リアルサウンドブックに、マンガ『古見さんは、コミュ症です。』のレビューを書きました。
『古見さんは、コミュ症です。』は人間関係の本質に触れている コントロールできないコミュニケーションの難しさ|Real Sound|リアルサウンド ブック
古見さんは、コミュ症という設定ですが、現実には場面緘黙症とか失声症に近いような気がします。作品ではそう定義せずにコミュニケーション不全一般に言えることを題材に、コメディ作品を展開しています。
原稿では、コニュニケーションそのものの本質は何かを考えるという形で書きました。コミュニケーションと普段からみんなが言っていますが、実際それはなんなのか、きちんと説明できないですよね。実は深く考えると人間のコミュニケーションが成立するというのは、実に奥深くて、意外とすごいことなんじゃないかと思ったわけです。
古見さんがコミュ症というけれど、よくよく考えてみるとコミュニケーションはだれにとっても難しいことなんじゃないかと思うわけです。そんなことを、大澤真幸さんの議論を参照に書いてみました。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
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[「コミュニケーション」とは何か?人間の本質・フレーム問題に迫る – 「好き」をブチ抜く (buchinuku.work)](https://www.buchinuku.work/entry/2020/5/6)
コミュニケーション成立の鍵を握るのは受け手
只野くんの受け手としての能力値がコミュニケーションを成立させた
誤解でもコミュニケーションは成立しうる
数々の誤解はあるが、それでも友達は増えていく古見さん
何がコミュニケーションに含まれるのか
古見さんの外見情報が招く不幸なズレ。。
なじみとの比較。。。彼女はなぜコミュ強か
Thesis
そもそもコミュニケーションとは難しいもの。できない方が当然なほどに
Point3つ
黒板に書くというアクションで心を開かせた只野くん
喋れないということ。。。発話はコミュニケーションの条件ではない
他の作品も合わせて紹介。志乃ちゃんは自分の名前が言えない、声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている
コミュニケーション成立の鍵を握るのは受け手。。。これが一番重要
コミュニケーションを成立させるのは受け手である。内容を発するもの、つまりコミュニケーターではない。彼は発するだけである。聞く者がいなければ、コミュニケーションは成立しない。
(『ドラッカー名言集 仕事の哲学』より)[1]
「コミュニケーションの(不)可能性の条件 沈黙の双子をめぐって」、『現代思想』2017年3月号
Intro
コミュニケーションとは、そもそも難しい。
むしろ、深く考えると、成立しているのが奇蹟のような気がしてくる
コミュニケーションをテーマにした、作品。
この作品を読むと、コミュニケーションの不思議と難しさを実感できる、大事なポイント
Body1コミュニケーション成立の条件
2つの意図。。文の意味と発話の意味
言語的なコミュニケーションが支配する社会に生きている。
Body2しゃべれないということ
緘黙症
失声症
吃音症
だがコミュニケーションの成立条件は、会話ではない。P81(コミュニケーション大澤真幸)
Body3受け手こそがコミュニケーション成立に重要
只野くんの受け止める能力。。察する能力
彼は、黒板に自分も書くという受け止めをした。同じ行為を通じて、気持ちを寄せた。
古見さんは意図していないが、なじみは受け手として勝手に何かを受け取った
なじみが古見さんを受け入れた時、
拗ねてる。。。かわいいと受け止める。。これも意図どおりではないが、ある種の誤解とともにコミュニケーションが成立してる
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メモ終わり。
文の意味と発話の意味、この2つの意味が生じるというのがコミュニケーションを難しくするものなんだなと思いました。きちんと考えてみると、コミュニケーションというのはとても難しいということが伝わるといいなと思って書きましたが、どうでしょうか。