アメリカのメディアが第一報を報じて、その後中国政府がとりあえず否定する見解を発表していますが、その内容だけでも記しておきます。
ハリウッドリポーターが、中国の国内における年間の外国映画上映本数を34本から44本に引き上げる予定と報じています。
China Mulls Upping Film Quota by 10 (Exclusive) – The Hollywood Reporter
The Film Bureau in Beijing looks set to raise the quota of foreign movies allowed into China by 10 movies to 44 films, a sign of growing openness in the world’s second-biggest box-office market.
同サイトでは、中国当局が現在の外国映画の国内上映本数、年間34本から10本増やして44本にするようだ、世界2位の規模を持つ市場が徐々にオープンになりつつある兆候だ、と報じています。
また、この上限本数の緩和は、ここ数ヶ月上映スケジュールとレベニューの分配で緊張関係にあったハリウッドと中国の関係改善につながるだろうと語っています。早ければ今年の3月から施行されるだろうとのこと。
ハリウッドは以前から外国映画上映制限の緩和に関して、中国政府にロビーイングを仕掛けており、フランスやイタリアなどは適用除外を求めてロビー活動していた、と同情報を提供したソース元は語っているとのこと。日本はあんまりそういうことしないんでしょうか。国内市場は縮小方向なので、あらゆる手を尽くさないといけないのですが。
しかし、global time.cnではこの報道を否定する記事が出ています。
Govt denies reported increase in China’s foreign film quota – CHINA – Globaltimes.cn
China’s governing film body has denied an American newspaper report that said it will raise its quota for importing foreign movies.
<中略>
“There isn’t such a thing, the quota is still 34,” an anonymous source told sohu.com.
公式の中国政府の「現在」の見解はそのような決定はない、ということのようです。
中国の外国映画上映の本数制限は、2012までは年間で20本でした。34本に引き上げられたのはつい2年前のこと。徐々に市場開放がなされていくことにはなるのかもしれませんが、まだ早いかも?
2012年の中国映画市場における中国映画のシェアは48.46%で過去10年で初めて50%を割っています。このことに危機感を抱かないはずはないでしょうし。
しかも中国国内では自国で制作された映画の70%が劇場で上映されなかったという報告もあります。
中国、国産映画の7割が未公開 質の向上が課題–人民網日本語版–人民日報
中国の娯楽産業調査会社である芸恩咨詢(EntGroup)がこのたび発表した最新データ「2012-2013中国映画産業研究報告」によると、2012年に製作された中国の劇映画(フィクション映画)は745本で、うち全体の31%に当たる231本しか劇場で正式上映されなかった。しかも、この数字は近年で最も高い比率だという。
質が低いゆえ、興行チェーンの選択肢に入らず苦戦しているということらしいですが。
さてどうなりますでしょうか。
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