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日本のアクション映画に強烈な新風を吹き込む「HiGH&LOW」シリーズ

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LDHの「HiGH&LOW」シリーズが面白い。
全編に良い意味で無謀なパワーが満ちている。お行儀のよい邦画界に真っ向からケンカを売るようなこの作品、嫌いになれないどころか、結構好きだ。

前作「HiGH&LOW THE MOVIE」は恐るべきごった煮感で、凄まじくエネルギッシュだったのに比べて、「HiGH&LOW THE RED RAIN」はきちんと『映画』しているというか、少しおとなしくなっている印象はある。しかし、それでも雨宮兄弟の見事なゼロレイジコンバットは見応え充分だし、爆破に派手なチェイスシーンをわざわざ撮影するために海外ロケを敢行して、リトル・アジアなる地域を作り出して海外ロケシーンすら日本の一部だと言い張る強引さは最高だ。というか、HiGH&LOWの世界ならそれぐらい十分あり得るのだ、という不思議な説得力がある。それだけSWORD地区を中心としたHIGH&LOWの世界観は『何でもあり感』の完成度が高い。特にSFやファンタジーでもないにも関わらず、だ。

これは前作のフッテージだが、このビジュアル、このアクション、本当にカッコイイ。大人数の肉弾戦を俯瞰のフライングモンタ(カメラをワイヤーで吊った撮影用機材)で見せるシーンは圧巻。

アクション監督は、るろうに剣心のスタント・コーディネーターの大内貴仁氏。るろ剣にもあった大人数での乱戦だが、武器を持たない素手の乱闘はさらに一つ難しいレベルなのだとか。

大内:ぼくもこれまでの作品で経験したことのない規模でしたね。実は、アクション作品で一番難しいと言われているのは“素手の戦い”なんです。

――なぜですか?

大内:刀のアクションは距離がとれて、見栄えする分ある程度は誤魔化せるんですよ。それに対して素手のアクションでは密な動きを慣れない人がすると、ごちゃごちゃしているようにしかみえない。よほどのスキルを持っているか、カメラ慣れしていないと難しいんです。だからこそ100対500のぶつかり合いは本当に大変だった。アクションに慣れていないエキストラさんたちがたくさんいる中で安全をコントロールしないといけない。
『HiGH&LOW THE MOVIE』の“集団戦”はいかに生まれたか? アクション監督・大内貴仁が語る|Real Sound|リアルサウンド 映画部

 
 
「HiGH&LOW THE RED RAIN」は「THE MOVIE」と違い、監督が山口雄大、アクション監督も匠馬敏郎(坂口拓)が務めておりアクションの方向性が変わっている。今回の主役、雨宮兄弟はSWORDの連中のように群れずに2人で戦うタイプなので、集団戦ではなく、卓越したリアル格闘スキルで魅せる。前作もテレビシリーズでも、このような流れるような型に嵌める格闘アクションは披露していなかった。さらにバイク乗りである2人のキャラクターを活かすためにチェイスシーンも用意されている。

山口雄大監督は、映画が主戦場の作家であり、すでに何本も映画を撮っていることもあってか、「THE RED RAIN」は斬新さよりもきっちりと映画として撮っているという印象だ、対してTVシリーズと「THE MOVIE」を監督した久保茂昭氏はミュージックビデオ出身の監督だからというのもあるかもしれないが、従来のアクション映画にはない新鮮なセンスを見せてくれた。今回は雨宮兄弟のエピソードなので、スピンオフのような位置づけなのかもしれない。

おそらくこのシリーズはまだ終わらない。今度はどんなアクションを魅せてくれるのか、今からワクワクしている。なんでもありのこのエネルギーで、どんどん新境地を切り開いて日本のアクション映画史にその名を刻んでほしい。

(C)2016「HiGH&LOW」製作委員会