中国映画化が多様性を模索する動きを活発化させている。
先週、China Film Archiveが映画祭などで受賞した国内・海外の映画作品を全国100の劇場で上映していく新配給チェーンを発表した。これにより、海外の巨匠クラスやインデペンデントの質の高い作品の中国での配給の可能性がぐっと拡がることになりそうだ。
China launches new arthouse circuit for imported and local films | News | Screen
チャイナ・フィルム・アーカイブは、中国内での映画祭や上映プログラムなどを選定する組織。ここが夏フィルムやワンダグループなどの大手の興行・配給主と共同でNational Arthouse Film Allianceという新組織を設立。約100の劇場で、順次国内、国外問わず質の高い作品を上映していくという。
中国には国外映画の年間上映本数に制限がある。現在、中国内で上映できる海外の映画は年間34本。今回のアート系映画の新上映チェーンは、記事中にははっきりとした言及はないのだが、今回の動きは中国映画界の多様性の拡大を目指すもの。おそらくこの枠とは別にNational Arthouse Film Allianceが選定する映画を定期的に上映していくような形になるのだろう。
ヴァラエティでは、アート系映画の制作やセールスを手がけるsabelle Glachantの「非常に重要な取り組み。これによって中国でウディ・アレンやペドロ・アルモドバル、ケン・ローチやダルデンヌ兄弟の映画が見られるようになるかもしれない」というコメントを紹介している。コマーシャルな理由でこれらの作品が、34本の枠を競ってハリウッドに勝てる道理はない。
今回の新組織設立の目的は、国内映画市場の多様性の創出。従来の本数制限の枠組みの中では商業的成功が約束された作品が優先されてきたが、さらなる市場の成長を促すための措置のようだ。
中国市場は今後さらに発展していく。日本映画にとっても中国での上映機会を創出するチャンスにもなりそうだ。
集英社 (2011-04-15)
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