シネマズPLUSに、是枝監督たちが提唱している日本映画の共助の仕組み「日本版CNC」の解説を書きました。
是枝監督らが設立を求める日本版「CNC」とは?|映画界にもサステナビリティを | CINEMAS+
「日本版CNC」といきなり言われてもよくわからん、という人が大半だと思いますので、初歩的なことから解説しました。
会見にも出席し、その内容をレポートしてるので、こちらから読んでください。
CNCはフランスの組織ですが、どういう組織でなにをやっているのか、それが今の日本の映画産業にどうして必要なのか、具体的にどんな仕組みで助成をしているのか、基本的なことを書いてみました。
日本の実写は非常に厳しい状況に置かれていますが、アニメの方も売れるものと売れないものの差が激しくなっています。こうした格差を是正して、業界全体を活性化させる効果がこの仕組みにあります。アニメ業界にこそこの仕組みが必要と個人的に思っていますが、映像産業全体を巻き込める方向にいってくれるといいなと願っています。
以下、原稿作成時の構成案とメモ。
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Netflixがフランス映画業界に年間最低39億円出資する「歴史的協定」 映画館生き残りに希望 – ねとらぼ (itmedia.co.jp)
行政からの圧力はあり得ない!カンヌ映画祭の毅然とした姿勢|シネマトゥデイ (cinematoday.jp)
フランスのCNC
France_Fundsandaidinfo.pdf (unijapan.org)
『フランスにおける映画振興に対する助成システム等に関する実態調査 報告書』のためのささやかなガイド | Arthouse Press 藝術電影館通信
フランスにおける映画振興に対する助成システム等に関する実態調査 | 独立行政法人 日本芸術文化振興会
韓国のKOFIC
SouthKorea_fundsandaidinfo.pdf (unijapan.org)
映画界改善へ、監督有志が参考にする「CNC」「KOFIC」って?:朝日新聞デジタル
記事の方向性・・・・CNCについての大きな疑問に答える
・CNCはそもそも何
・どんな組織か
・何をやってるのか
・どう運営されているか
・財源
・支援の種類と対象
・支援の決め方
・日本版は何を目指すのか
・フランスのシステム直輸入じゃない
・インディーズが好きなものを作りたいからやるんじゃない
・労働環境や未来の人材育成にも貢献できる
・どうして共助なのか、法整備は必要じゃないのか
・政治的圧力に弱い国だから。。。あいちトリエンナーレや宮本から君への助成金取り消し問題など、
・課題と提言も盛り込む
・アニメやゲーム産業と早急に対話して協力すべき
・現状、実写映画の人間しか関わっていないのは範囲が狭い
・財源が劇場のチケット代なら、今その大半はアニメの売上ということになる
・CNCは実際にゲームやアニメもサポートしている
・CNCが始まったころはテレビもない時代、少しずつ対象を時代ごとに広げてきた、今からやるなら、手広く始めないと正当性を失う
・映連をいかに動かすのか
・映連の他人事感をなんとかする必要がある
・映連は取材に対し「総論としては賛成」とした上で、興行収入については「(劇場や配給会社など)ステークホルダー(利害関係者)が多く、映連が何かを決められるわけではない」とコメントしている。 「映画界に共助の仕組みを」是枝監督ら団体設立 役所広司さんも賛意:朝日新聞デジタル (asahi.com)
Intro
是枝さんたちが会見を開いて、訴えた日本版CNC
日本映画の多様性のために必要という話・・・なぜ、どう機能するのか
日本版CNCを目指す、、、これは何か
Body1 そもそもCNCとは
CNCはそもそも何
どんな組織か
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映画映像法という法律で定められた組織?
