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『リメンバー・ミー』について書きました

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 金曜ロードショーで放送される『リメンバー・ミー』のレビューを、クランクイン!に書きました。

 『リメンバー・ミー』は、なぜ泣ける? “夢と家族”の両方を諦めない物語がポイントに /2022年3月4日 – アニメ – コラム – クランクイン!

 泣ける理由について、というお題で依頼をされたので、なかなか難しいですよね、泣ける理由を書くというのは。

 作劇のポイントがどこにあるのかを分析する手付きで構成しました。ファミリー・メロドラマの構造分析的なやり方で分析しています。

 文中にはメロドラマという単語は使わず、なるべく一般的な語彙の範囲で書くことを心がけました。テレビ放送に合わせて書いたものなので、広く読んでもらおうということで。

 
 抑圧的な家族から逃げたい少年と家族に戻りたい男が対比されて、協力しなう、しかし死者と生者に分断された世界は乗り越えられないが、歌という要素で奇跡につなげる、そして忘れないことの大切さを伝えるという構造で、これはよくできていますね。

一度は家族から出ていくが、最終的には家族の絆が強化される。古典的なファミリー・メロドラマの形式に則っているのが印象的です。

 
 
 以下、原稿作成時のメモと構成案です。
 
 
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泣ける理由について書く

ファミリー・メロドラマの構造
抑圧的な家族を見限り、一度は出ていくが、再び家族に戻り、家族の絆を強化する

少年の主人公がまず家族を捨てるように出ていく

道中、出会ったヘクターがまさにかつて家族を捨てた男だった。。
家族を捨てることはどういうことかを知らせる

帰還するために家族の許しが必要
ヘクターの側には二度目の死が迫っている

ココがどうして思い出すことができたか。。。音楽の力。。。それは家族が禁止し、抑圧したものであるという逆転。。。この逆転が家族の絆を強くしている

抑圧されていた感情が一気に噴出し、家族愛も少年の夢も続く。

現実と死者の世界、2つの世界にまたがる家族の物語とわだかまり。

盗まれた楽曲を取り戻す。。。名声を得たかつての相棒の策略によって帰らぬ人となったヘクターが還るためには、歌を取り戻さなくてはならなかった。

 
 
抑えるべきポイント
素直にどこに感動したか、込めた文章にする、これが大事
無くしたものを取り戻す、という点にある
誰もが経験ある、家族の圧力・・・それは最初に乗り越えるべき、社会の壁でもある。
逃げた先の死者の世界にも家族との軋轢があるのが面白い部分
死者の日のような儀式、あるいは祝日がなんのために社会にあるのかをきちんと描いている。
二度目の死というアイディアの秀逸

 
 

Intro
ピクサーの『リメンバー・ミー』の放送がある。

ピクサーの作品としては初めて音楽を全面的にフィーチャーした作品であり、メキシコの死者の日を題材に、家族の絆と少年のひたむきな夢への希望を描くこの作品。公開当時も「泣ける」と評判だった

本作が泣けるのはどうしてなのか。物語の構成を紐解いてみる

 
 

Body1 家族の物語が多い理由
ピクサーやディズニーの多くの作品は、家族の絆を物語の中心に据える。
子どもたちを映画館に連れていくのは親なので、親も安心できる内容が求められるためだろう。

本作もメキシコの大家族を取り上げる。
しかし、家族は時に抑圧でもある。本作は、一人の少年が家族約束事に抑圧される様と、そこから逃げ出し、帰還して絆を再確認する話だ。

それは映画館に出かけて、暗闇で物語という異世界を冒険して、現実に帰還したときに家族っていいなと思ってもらうためでもある。

あらすじ
 
 

Body2 ファミリー・メロドラマの構造
加藤幹郎氏のファミリー・メロドラマの構造論・・・・ほどほどにしておく

劇的で涙を流させるのは、どの部分か具体的に指摘
死者の国でミゲルが直面するのは、ここでも家族の問題。。。全体のために個が犠牲になるという社会のメタファーとしての家族ドラマである
家族を捨てては幸せになれない・・・そのことを象徴するのがヘクターの後悔

幾多の困難を乗り越え、最後に歌うリメンバー・ミーの曲でココが父親を思い出す
二度目の死という悲劇の回避がハッピーエンドを生む。。。。二度目の死を忘却に置いたことが本作のポイント。。。忘れられることのつらさと悲劇、だれにも顧みられないということ
そして、家族の絆がより強くなり、死者と生者の世界を超えて連帯が示される結末

名声は得られることはなかったが、家族の絆だけは取り戻したというヘクターの結末、その同じ失敗をせずに乗り越えられるかもしれないミゲルの未来への希望が本作を特別な物語にする。

対立と喪失、解決と勝利を気持ちよく描いている。
 
 
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 メモ終わり。

 最初の構成では、メロドラマの詳細な説明をするつもりだったんですけど、それはやはりテレビ放送合わせなら、それは抑えた上で、作品の物語の構造に向き合うことにしました。

 最後に描かれるのが「忘却」という二度目の死で、それを回避することでハッピーエンドとなっていきます。忘れること、これはとても寂しく、悲しいことなんだと、説得力を持って描けたのが本作の成功の一番のポイントではないかと思います。

 
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