リアルサウンドブックに、桜井画門の『亜人』のレビューを書きました。
『亜人』は“不死の人間”を通じて何を描いた? 退屈に耐えられない、人間の本性|Real Sound|リアルサウンド ブック
『亜人』好きなマンガでした。ついに完結しましたね。全体通して非常によく出来た作品だったと思います。海斗の出番が存外少なかったとのは少し残念でしたが。亜人同士の戦いの中で見せ場を作るのはちょっと難しかったのかもしれませんが。
この作品のもっとも優れた点は、やはり悪役の佐藤です。このキャラはすごい。近年のマンガ・アニメの悪役リストを作ったら個人的にトップ3に来ますね。
飽きるんですよね、佐藤は。深いですよね、飽きるって。人生は退屈との戦いですし。死ぬまでの暇つぶしが人生なんだと言う人もいますし。
國分功一郎さんの『暇と退屈の倫理学』も参考にして人間にとって退屈とはなんなのかという点から佐藤を評してみようと、ずっと前から思ってたので、やれる機会があってよかったです。
以下、メモです。
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Point3つ
悪役佐藤
おじさんがかっこいい作品
死なないからこそ、どう生きるか。。。主人公も佐藤もそれを投げかける
人は退屈できない。。。暇と退屈の倫理学
阿部公彦 評 『暇と退屈の倫理学』 國分功一郎著 【プロの読み手による 書評空間】
筆者曰く、「こうして、暇のなかでいかに生きるべきか、退屈とどう向き合うべきかという問いがあらわれる。〈暇と退屈の倫理 学〉が問いたいのはこの問いである」(p. 24)。
本書の構成は以下である。第一章「暇と退屈の原理論」では、パスカルらの議論をもとに、人間が退屈に耐えられず気晴らしを求めだす様が描かれる。
第二章「暇と退屈の系譜学」では、退屈の 起源が論じられ、人類が遊動生活を止めた定住革命によって、それまで探索に使われていた能力が持て余され、退屈が生じたという仮説が提示される。
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退屈に耐えられないため、その穴を埋めるものとして「文化」を発展させた。
亜の意味
1. 次。次位2. あいむこ(姉妹の夫どうし)3. 亜細亜(アジア)の略4. また。分岐点
Intro
亜人が完結した。
亜人とはどういう物語だったか。どういう作品だったか。
死なない人間、死なない以外は人間と変わらない
Body1死なないからこそ、どう生きるか
死なないことは超人的だが、それ以外はただの人間。「亜人」。・・・人間に次ぐもの、人間ではないものであるが、分岐したもの。人に似た姿の非なるもの。。。だからこそ、人間の輪郭を描ける。
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「死なないだけの、ただの人間」
これをまずはしっかりと書く。
主人公、永井はどう生きようと決めたのか。
田中
下村
中野
人間ドラマをいかに評価するか
誰も高潔ではないという点
だれも真っ黒ではない
醜く、酷く、冷酷に見える言動にも裏がある。人間の複雑さを見事に描きあげている。
Body2 特筆すべき悪役佐藤
彼の生き方は本作のテーマを背負っていた。。。詳しく。。。暇と退屈の倫理学から
退屈の反対語は、快楽でなく興奮。。。佐藤は興奮したいのだ。
「あの人は革命家でも策士でもない。遊び人です」
楽しむために生きる。。。。死んだら何も残らない。自分に正直に生きている悪役
その動機の軽さと言動が巻き起こす重大さが釣り合わないように、常人からは見える。だが本人的には釣り合っているのだ。
何も無い空間じゃあ、人間の精神は72時間しかもたない」
飽きたから作戦を変更する。。。これに翻弄される主人公たち
暇と退屈の倫理学・・・・人類が定住する生活を初めてから、遊牧時代の索敵能力を持て余して「退屈」という感覚が生まれた。
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退屈を考えることは人類にとって重要。佐藤は退屈と戦っている。
「暇」を楽しんでこそ自分が磨かれる [國分功一郎] | ISSUES | WORKSIGHT
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メモ、終わり。
『亜人』の魅力は他にもあって、例えばかっこいいおじさんがいっぱい登場するなどあるんですが、退屈という大きいテーマを活かすために割愛しました。平沢さんとか真鍋さんとか自衛隊のおじさんとか、いっぱいかっこいいおじさん出てきますよね。
あと、下村泉さんもかっこよくて大好きです。田中を助けたエピソードの最後のコマが好きです。田中と下村さんは一列に縦にならんで歩いているのを真正面から描いたコマですね。あの縦の関係のバディ感、すごいかっこよかった。
桜井画門さんのこれからの活躍も期待しています。かっこいいおじさんをこれからも描き続けてほしいです。