今年のアカデミー賞は、ベン・アフレック監督作品「アルゴ」が作品賞を受賞しました。監督賞にノミネートされずにオスカー作品賞を受賞した作品は「ドライビング Missデイジー」まで遡らないといけないんですね。久々の快挙という感じでしょうか。
アン・ハサウェイやジェニファー・ローレンスなど若手女優がこぞって受賞した一方、男優の方はベテランが貫禄を見せるという感じでした。
さて、オスカー中継は毎年アメリカにとって大きなイベントでありましたが、実はここ数年視聴率的には苦戦傾向にあり、数年前に作品賞の枠を5から10に増やしたりなど、視聴率を取りやすく配慮したりしていました。5つの作品枠だと多くの人が知らないマイナーな作品が並んでしまって盛り上がりに欠けるという理由だったりして、それはそれでなんだかな、という感じですが。
今年はセス・マクファーレンという、ある種の「劇薬」を司会に起用してきました。お下品アニメ、ファミリー・ガイを作った男であり、日本でも公開中の映画「テッド」の監督です。
アメリカの調査会社によると、今年のアカデミー賞授賞式の中継は、約4030万の視聴者を獲得。視聴率は13ポイントで前年は11.7から大きく向上しています。過去10年では4番目に高い数字とのことです。
オスカー中継はつねに女性の視聴者の多いのが常なんですが、今回のオスカーはホストがセス・マクファーレンだった関係で例年に比べて男性の視聴者がどうも多かったようですね。ファミリーガイの男ですからねえ。18~34歳の男性の視聴者が約30%近く例年よりも多かったとのこと。
その意味で視聴率の増加にセス・マクファーレンの起用は貢献したのかもしれません。アデルのパフォーマンス、混戦模様で本命不在でフタをあけるまで結果がわからない状態だった、など他にもいろいろな要素があると思いますが、一応セスは結果を残したと言えるんじゃないでしょうか。
セスのバッドジョーク満載の司会に関しては賛否両論あったようですが、そりゃセスが司会したらそうなるでしょうから、ABC的には狙い通りだったんじゃないでしょうか。バッドジョークと言っても鋭いアイロニーですからね、彼の場合は。
[参考:Mixed Reviews of Seth MacFarlane’s Oscars Debut Balanced by Higher Preliminary Ratings | Adweek]
さて、視聴率以外にも目を向けてみて、ソーシャルメディアではどのように盛り上がったでしょうか。
ソーシャルTV調査会社のTrendrrが、アカデミー賞がどのようにソーシャルメディアで言及されているかをインフォグラフィックにまとめています。
The Trendrr Blog » Blog Archive » Social TV’s 2013 Oscars [Infographic]
ツイッター、フェイスブック(パブリック設定のみ)、Getglue,Viggieの4つのプラットフォームの合計でオスカーへ言及したコメント数は約1400万に達したとのことです。そのうち、オスカー中継放送中に1300万ものコメントが生まれています。
昨年のオスカー中継時は、500万コメントだったので、ソーシャルメディアでのオスカーへの言及コメント数は倍以上になっています。
2013年のテレビのビッグイベントとしてはスーパーボウル(5200万コメント)、グラミー賞(1700万コメント)に次ぐ数字となっています。スーパーボウルの突出ぶりがすごいな。。。。
男女別では女性からのコメントが58%。アメリカの場合は大抵ソーシャルメディアでおしゃべりしたいのは女性の方なので他プログラムでも概ね同じような傾向になってます。
デバイス別にみると57%がモバイル端末からとなっています。セカンドスクリーンとしてスマートフォンなどを片手にテレビを視聴するスタイルが定着しつつあるのがうかがえます。
さらにモバイルをOSごとに分類すると、iOS(iPhoneとiPod Touch)が55%、アンドロイドが23%、ブラックベリーもまだまだ使われていて12%、iPadは8%になっています。
アンドロイドはスマホだけなのか、タブレットも混じっているのかわかりませんが、全体としてiOS優勢ですかね。
一番盛り上がった瞬間は、アルゴが作品賞を受賞した瞬間で、その他盛り上がった瞬間はアデルのスカイフォールのパフォーマンスの時と、物議をかもしたミシェル・オバマとジャック・ニコルソンのプレゼンター交代劇、そして意外とダニエル・デイ=ルイスの主演男優賞受賞。スピーチが面白かったからですかね。
ただ人物別に言及の多かったものは1位がアデル、2位がジェニファー・ローレンスなので、ダニエルで盛り上がるのが不思議。
LOST REMORTの記事では、アルゴの作品賞、アデルのパフォーマンスに続き、ジェニファー・ローレンスの受賞の瞬間が3番目にツイートの多かった瞬間となっています。ちなみにこの記事では、ジェニファー・ローレンスが71600 TPM(Twitter Per Minute:伊1分あたりのツイート数)
ちなみに1位のアルゴは85,300 TPM。
少しは話が逸れましたが、言及の多かった人物ベスト3は、全て女性。アデル。ジェニファー、アン・ハサウェイの順番。やはりオスカーは、美しい女性を見るためのものですね。
総じて、こうしたイベント系のテレビ放送ではソーシャルメディアも連動して盛り上がるのはアメリカでは定番になりつつあり、その数は現状まだまだ成長途上という感じでしょうか。他のグラミー賞などのイベントなどを見ても、ソーシャルメディアのコメント数は軒並み昨年を大きく上回る結果になっています。
また、今回のオスカーの放送はオンラインでも視聴可能になっていました。
授賞式の翌日朝の6時から、ABC.com、無料のiPadアプリ「ABC Player」、Hulu、そしてABCオンデマンドなどで視聴可能となっています。オンラインで後からオンデマンドでオスカーが見れるのは今回が初めて。ただ2/27の夜中までの期間限定の配信となっています。
僕は生でオスカー中継見れなかったので、ツイッターなどでみなさんのツイート追っかけながら何が受賞したとか、何が起きたとか眺めていたんですが、そうして気になるシーンをあとからネットで見れるのですね。アン・ハサウェイの乳首騒ぎがなんだったのか気になる。。。。
さらにoscar.comではハイライト動画なども見れます。
oscar.go.com/oscar-highlights
リアルタイムで見れない方にも細やかに対応していますね。テレビ持ってなくてもオスカーを楽しめるように配慮されてます。
ちなみにオスカーのCMではサムスンがかなり力を入れていたようでティム・バートンを起用して面白いCM作ってたりします。5本のCMが1つのストーリーになっているタイプのCMで、Unicorn Apocalypseというオンラインゲームを製作しようとしている会社の企画風景を写したものです。オチにティム・バートンが出てきて映画化の企画をしてるんですが。バートン曰くユニコーンはヤギらしい。そうなの?
5本全部見たい方は以下のリンクからご覧下さい。
Samsung Crashes the Oscars With Six TV Spots and Tim Burton | Adweek
アデルのパフォーマンスも以下のサイトからみれますよ。オスカー公式サイトです。
Adele Performs Skyfall | The Oscars 2013
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