1946 年 10 月 25 日の法によって設立された CNC(当初の組織名は Centre national de la cinématographie。 2009 年に Centre national du cinéma et de lʼimage animée と改称)は、フランスにおける国の映画およ びその他の視聴覚メディアに対する中心的な支援機関として、すでに 75 年の歴史を有している組織で ある。その歴史は、映画から始まり、次第に多様化してきた視聴覚メディアとその製作や公開に対す る支援拡大の歴史であるとともに、映像文化と産業を取り巻く時代の要請にいち早く応える形で、常 に新規の支援プログラムを創設し、それを支える基盤制度の改正や充実を図ってきた
何をやってるのか
あらゆる視聴覚メディアの多様性を担保するために、資金でバックアップしたり、映画館の運営協力や中学校への映画上映プログラムを作り、教育にも力を入れている。
創作助成、製作助成、配給助成、公開助成、ビデオ助成、海外プロモーション補正、映画遺産(アーカイブ)助成
支援の種類と対象
CNC による映画支援制度は、映画の製作、配給、公開、ビデオ(オンデマンド含む)、海外へのプロ モーションから遺産としての普及に至るまで、一連のプロセスにおける各フェーズに対して、自動支 援と選択支援〔本章第 5 節に詳説〕という 2 つの体系に基づいた支援プログラムが構築され、それら のプログラムが相互に補完しあいながら、全体として映画を持続可能な産業として、また多様性を尊 重する文化芸術として支援していくという体制が作られている
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自動支援と選択支援
自動支援:
CNC における自動支援制度とは、映画作品の興行収入や放送事業者の広告収入、ビデオやビデオオ ンデマンド・サービスの売上などから徴収される特別税〔本章第 2 節「支援の財源」で詳説している TSA、TST、TSV の三つの税〕を財源とする CNC の支援口座について、映画の生産チェーンを構成 する各フェーズのプレイヤーである製作会社や配給会社、映画館経営者やビデオ販売会社などによる 支援口座への貢献度を数値化し、それに応じて CNC が開設する会社ごとの口座に入金される金額から、 各社が次回作や次の事業などへの投資のために利用できる仕組みである。
選択支援:
選択支援は、監督の処女作や二本目の作品、特別な芸術的・文化的価値を有する作品、市場 での競争が困難であると考えられる作品など、主にプログラムごとに設置された審査委員会によって、 作品やプログラム本位で支援を決定し、映画の多様性の確保や新たな人材の発掘・育成などの目的に 資するような支援を行うものである。典型的な文化支援政策と考えられる。
自動支援は 1 億 9,870 万ユーロ(63.9%)、選択支援は 1 億 1,240 万ユーロ(36.1 %)となっている。自動支援を割合の高いテレビ支援と合算すると、総額 5 億 8,180 万ユーロに対し、 自動支援 4 億 1,910 万ユーロ(72.0%)、選択支援 1 億 6,270 万ユーロ(28.0%)となっている。
どう運営されているか
財源
主要な3つの財源:映画館入場料に対する税、テレビ放送の広告および配給に対する税、ビデオおよびビデオオンデマンド に対する税
その活動を支える財源 は、CNC にのみ割り当てられている特別税である。この租税が課せられるのは、映画館経営者やテレ ビ放送事業者、ビデオグラム販売者など、映画の上映や放映、普及に携わる人たちであり、ここに映 画の出口を運営することで利益を上げる側(下流)がコンテンツを創作する側(上流)を支えるという、 フランスの映画支援の根本的な思想が明確に表われている。しかし、それゆえに、誰が税を負担する のか、どのような活動に課税するのか、その税率はどのくらいかは、映画テレビ産業全体のランドス ケープの変化とともに、常に議論の的となり、刷新されてきた
その他の財源:
映画の製作、配給、公開、上映業務に課される付加価値税から、一定の割合で配分される分担金 (Cotisation des entreprises cinématographiques)
