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2019年アニメ作品以外のベスト映画を選びました

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 リアルサウンド映画部さんの方で、2019年のアニメーション作品ベスト10は選んだのですが、それ以外の作品もちょっと振り返ってみようと思いました。

 順位はつけませんけど、邦画、外国映画、ドキュメンタリーそれぞれ今年最も印象深かった10本を選びました。並び順は思い浮かんだ順なので、上の方に来ているものは、それだけより深く心に残った作品だと思っていただければ。

 

邦画

・蜜蜂と遠雷

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 センスが邦画離れしていましたね。ファーストカットから心を掴まれました。石川慶監督はこれからの日本映画界を引っ張っていくような存在になるんじゃないでしょうか。
 

・よこがお

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 本作の筒井真理子さんは今年最も印象深い芝居を見せてくれたと思います。深田監督の作品としても最も好きな作品です。

 
・映画 刀剣乱舞

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 歴史とは何かをすごく考えさせられました。人間にとっての正しい歴史を守るために、刀剣が戦う。しかし、正しい歴史とは必ずしも、後世に知られているものではないかもしれない。本当の歴史を知るのは、武将の側にいた刀剣という「モノ」だけ。間違った歴史であったとしても、それを前提に人類史が積み重なっているのだとしたら、それも含めて守らねばならず、真実は人類史には刻まれない。されど、「モノ」である刀剣の胸の内にだけ、その真実が刻まれている。
 小林靖子さんの脚本が素晴らしかったです。時代劇であり、特撮であり、2.5次元であり、日本からしか生まれ得ない作品でした。

 
・あの日々の話

 大学生サークルがカラオケルームで乱痴気騒ぎしているだけの作品なんですが、日本社会のダメなとこが凝縮されていました。玉田真也監督のセンスに脱帽しました。

 
・おいしい家族

おいしい家族
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 ある日、帰郷したらお父さんがお母さんになっていたという話。お父さんはお母さんが亡くなってから、お母さんの遺品の服を着るようになったということなんですけど、お父さんのあり方が面白いですね。彼は、同性愛者でもないけど、男性と同居して再婚を決め、トランスジェンダーじゃないけど、女性の服を着る。境界を軽やかに飛び越える存在として描かれていて、大変に開放感のある作品でした。容易に線を引けないジェンダーのあり方が描かれているのが好きです。線を引かないやさしさってあるよね。
 

・洗骨

洗骨
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 ゴリ監督、すごいですね。生と死が向き合うラストカットがとても力強かったです。この調子でどんどん素晴らしい作品を作ってほしいです。
  

・岬の兄妹

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 貧困を描いた作品ですが、パワフルに生きている人間の生の姿って感じです。今村昌平監督の作品を思い出しました。

・七つの会議

七つの会議
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 野村萬斎の芝居が1800円で観られるって安いですよね。他にも芸達者が揃っていて面白かったです。レビューも書いています。不正をする企業人であることと、良き夫や父であることは両立してしまう。話題作が挑む、人間の想像力の限界 | ハフポスト

 
・劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん

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 現代社会は冒険をする余地がなかなかないけど、ゲームの世界には冒険があるんです。人がゲームをやる理由について、とても説得力がある描かれ方をしていたと思います。
 

・わたしは光をにぎっている

小説 わたしは光をにぎっている
梅原 英司 中川 龍太郎
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 アニメ的な実写映画を撮る監督ですね。日常アニメのあり方にも近いです。一度インタビューしてみたい監督です。

 

外国映画

・ある女優の不在

 傍観する監督本人は何を表現しているだろう。豊かな暗喩が頭から離れません。レビューも書いています。豊穣な暗喩で綴られる三世代の女性の苦悩と映像の虚構性

 
・存在のない子供たち

 子供が親を「自分を生んだ罪」で告発する。生まれてくる家を選べない。生まれで人生が決まってしまう理不尽をこれほどクリティカルに描いた映画は他にないのではないでしょうか。
 

・第三夫人と髪飾り

© copyright Mayfair Pictures.

 これが長編デビュー作のアッシュ・メイフェア監督ですが素晴らしい才能を持っていると思います。また、広い視点で物事を考えられる方だと思いました。インタビューがあるのでぜひ読んでください。『第三夫人と髪飾り』が舞台となったベトナムで上映中止に。それでも監督は「絶望していない」 | ハフポスト
 

・家族を想うとき

© Sixteen SWMY Limited, Why Not Productions, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2019

 ケン・ローチ監督の最新作です。ギグ・エコノミーの悲惨な実態を描き、システムに翻弄される家族を描いています。相変わらず人間の見つめる距離感が素晴らしいなと思います。脚本のポール・ラヴァティにインタビューしています。名匠ケン・ローチが『家族を想うとき』で問う「私たちにとって仕事とは何なのか」 | ハフポスト
 

・運び屋

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 カーステレオでノリノリで音楽を聴いているイーストウッド、その後ろにマフィアが盗聴しながら車でついてきているシーンがやたら好きです。イーストウッドが口ずさんでいる鼻歌を、盗聴しているマフィアもつられてちょっと歌ってしまうシーンなんですが、あの感染していく感じがすごい。話の本筋には全く関係なさそうなあのシーンをどうして入れたのか、私気になります。
 

・Girl ガール

©Menuet 2018

 ジェンダー問題が最も先鋭的に現れる分野は、スポーツやダンスなどだと思います。肉体的な条件が競技やパフォーマンスに直接関わる分野ですね。また、本作はトランスジェンダー役をだれが演じるべきか、という議論にも一石を投じました。詳しくはインタビュー記事がありますので、そちらを参照してください。善意からくる「差別」の難しさを問う。賛否両論の映画『Girl/ガール』から私たちが学べること | ハフポスト
 

