる。荒廃した地に立つ三人。通信も繋がらないそこから移動しようとするアスカは死んだような目をしているシンジ君の手を無理矢理引っ張って歩き出す。それに綾波も付いていく。
向かう先にあるものが希望か絶望かわからないが、アスカは力強く、綾波は淡々と、そしてシンジ君は力なく歩いていく。
『破』から14年後の世界なので、ミサトさんやリツコさんなどのキャラデザインは多少の変更があります。しかし、パイロット達は14歳のまま。これをアスカが「エヴァの呪い」と表現していますが、それがどういうことなのかは明かされません。
そして初号機を基に作られた神殺しの異名を持つブンダーですが、どのように作られたのか、またミサトたちがどういう経緯でヴィレを立ち上げネルフと敵対しているかもまだ語られていません。
2本の槍の謎も残ったままです。
今回はアスカのカッコ良さが目立ちます。アスカはいいキャラになりましたね。見た目は14歳のままですが、幾多の死線をくぐり抜けてきたようなそんな経験豊富で大人のキャラになっています。ママにすがる泣き言を云うアスカでは全くなくなっています。ミサトさんは艦長という役職の重みを感じさせる威厳あるキャラで、冷酷な印象も与えるシーンもありますが、シンジ君に対しての母性的な愛情はどこかに持ち続けているようです。
マリは相変わらず飄々としていて、訳知り顔な感じです。綾波はクローンであり、記憶も引き継いでいないせいでキャラとしての暖かみも深みも感じないキャラとして演出されています。それが綾波を助けたと思っていたシンジ君の心をさらに打ち砕くことになります。
しかしシンジ君は前作『破』で男になったかと思ったら、やはりシンジ君でした。アスカにはバカでなかくガキと云われるしまつ。バカシンジがガキシンジに進化(退化?)しました。マリにはワンコ君とが呼ばれてるし。相変わらず回りに流される受動的な主人公ですね。
さて、今回も次回予告があるので、エンドクレジットが終わるまで席を立たないように。
次回は最後の最後の完結編。タイトルは『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(細い線と太い線)』です。
映画公開の同日に宇多田ヒカルさんが歌うエンディングテーマ『桜流し』も発表されました。映画の三人のパイロットを遠目に捉えたスリーショットの余韻をとても上手く引き継いでいると思います。
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