今週末(3/23)から小田急線下北沢駅が地下に潜る。
小田急線沿いの街で育った僕は、この街が大好きで、中学時代からよく行っていた街です。今でも好きで、たまにフラフラしに行くことがあります。泥棒日記というお店をよく服を買ってます。古着屋さんを巡るのも楽しい。
シモキタは井ノ頭線との乗換駅であり、渋谷に行く時もいつもここで乗り換えてます。渋谷のミニシアターに映画を見に行く時にはいつも通過する街です。映画を見に行こうとして、たまにここで降りてしまって買い物したりなどと言う時もあったりするのですが。
小田急が地下に潜り、井ノ頭線への乗り換えに5分もの時間を要するようになってしまうらしいので、これは難儀だなあ、と今から少し憂鬱で、もしかしたら、映画を見に行こうと渋谷に行くことを企画していながら、乗り換えが面倒なので、そのままシモキタで遊んで終わるという日が増えるんじゃないかと危惧してるような、また新しいお店発見のチャンスが増えること期待してるような、そんな妙な気分です。
さて、小田急の駅が地下に潜るとなると、今の駅舎の場所には何ができるんでしょうか。それによってシモキタの街はどんな風に変わっていくんですかね。
小田急の地下化に伴い世田谷区は、シモキタ駅周辺の再開発計画も同時に走らせていました。当然駅舎が無くなり、その巨大跡地をどうするかは町づくりとして重要な問題です。
この下北沢の再開発は2006年ごろからいろいろと問題視されていたのですが、非常に複雑な問題が絡み合っています。
6年前に書いたエントリーですが、こちらの3つの記事を読んでもらうと、ある程度わかるかと。下手くそな文章で恐縮ですが。
シモキタの再開発には、3つの柱があります。
- 今回の小田急の駅の地下化と跡地利用
- その小田急の駅と線路の地下化のための「連続立体交差事業」での道路建設
- 世田谷区による駅周辺の再開発
連続立体交差事業とは「鉄道と複数の幹線道路とが交差し、その交差する幹線道路間の距離が350m 以上ある区間において、3ヵ所以上で鉄道と道路を立体交差させ、連続する複数の踏切を同時に解消する事業」のことで、ようするに線路を地下、あるいは高架に建設して踏切をなくして道路混雑を緩和するためのもの。
小田急の地下化は、この連続立体交差事業のもと行われています。私鉄の小田急の地下化工事ですが、この事業として採択されれば公共事業扱いになるんですね。費用は国と地方自治体で75%を負担、15%を鉄道会社が負担します。
www.hosaka.gr.jp/books/tatakau-teisei.pdf
で、この連続立体交差事業として認可されるには、3カ所以上の鉄道と道路の交差が必要になります。シモキタ周辺でこの基準を満たすためには、道路を新設する必要がありました。なので小田急の地下化工事は、それ自体が地下に潜るだけではなく新たな道路の建設もセットでついてきます。
長い説明は省きますが(知りたい方は上の3つの記事を読んでください)、この新しい道路計画として持ち上がったのが補助54号線。この道路計画自体は最初にできたのが昭和21年(終戦直後)で、小田急線と交差するような形に修正されたのが昭和41年。道路の最大幅は26メートルと結構デカい。
以下の写真は世田谷区のHPからのもの。丸いアウトバウンドみたいなものが左についているのが補助54号線。デカいですね。位置的にはスズナリ劇場が掠る感じ。スズナリは移転するのかなあ、そういえば。
で、この補助54号線から斜め左下に向かってスパナみたいな形の別の道路が伸びていますが、これが世田谷区画街路第10号線と呼ばれるもので、世田谷区の下北沢駅周辺の再開発のために計画した新しい道路計画。
世田谷区のHPによると、
計画幅員は約25メートルで、下北沢駅の駅前に整備する交通広場の面積は約5,400平方メートルです。
ということで、これもけっこうなデカい道路ですね。交通広場とはようするに駅前のロータリーみたいなもんですか。駅前にバスターミナルなどを作るつもりのようですね。
シモキタの駅前は車の入ってこない歩行者優先の作りになっていますが、この道路ができるとかなり変わりますね。
保坂世田谷区町の本「闘う区長」の本の訂正のPDFによると、道路建設を含む都市計画全体はすでに決定されていて、事業認可もされていてどうしようもありませんでした、ということが書かれています。割とこの都市計画の見直しを期待して保坂さんに投票した方もいらっしゃったと思いますが。
デカい道路ができるとそれだけデカい建築物が立てられるようになりますので、シモキタにも大きなショッピングビルようなものができるかもしれません。行政としては、今より儲かる街になるでしょう。実際シモキタの街はその人の多さに反して、行政にとっては効率よく儲かる街ではないらしいです。
建築士の金子賢三さんは、6年前に発行のSwitch Vol.23の下北沢特集でこう仰っていました。
「同じような形で近くの二子玉川の例があります(最高で高さ150メートルを超える高層ビル群が出来る予定)。二子玉川の開発が成功したか、していないかは別として、結果的に二子玉川は儲かっているんです。世田谷区は、二子玉川、三軒茶屋、下北沢を重要拠点としているのですが、税収を上げるためには二子玉川みたいな街が一番ありがたいんです。(中略)その3つの街の中で圧倒的に人が多いのが下北沢なんですよ。また、人数の割に儲かってないのも下北沢なんです。だから下北沢をもっと、お金の儲かる街にしたいというのが本音ではないでしょうか。
こうして書くと、なんだかつまらない街になってしまいそうなんですけどね。でも小田急駅の跡地の活用方法を考えるグリーンライン下北沢とか、住民側からの積極的な動きがあったりもするので、ある程度頼もしさを感じています。
シモキタは絶えず変化し続けるのは常だったので、今回行政側からの強制的な変化に晒されることになるんですが、それでもそれすら上手く利用して楽しい街を作っていくんじゃないかと期待しています。
2007年の『SWITCH VOL23,NO5下北沢特集号』での曽我部恵一さんのインタビュー記事が印象的でした。こんな記事を今引っ張りだせるなんてブログ書いててよかったわあ。
「ま、道ができるならできるで、それなりの楽しみ方をみんな見つけるんだろうけどね。みんな変わることがいいことだとは思ってないけど、変わってもそんなにはね、国の勝手な意図によって変わったことで自分らの楽しみまで変わらないぞっていう強いものはあるんだけど。お前らが何をしたところでこっちは楽しんでやる、って」
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