・サタンタンゴ

 タル・ベーラって動物をどうやって演出しているんでしょうか。
 

・バハールの涙

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 監督自ら、クルド人自治区で女性戦闘員に取材して作り上げたそうです。ゴルシフテ・ファラハニの眼差しがわすれなれません。
 

・帰れない二人

 『迫り来る嵐』など、中国の急速な経済成長で失われた風景を描く作品がちょこちょこ出てきています。これもそんな作品の1つですが、そこに任侠的人間関係も入れていて、グレーなものも含めた濃い人間関係のあり方もなくなってゆく様を情感たっぷりに描いていました。ジャ・ジャンクー監督はすごいですね。

 
・ビール・ストリートの恋人たち

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 美しい恋愛映画でした。男らしさに囚われた人間の悲劇でもありました。バリー・ジェンキンス監督のインタビューもあります。男らしさの呪縛を捨てれば、もっと自由になれる。70年代NYが舞台『ビール・ストリートの恋人たち』の現代性 | ハフポスト

 

ドキュメンタリー映画

・ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス

 近年のフレデリック・ワイズマンの作品で一番好きです。ヨーロッパの美術館なども良いですが、やはりワイズマンにはアメリカ社会を見つめてほしいなと思ってしまいます。知のアーカイブがどうして大事か、これを見ればわかるはず。取材記事もあります。図書館は単なる無料貸本屋なのか? ニューヨーク公共図書館が貫く“民主主義”とは | ハフポスト
 

・春画と日本人

 めちゃくちゃ面白くてためになる作品でした。春画の規制の歴史を通して、日本人てなんなのかを問う、大変に射程の広い作品です。取材記事もあります。春画展は「わいせつ物陳列」なのか? 表現の自由を萎縮させる日本人の「体質」とは | ハフポスト 明治時代、美術という概念の登場とともに春画の規制が厳しくなったという話もどこかで取り上げたい題材です。わいせつと美術の概念には深い因縁があるのだとこの映画が教えてくれました。

 
・少女は夜明けに夢をみる

 イランの少女更生施設のドキュメンタリーですが、屈託ない笑顔に溢れた作品です。僕はこういう類の逆説的なものが好きなんでしょうね。貧困・虐待など様々な事情で犯罪に走るしかなった少女たちにとって、更生施設は「束の間の桃源郷」なんです。本来、笑顔を期待してカメラを向けるような題材じゃないのに、笑顔があふれる作品になっているのは施設の外の方が彼女たちにとって辛い場所なんですよね。
 

・沈没家族

 共同保育で血のつながらないたくさんの人に育てられた監督による、自身のルーツを振り返る作品。お母さん、すごい面白い人ですね。常識から外れても健やかに育つことはあるので、こういう作品を見ると、普段ニュースの事件報道等で、生育環境や親についての情報が流されるけど、人間の成長ってもっといろんなものが複雑に絡み合った結果なんだよなと思わされます。単純な答えに飛びついたらいかんのですよね。
 

・台湾、街かどの人形劇

 伝統をいかに守るかという話であり、偉大な父を持ってしまったがゆえの愛憎劇であり。台湾の人形劇、「布袋戯」に興味がわきました。『サンダーボルトファンタジー』で布袋戯を知った人などにもぜひ観ていただきたい作品です。

 
・グレート・ハック: SNS史上最悪のスキャンダル

 ケンブリッジ・アナリティカについてのドキュメンタリー作品ですが、現代ほどプロパガンダを仕掛けやすい時代はないのかもしれないと思いました。世界の分断を考える上で観ておくべき作品です。
 

・ジョアン・ジルベルトを探して

 好きなボサノヴァアーティストを探しにいくだけかと思いきや、なんかすごいミステリーでした。監督よりも先にジョアン・ジルベルトを探していたドイツ人ジャーナリストの死の真相などが絡んできて、意表を突く展開が待っています。
 

・ヒューマンフロー 大地漂流

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 アイ・ウェイウェイによる、世界の難民キャンプを詩的な映像で撮った作品です。エーゲ海の美しい青い海を切り裂くように進む、人でいっぱいの今にも転覆しそうな難民船をドローンで真上から捉えた映像など、大変に強いインパクトを残すカットが目白押しでした。
 

・イーちゃんの白い杖

 テレビ静岡が20年間かけて追いかけた、生まれつき目が見えない女性を捉えたドキュメンタリー。やはり20年という年月追いかけ続けたことで、人生の記録として大変に優れています。20年間で障害者を巡って社会は変わったのかを問うことができる稀有な作品です。
 

・RBG 最強の85才

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 今年はギンズバーグについての映画が2本上映されました。本作と劇映画があったんですけど、劇映画はギンズバーグの駆け出しの頃を描いていたのに対し、こちらはそれ以降の活躍を描いていて、ちょうど2つで補完される内容になっていました。中道寄りだったギンズバーグがなぜ、リベラル色を強めていかなくてはならなくなったのかを描いていて興味深いです。極右の親友がいたという話も興味深いです。

 
 今年は、アニメーション映画の本数が多くて、その煽りを受けて実写作品の鑑賞本数は減ったと思います。実写もアニメもコンテンツ数が多くて、大変ですけど、なんとか来年はもっとたくさんの作品を観られるようにしたいと思います。特に今年はドキュメンタリー映画を見る本数が少なかったのが反省材料です。

 時間よりも体力の問題が大きいので、来年の目標は「体力をつける」です。