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ソーシャルTVカンファレンスレポート②:日本のユーザー参加型テレビ番組事例

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イギリス、アメリカ、オーストラリアでユーザーと番組を繋ぐプラットフォームを提供するZeeboxの開発者、Anthony Rose氏のプレゼンでもユーザー参加型の番組の紹介がありましたが、番組製作サイドであらかじめユーザーの参加を前提にしたテレビ番組は日本でも徐々に生まれつつあります。
Rose氏のキーノートに続くセッションでは、日本のテレビ番組におけるユーザー参加型の番組事例を、製作者の方々から紹介となりました。
今回のセッションで取り上げられたのは以下の3つの番組。

  • THE MUSIC DAY 音楽のちから(日本テレビ)プレゼンター:海野大輔氏
  • リアル脱出ゲームTV(TBS)プレゼンター:中島啓介氏
  • テラスハウス(フジテレビ)プレゼンター:下川猛氏

司会はバスキュールの西村真里子氏。多数のテレビ連動のアプリなどを番組製作者とともに開発・企画などを手がけておられる方です。

THE MUSIC DAY 音楽のちから|日本テレビ

公式サイトはこちら。
THE MUSIC DAY 音楽のちから|日本テレビ

日本テレビ開局60周年を記念して製作された2013年7/6の10:30 〜 22:54という長丁場で放送された特別音楽番組。音楽で時間と空間と人をつなぐをコンセプトに日本人に愛された名曲の数々を紹介する番組です。

この番組では視聴者と出演者で一緒に音を奏でようという試みがなされ、視聴者はスマホやデータ放送からリアルタイム体感音ゲー「嵐 Feat. You」を提供しました。これは非常にシンプルなゲームで、放送中のテレビ画面に流れてくる音符に合わせて、画面をタップするだけ。タップする際に手元のスマホでも音がなりますので、生放送で歌う嵐の曲に合わせて、そのメロディの一部を担当するような気分を味わうことができます。
この番組は特番で生放送の一発勝負、さらに一部の若者だけに扱えるものではなく老若男女だれでも利用可能なものにしようと、タップまたはクリックするだけという極めてシンプルな作りのゲームとなっています。137万2311人が音ゲーに参加し、番組ハッシュタグつきツイートも6万を超えるなど、大きなバズを瞬間的に生み出しました。テレビとソーシャルメディアで一体感を作るという狙いの成功例と言えるでしょう。
テレビはリアルタイムでの視聴が未だに基本となっていますが、まさにリアルタイムで体感しないとその魅力を味わえない番組製作をソーシャルメディアとゲームを生かして、作った好例と言えるでしょう。

嵐FEAT. Youのスマホ画面
嵐FEAT. Youのスマホ画面

リアル脱出ゲームTV|TBS

公式サイトはこちら。
リアル脱出ゲームTV | TBSテレビ

リアルイベントとして人気を博しているリアル脱出ゲームのテレビ版。ドラマのような物語形式を取りながら、その物語で提示される謎解きに視聴者自身が参加できる形式となっています。
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2013年1/1に第一回が放送され、8月までに計3回放送されています。直近の8月の放送では、延べ172万4541人が謎解きに参加するという、非常に大きな動員に成功しています。
テロリストが爆弾をどこかにしかけ、その在処を示す暗号が提示され、視聴者はその謎をドラマの進行とともに考え、特設サイト上で回答するという形式。
世帯平均視聴率は9.2%とあまり大きな数字ではないものの、コアターゲット視聴率は8%と同日の全局のなかでも2位という成績。音楽のちからと違い幅広い世代へのアピールよりも、普段はテレビから離れた生活をしている人が多いであろう、若い世代のテレビ視聴を促したと言えそうです。
またリアルイベントや、ソニーのXperiaのコラボCMも実施。また8月の放送では、直前の番組がサッカー中継でしたが、リアルタイム感を演出するために実際にサッカーのスタジアムの映像を劇中で使用するなどの工夫もこらしています。
テレビやソーシャルメディア、またリアルイベントなども巻き込んだマルチメディアコミュニケーションを指向しており、番組だけでは完結せず、リアルと地続きになっているのも大きな特徴。そしてゲーム性を重視してリアルタイムに番組に「参加」することでその魅力を味わえる作りとなっています。

テラスハウス|フジテレビ

公式サイトはこちら。
テラスハウス – フジテレビ

“どこにでもいそう”だけど“手の届かない”男女6人を一軒のシェアハウスに集め、その共同生活を台本なしに撮影。かれらの素のやりとりを活写したリアリティショー。
この番組も必ずしも視聴率は高くはないですが、若者層に大きな支持を受けている番組です。スポンサーはトヨタの一社提供となっています。
この番組のソーシャルメディアの取り組みは、出演者による番組放送中のTwitter実況とYouTubeを使ったオフショットやエキストラコンテンツの提供。毎週テレビでは放送されなかった動画をYouTubeで配信し、全ての動画の延べ再生数は6000万回を超えています。
出演者も番組参加と当時にTwitterでのフォロワーを伸ばし、10万フォロワー超えの出演者もいるほど。
メンバーのTwitterアカウントやブログのまとめはこちら。
テラスハウスに出演中・出演したメンバーのtwitter/ブログまとめ – NAVER まとめ

時にはブログに番組のことを書いて炎上している出演者もいるらしいですが、この番組はそうした炎上に関することも番組内で取り上げネタにするなど非常に柔軟な番組作りをしています。
YouTubeだけのオリジナルコンテンツで一番再生数が多かったのかこれだそうです。1800万再生はすごいですね。そしてエロいですね。笑

そしてこの3者によるパネルディスカッションでは、こうしたユーザー参加型番組を製作するうえでの苦労話などにも話が及びました。
まず大変なのは、番組デスクや編成を説得すること。現場レベルではいろんな新しい試みをしたくてもまだまだテレビ局内においてもこうした番組は簡単に受け入れられるものではないようです。
さらにリアルタイム視聴で番組に参加してもらううえで、重要なのは同時にどれだけのアクセスを裁ければよいのか、ということ。あまり前例がないので、どれくらいの容量のサーバーを確保しておくべきなのか、なかなか検討がつかなかったとか。
そしてソーシャルメディアでのバズが必ずしも高視聴率に結びつくわけではないということにないので、ソーシャルメディアでの評判でもってまた別の広告価値や商材を見いだせるかどうかが今後の課題であろうとのこと。

それぞれユニークですが、個人的に3つの番組で一番面白いと思う試みはテラスハウスです。番組が仕掛けるのは最低限のルールのみで、番組内容そのものもそうですが、ソーシャル運用においても偶然性にまかせて、炎上などの事件が起きてもそれを取り込む度量もあります。それに出演者と一緒に番組を視聴するという体験も、ゲームや謎解きとはまた違う一体感を得られる視聴体験ではないかと思います。
またYouTubeのエキストラコンテンツによって番組放送分以外にも彼らの生活やドラマが広がっているのが実感できるのもいいですね。

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