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2016年の映画興行をプレビューしてみる

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すでに今年の最初のエントリーというわけでもないし、毎年こんな展望のようなものも書いていないのだが、今年の日本の映画産業を自分なりにプレビューしてみようと思う。映画館で働いてるんだし、末席ながら大きな潮流の影響も受けるだろうし。

邦高洋低はある程度解消するかもしれない。実写邦画が元気なさそうなので。。。

日本市場は長らく邦画が洋画の興行収入を上回る状態が続いてきた。2015年はベイマックスに始まり、夏の「ジュラシック・ワールド、ミッション・インポッシブル、ミニオンズ、年末にはスターウォーズと大ヒット洋画タイトルここ数年に比べると多く生まれた年になった。ベイマックス以外はいずれもビッグタイトルの続編。今年もはこうしたビッグタイトルの続編は揃っている。春はキャプテン・アメリカ シビル・ウォーや、バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生。夏にはインデペンデンス・デイ(売れるのかなあ)、スタートレック、DCコミックスの悪役オールスター「スーサイド・スクワッド」、X-MENにカンフー・パンダ3もある。他にはピクサーのペットもきっと売れるでしょう。年末にはハリーポッターとスターウォーズのスピンオフ、ローグ・ワンもある。
2016年に突入してもスターウォーズ フォースの覚醒の勢いはまだ続いているし、邦高洋低はある程度揺り戻しがおきて、洋高邦低となるかもしれない。ただ、有名作品の続編は注目度が高くたくさんお客さんが入るかもしれないが、その他のドラマやコメディ、恋愛映画などが沈む可能性がある。
というより、最近は入る作品と入らない作品の差が激しい。入らない作品は打ち切られるのも早いし。

反対に邦画はどうかというと、一昨年までドラマの映画化で大きく当てていたのが、好調の要因だったが、そもそもテレビドラマのヒット作が減ってきているので、ドラマの劇場版は難しくなってきている。代わりに漫画・アニメの実写化&(謎の)二部作編成が2015年から主流になりつつあるが、昨年はそこからメガヒットは生まれていない。むしろ進撃の巨人の実写二部作あたりで、実写アレルギー&二部構成disが増えたかもしれない。二部構成とか昔のVシネみたいだよね。1本の値段で2本作っちゃおう的な。

シン・ゴジラはよくわかりません。

ドラえもんをはじめとするファミリー向けアニメはいつの時代も安定しているので大崩れしない。ここに今年は夏にワンピースの劇場版がある。邦画は実写がパッとしないので、アニメがまた主役になるかもしれない。

今年も深夜アニメ系は一定の存在感を発揮する

アニメと言えば近年無視できない勢力になってきた深夜アニメ。2015年はラブライブの大ヒットは鮮烈な印象を残した。同日公開のマッドマックスを抑えて1位デビューだったしね。ワーナーはラブライブ!のポテンシャルを見誤ったんだろう。夏の大作が出そろう前に公開日設定して、その出来栄えで口コミで長く動員を引っ張りたかったんだろうけど。マッドマックスは実際素晴らしかったし、リピーターも多かったが、リピーターの数はおそらくラブライブ!の方が多かっただろうなあ。ラブライブ!はウチで上映した時も毎日見に来てくれる人もいた。ファンの熱量が本当にすごい。
今年も深夜アニメ系の作品は、存在感を発揮するでしょう。ラブライブ!級の作品はなさそうだが、傷物語3部作、亞人三部作、京都アニメは響け!ユーフォニアム(は総集編だからすごいヒットなさげ)のほかに山田尚子監督の「聲の形」がある。直近だとコードギアスとWIXOSSがある。艦これ劇場版は今年の公開に間に合うんでしょうか。虐殺器官はどうなるんだろうなあ。

ジブリ、細田守のいない夏興行に新海誠

今年、興行成績で一番注目しているのは新海誠の新作。まさか東宝映画事業部が夏休み興行のど真ん中に当ててくるとは。しかも名プロデューサーの川村元気がプロデューサー。
これは結構な肝入りのように見える。2015年だったらバケモノの子のポジションだし、2014年なら思い出ノマーニーを上映してた時期である。
東宝は本気で新海誠をジブリ、細田守に次ぐヒットメイカーに仕立てるつもりだろうか。東宝にとっても新海監督にとっても大きな賭けだろう。
新海監督の作品は、ウェルメイドな作りだし、キレイな話が多いので、間口はそんなに狭くはないだろうが、大メジャーに突き抜けることができるだろうか。ジブリ、細田作品と比較するとダイナミックなカタルシスには欠けているように思う。最も今まではそうだった、というだけで、今回そこも一皮向けるかもしれない。

ミニシアターの行く末は

かつて、ミニシアターブームを先頭で牽引したシネマライズが1/7に閉館した。正直言って随分前から存在感を失っていたので、時間の問題だったのだが、また一つ減ったかと思ってしまう。シネコン化でブロックブッキングが壊れて、独立系の配給会社の作品もシネコンで扱うようになって、ミニシアターにはどんな役割があるのか、というのはここ数年ずっと突きつけらていた課題だが、決定的な答えは見いだせていないように思う。
ただ、安定して動員してる劇場はしている。シネスイッチ銀座とル・シネマはシニア女性を確実に獲得しているし、テアトル新宿は邦画の良作の牙城となっている。完全デジタル時代になってアップリンクはむしろ元気になっているようにも見える。元気なミニシアターはいずれも、それぞれの「色」がはっきり見える。個性というか。シネマライズなどは反対に強烈な「色」をみずから捨ててしまった。シネコンほど手広くカバーできないなら、小さくてもいいから唯一無二の個性を作って、強烈な島宇宙となっていかないといけない。

その点に関してはウチも人ごとではない。今年の4月で3年目に突入する。強烈な色を獲得するためには、昨年以上に様々なトライをしていかないといけないな。

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