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『私のジャンルに「神」がいます』について書きました

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 リアルサウンドブックに真田つづるさんの『私のジャンルに「神」がいます』のレビューを書きました。

 Twitterでブレイク『私のジャンルに「神」がいます』はなぜ支持された? 同人活動が教えてくれる、創作の意味|Real Sound|リアルサウンド ブック

 本書は、ツイッターなどで話題になった「同人女の感情」の単行本化されたものです。同人誌作りにハマった女性たちの悲喜こもごもを描いた作品で、その感情をとてもリアルに捉えた作品として評判になりました。

 創作の喜びや苦しみはかなりメジャーなテーマというか、物語を書く人はおしなべて創作をしている人たちなので、必ずその創作者自身が悩むことなので、よくテーマに上がるわけです。本書はアマチュア作家である同人であるによる独特の葛藤もありつつ、創作全般に対して普遍的な感情を描いている作品だと思います。

 そして、だれもがクリエイターになれてしまう時代だからこそ、彼女たちの悩みは誰にでも当てはまるのだろうと思います。誰もが無関係ではないはずの話なんですよね、この本に描かれていることは。

 なので、自分の映画学校時代の話なども盛り込んでみました。「おけけパワー中島」の褒めがなぜ大事なのかなど、自分も学生時代の校長先生からその大切さを教わったのです。

 以下、メモです。

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Point
・プロではないからこそ、プロ以上になんのために作っているのかを問われる世界。それが同人の世界
  これを問い続けるのはものすごいエネルギーがいる。正直、「生活のため」と割り切れるのは楽でもある
   ブログから始まった自分のライター生活についても記述して「自分の物語」として語る
・褒めることの大切さ・・・自分が映画学校で学んだこと。評論家の校長は何が何でも学生の作品をほめる人だった。教育者としての信念とプロの見識の深さを思い知らされた。
・「神」と受容者の関係はどうあるべきか。。。勝手に期待を押し付けるのは間違いで、自分一人のために創作しているわけじゃない、それはわかっているけど、「感情」とは常にやっかいなものなのだと言うこと
・これは、二次創作にだけ言えることではない。。。創作とは何か、誰もが創作者のようにふるまえる時代だからこそ、これは誰にとってもありえる物語

 

Intro
おけけパワー中島でツイッターの話題をさらった、真田つづるの「同人女の感情」が名前を変えて書籍化された。

神と呼ばれる書き手がいるジャンルで、様々な思いを抱えながら同人活動を繰り広げる女たちをオムニバス形式で綴った作品。

面倒な感情が渦巻いている。しかし、それ以上に創作する苦しみと喜びにあふれた作品だ。二次創作の世界を舞台に、どうして人がもの作りを欲するのかを描いている作品。

 
Body1 なぜ作るのか、プロでないからこそ深く問われる
作る理由を問い続けるのは、すごいエネルギーがいる。

ある意味、その問いを生活だからと割り切れてしまった方が楽になれる部分はある。そこに悩む分を創作に向けられる。

それに対して、自分のブロガーとしての個人体験を紹介する。

 
Body2 褒めることの大切さ
おけけパワー中島はどうしてバズったか・・・名前のインパクトだけではないのでは。

褒めの大切さ

映画学校時代の校長の思い出。映画評論家の佐藤忠男が校長を務めていた。彼の教育理念は、学生の実習で作った作品は何が何でも褒めるというものだった。

プロの評論家だけあって、その作品を見る目は一流だった。隅から隅まで作品を見て、良い点を見つけてしまう。その見識の深さがプロの評論家と感じさせるすごい人で、褒めポイントを探す技術は超一流だった。

 
Body3 他人に勝手に期待を押し付けることの残酷さ
神と呼ばれるかもしれないが、ただの人間である。
神に必要なのも、応援だったりする。創作意欲を保つためには。
おけけパワー中島はいつも応援してくれるのだった。

描きおろしにはその関係がさらに掘り下げられている。

実際、身近な顔の見せる人が喜んでくれる。それはかなり強い創作の動機になり得る。

勝手に期待して勝手に失望している同人女たち。一方通行だけど、日々、ツイッターではそういう感情が交錯している。
二次創作を始めてから承認欲求でおかしくなってしまった
二次創作のやめ時

 
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 メモ終わり。

 
 最初は承認欲求の話もしようと思っていたんですが、削りました。Body1とBody2で十分作品の重要な点を伝えられていると考えました。あとは各話のそれぞれの物語はみなさんが読んでいただいてそれぞれの感想を持てばいいし、Body3は本書の中身に話に寄りかかっているというか、まあみなまで言わんでもいいか、と思ったので。

 やはり、本書のポイントはアマチュア作家の葛藤を描いている点で、プロとの違いが明確にあるんですよね。別に書かなくても生活できるという明確な違いが。

 むしろ、アマチュアの同人活動なんて大変なことは、仕事やプライベートを圧迫することもあるような作業なわけで、そこまでやるのはどうしてなんだろう、という感情が大変よく描けてる作品だなと思います。

 プロは書く理由を「生活のため」と割り切れるんですよね。なぜ書くのかについて悩んでいたエネルギーも創作に回せるというか。これは僕の実感です。ブログ書かなきゃ、でもなんでと言われるとなんでかなとなりますけど、締切迫る原稿があれば、書くしかないので。悩んでる暇があれば、原稿をより良くすることに費やすようになりました。結果、今のほうがいい文章を書けるようになってると個人的には思ってます。

 
 面白い本なので、ぜひ読んでみてください。人生を豊かにするヒントがもらえる作品だと思います。