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NetflixはTVアニメの詰め込みすぎ問題を解決できるか

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久しぶりにNetflixのことでも書こうと思う。いろいろと盛り上がってることだし。

変なところにOP曲が挿入された山田くんと7人の魔女

本題に入る前にTVアニメの話。2015年春アニメも終わり、今期もたくさん素晴らしい作品に出会えたなと耽っている暇もなく夏アニメが始まる。本当にたくさんアニメがあって見切れなくて嬉しい悲鳴をあげっぱなしだ。映画も見に行かないといけないというのに。
2015年春アニメは「響け!ユーフォニアム」が個人的には最も素晴らしかった。原作小説1巻分を丹念に1クールで構成して仕上げていた。詰め込みすぎず、説明しすぎず、京アニの抜群の作画力と演出力もあって毎週見入ってしまった。
反対に面白いんだけど、残念だなと感じた作品もあった。「山田くんと7人の魔女」は後半エピソードを圧縮しすぎていて駆け足すぎる展開が気になった。設定もキャラも演出も魅力的なので、それでも結構楽しめたのだけど、後半登場のキャラたちに感情移入する暇を与えてくれずに終わってしまった感がある。尺稼ぎのためかわからないが、OPを削って作中の変な箇所でオープニング曲を挿入してたし(ネタとしては面白かったけど、作品の完成度は下げたよね)。その他、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」も後半は駆け足に感じた。

まあ、原作ものをTVアニメの決められたフォーマットに当てはめるのは難しいことではあるので、そういうことはまま起きてしまうのはしょうがない。TV放送が前提なので。

山田くんと7人の魔女、8話の予告。これが一番詰め込みすぎだと思った。悠木碧さん演じる滝川ノアの事もっと知りたかったな。

日本市場にアニメはやはり必要と考えているっぽいNetflix

で、Netflixの話。
ネットメディアとTV業界内では盛り上がっているようだけど、実際にはまだ大したことは発表されていない。事業を始めるにあたっての地ならしの最中という印象。ただネット企業によくある「とにかく初めちまおう」というやり方ではなく、ローカルのコンテンツメーカーともハード会社ともしっかり交渉して、市場調査も入念にやってと新規事業を起こすにあたって当然やるべき地味な作業をしっかりやる会社なのだろう。

映像のオンデマンドサービスはすでに日本でも多く存在しているが、Netflixがことさら注目されているのは、その分野で世界最大シェアを持っているからというのもあるが、やはり質の高いオリジナル作品を送り出していることにあるだろう。日本でもオリジナル作品を作ってくれることを期待している人は多いと思う。

過日、Wired主催のNetflixのトークセッションの抽選に当たったので参加してきた。ゲストはNetflix日本法人の代表のグレッグ・ピーターズ氏と映画評論家の小西未来氏とデザイン・シンカーの池田純一氏。モデレーターであるWiredの編集長の方が、このトークセッションをどう感じたかは以下の記事を読んでもらえばわかる。主観の強い記事と思う。
ぼくらは「Netflix日本上陸」に期待していいのだろうか? いまのところYesと言おう « WIRED.jp

テラスハウスがどうとかは個人的な好みの問題なので、僕としては特にいうことはないが、やはりオリジナル作品にどれだけ注力するのかは気になる。このトークセッションでは、すでにNetflixが世界配信している「シドニアの騎士」の名前も挙がっているたが、日本市場攻略にアニメという選択肢は当然考えているようだ。

「たとえば日本のアニメ作品は大きなポテンシャルを持っていると考えています。ポリゴン・ピクチュアズが製作した『シドニアの騎士』という作品があります。これは日本では劇場公開されましたが、世界に向けてはNetflixで最初に公開されました。この作品については我々はタイミング的な問題で出資はできませんでしたが、こうした事例は今後出てくることでしょう。もう少し時間をください」
http://wired.jp/2015/06/22/say-what-to-netflix/2/

Netflixのオリジナル作品は尺の設定が自由

Netflixのオリジナル作品の特徴の1つに、各エピソードの時間が一定ではないというのがある。

Netflixのオリジナル作品は、尺の設定からして自由だ。実際「Sense 8」では、エピソードごとに尺が1時間を超えたり、超えなかったりと監督の意志のまま自在に変わるのだという。
http://wired.jp/2015/06/22/say-what-to-netflix/2/

TV放送ではないので、尺の制限がないから、時間設定が自由なのだ。たとえば「Orange is the New Black」という作品は1話が51分のものから92分のものまである。それぞれのエピソードに必要な分量の尺に設定できるのが配信の強み。放送枠のために、なくなくカットしたり、話を無理やりつめ込まなくても良い。Netflixはこれを日本のアニメでもやってくれるだろうか。というかやってほしい。アニメ制作側にとっては良い選択肢になるのではないか。
(もっとも、役者とスタッフの拘束時間内であればいくらでも撮影できる実写とは違って、描けば描くだけ予算もどんどん増えていくアニメの場合は、放送枠の問題だけではないだろうけど)

※Netflixのオリジナルシリーズの一覧はこちら。どれもエピソード時間に幅がある。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_original_programs_distributed_by_Netflix

Orange is the New Blackの予告。刑務所が舞台だがコミカルな作品である。

かつてOVA等ではもう少し、尺に関して自由だったような気がする。主にTVアニメと同様の長さだったが、話数に関しては結構バラバラだった。Netflixにはそういう自由さもでてくるかもしれない。あるいはufotableが「空の境界」シリーズを劇場作品として製作して、それぞれのエピソードの長さが違っていたが、ああいうのも可能になるかもしれない。

放送枠の縛りからTVアニメが解放されれば、より日本のアニメの魅力が増す可能性はある。ぜひNetflixにはこの分野も頑張ってほしいと思う。もちろん実写ドラマにも同じことが言えるだろう。

ただ、現状発表されているフジテレビの共同制作のテラスハウスとアンダーウェアに関しては、Netflixで先行配信後、地上波展開もするようなので、おそらく放送枠の縛りはあるかな。その縛りがなくなった時が一番Netflixが真価を発揮するんだろうけど、それにはまずたくさんユーザーを獲得しないとだしね。