自分的に整理してみたいのでちょっと書く。
当事者ではないので、当然真相はわかりようがないので、どっちが悪いとするわけではないのですけれど、「ふつう」の手順を踏んでいれば揉める必要もなかった案件な気がするのです。
今のところ出版社側の言い分が出てきていないので、表にでてない情報がたくさんあるでしょう。普通に考えて原作者と舞台会社の間を取り持つのは出版社でしょうから。
経緯
まずは発端がこの舞台主催側から公演の中止のお知らせ。
誓い~奇跡のシンガー~
この中止の理由は主演を務める予定だった土屋アンナさんが「正当な理由なく無断で舞台稽古に参加せず」としており、土屋さんに損害賠償訴訟を含む断固たる措置を取ると、強い口調で土屋さんを非難しているものになっています。
それに対して土屋さん事務所が事実無根と反論。
「公演中止のお詫びとお知らせ」につきまして
この度は皆様に大変ご迷惑、ご心配をお掛け致しまして心よりお詫び申し上げます。
舞台「誓い~奇跡のシンガー~」のホームページに掲出された「公演中止のお詫びとお知らせ」につきまして、弊社と致しましては、その事実無根の内容にただただ困惑しております。
この後、舞台の元となる本を書かれた(原作とは書くべきではないですね)濱田朝美さんがこの騒動の「真相」とする内容をブログにアップ。
重大なお話!|日本一ヘタな歌手☆濱田朝美ブログ☆
ざっくり言うと、舞台化に際して許可を出しておらず、事前に求められていなかった。舞台の脚本は濱田さんの意向をまったく反映しておらず、路上ライブでの軽い挨拶をもって許可を得たとか、他の障がい者の話にしたっていいんだよとか言われてショックだった。土屋アンナさんにその事情を話したら、土屋さんが原作者が納得できるものにしなれければ出演しない意向を伝えたとのこと。
プレスリリースがヒドい
濱田さんがこの件を知ったのが記者会見の一週間前とのことです。記者会見は土屋さんのブログにも紹介がありますが、5/24だったようですね。
舞台「誓い~奇跡のシンガー~」|土屋アンナ オフィシャルブログ powered by Ameba
公式に製作発表を公開したのは5/21だったみたいですね。
で、発表当初は濱田朝美さんのクレジットは「原作」だったようです。これを後日以下のように訂正を発表しています。
【お詫びと訂正】 土屋アンナ主演 舞台「誓い~奇跡のシンガー」制作発表のご案内 | PR today
原作→原案以外にもたんなる確認不足じゃね?というようなミスが結構あって、なかなか酷い内容です。
本のタイトルは「日本一ヘタな歌手」が正しいのに、訂正前は「日本一下手な歌手」にとヘタを漢字表記にしていたようですね。そんな本ないですよ。。。
さらに公演日程も著者の漢字も間違ってたようで、権利関係で揉めてクレジット変更がどうのこうの以前にいろいろ突っ込みどころ満載。これ修正を行った日時が知りたいところです。全ての修正を同じ日に行っているのか。
7/30 20:39【追記】
コメント欄にてnofrills様にご指摘いただきました。最初のプレスリリースが出た5/21の同日15時に修正が配信されたようです。
検索結果 – ValuePress! [ プレスリリース 配信サイト ]
とすると、その後のニュース記事で原作としているものは、間違いということになりますな。。。
それとこのタイミングで原作表記を諦めていたことになると、サインを欲していた同意書は原作クレジットを求めるものじゃなかったということになるのですかね。
同じ内容のプレスリリースでもバリュー・プレスの方では直ってないようです。原作のクレジットのままだし、やはり本のタイトルが間違っています。
土屋アンナ主演 舞台「誓い~奇跡のシンガー」 制作発表のご案内 – ValuePress! [ プレスリリース 配信サイト ]
日テレニュースWEBでは7/16配信のニュースで濱田朝美さんを「原作者」としていますね。
アンナ、主演舞台「手作り感、満載だね!」 | 日テレNEWS24
同日のエキサイトニュースでも同じく濱田さんを原作者と書いています。
土屋アンナ、セクシードレスで熱唱 一夜限りのスペシャルな夜をお届け<セットリスト>(モデルプレス) – エキサイトニュース
同日のプレミアライブイベント時にも原作という紹介があったのでしょうかね。
となると原作→原案のクレジット修正は割と最近のことってことになります。さすがに記事にする時は正確なクレジットを確認してから書くと思うんですよね。2つの記事とも原作としているので、割と原作を原案に修正したのも割と最近だったのかな。(上の追記を受けて、ここは削除)
二次利用に関する契約内容はどうなっているんだろうか?
濱田さんのブログでは、同意書を送りつけられ、毎日のようにそれにサインするようにとの電話がきていたとありますが、製作者再度はけっこうギリギリまで「原作」扱いで行こうとしていたということなんでしょうか。
「原案」となると著作権者の許可を法的にはもらう必要がないので、なんで舞台製作側がこだわったのか不思議。もちろん原案として用いるにせよ、無許可は商習慣上よろしくありませんが。原作と原案では著作権者のかかわり方は大きく違います。
おそらく、本の出版の際の契約書に二次利用の権利に関する文言が何らか入っていた可能性はあると思います。
著者が契約書を熟読しないケースというのはままあります。なので出版社側が勝手に話を進めていた可能性もあります。
最も通常、原作の二次利用権を獲得しようと思ったら、著作権者に事前に話を通すのが正しいはず。濱田さんのブログ以外の情報がないのでアレですが、信じるとするなら、事前に何の相談もなかったことになりますが、出版の際の契約書に書いてあっても通常は著作権者に相談せんといかんですよね
ただ、実際には「事後報告」ってのはままあるようです。たしかにいちいち許可を待っていたら話が進まないときもある。
たまたま今回は企画会社が土屋アンナさんに責任転嫁しようとしたので発覚したが、原作者の許可には時間がかかって面倒なので、よほどの大物作家でない限り、勝手に決めて事後承諾で「金払ったからいいじゃん」というのは、実は珍しくない…。 http://t.co/NEBk102mX0
— 菊池雅志 (@MasashiKikuchi) July 29, 2013
出版時の契約内容が争点になりそうな感じですが、上演権その他の二次利用権を出版社に帰属するような書かれ方だったのかもしれない。(もちろん読んでないからわからんです)
まあ、もしそうだったとしても「そういう契約になってるんです」と丁寧に説明すればいいだけで、あいさつで同意云々なんて言い出すのは変ですけど。
いまのところ出版社の見解がわからないのですが、出版社は今回の舞台化に際してどういう風に動いてたんでしょうね。ここは情報が表に出てないんで気になるポイントです。光文社も何か声明を発表してくれたりするといいのですが。
公演チラシを見て見ると、どこにも濱田朝美さんの名前がありません。原案のクレジットすらありません。これはどういうことでしょうか。製作サイドは最終的にこれをオリジナル作品として出す気もあったんでしょうか。
「日本一ヘタな歌手」舞台中止騒動についての情報整理
真相はわかりませんが、法的な権利問題は著者と出版社との契約内容にありそう。
しかしプレスリリースの間違いは、権利以前に「この会社大丈夫なの?」という印象を抱かせますね。。。。
(最初の間違いはヒドいんですが、その日に修正を配信してるので、これは言い過ぎですね。削除)