・映画テレビ登録制度 RCA〔本章第 3 節に詳説〕において徴収する登録料
・公開ライセンス〔用語集〕の発行において徴収する料金 ・映画館興行ならびに巡回上映の認可において徴収する料金
・行政処分の内容を定めた Code L. 第 422 条 1 項適用により決定される罰則金
・Code L. 第 111 条 2 項 2 において列挙されている CNC の諸活動に伴う貸与および貸付の返済金
・ Code L. 第 111 条 2 項の最終段落で言及されている、CNC が国、公的機関、会計院監督下にある組 織との協定にもとづき、これらの機関団体に計上されている映画・テレビ・マルチメディアの創作・ 製作・公開に関する予算への貸付金
・国あるいは地方団体からの助成金
フランス国内の視聴者から契約料を受領している海外を拠点とした配信プラットフォーマーに対し、上記の課税措置を援用することに着手。主たるターゲットは、Netfl ix、amazon ビデオ、iTunes、 ディズニーなどであった。また、2016 年には YouTube など無料プラットフォームに対する広告料やス ポンサー料への課税も、財政法改正により決められた。ただし、いずれの場合も、フランス人が視聴 しているだけの時間に対して課税するのは計算上困難であり、放送業者も広告主もフランスにいない ような場合、税を徴収できる可能性は極めて低いのではないかと懸念されるなか、2018 年 1 月以降、 改正法が施行されている(2020 年における最新の改正については後述)
支援の決め方
CNC による支援の対象は、長篇や短篇の映画作品から始まって、テレビ番組、デジタル・クリエイ ション、テレビゲームへと、その範囲を拡張させてきた。本報告書の資料集 2 では、現在 CNC によっ て実施されている支援プログラムと関連事項について、全部で 117 のプログラムをリストアップして いる。
ジャンルを超えたコンテンツの制作や開発、上映に関する技術提供を行っている業界への経済支援プログラムもある)
視聴覚メディアに対する多角的な支援の仕組みを持ちながら、CNC による支援制度の土台 を形成してきたのは、歴史的に見ても、長篇映画作品に対する支援であると考えられる。とりわけ、映 画館入場料から徴収する特別税を財源に、自動支援と選択支援という 2 つの異なる制度を動かしながら、 CNC による支援の基本構造が対象として据えてきたのは、やはり映画館での封切を初の一般公開とす る長篇映画作品である、
フィクション、ドキュメンタリー、もしくはアニメーションのジャンルに属しているフレンチ・イ ニシアティブの長篇作品は、同作品が男女間の均等を遵守している場合、共同製作会社代表による 投資金額は 14.21% 増額される(RGA 第 211 条 86 項 1 号~ 6 号
「映像における多様性基金」:フランス社会の多様な現実がより忠実に反映される 作品製作を支援すること、フランス国民の共和国の価値観の共有、そして都市政策の優先住区からの 新しい才能の発掘・育成も重視している。支援分野としては映画、テレビ番組、マルチメディア、ビデオゲームの各セクタ ーに加えて、アニメーション、ドキュメンタリー、フィクション、ライブパフォーマンス、およびユ ニタリー、パイロット、シリーズ、長篇映画、短篇映画、ノンリニアの全てのジャンルに関係する。
多様な観客による映画へのアクセスの推進
Body2 日本版は何を目指すのか
フランスのシステム直輸入じゃない
インディーズが好きなものを作りたいからやるんじゃない・・・自動支援と選択支援の両方がある
この団体がCNCになりたいわけではない・・・自分たちで戦って勝ち取ることが大事だから始めたこと
労働環境や未来の人材育成にも貢献できる
どうして共助なのか、法整備は必要じゃないのか
政治的圧力に弱い国だから。。。あいちトリエンナーレや宮本から君への助成金取り消し問題など、
船橋さんの体験談。。。それは業界の総意なのかと言われてしまう・・・だから総意となるような組織の設立が先にくるということ
Body3 これからのいばらの道
アニメやゲーム産業と早急に対話して協力すべき
↓
日本向けにカスタマイズした組織にすべきであり、支援対象のバランスも日本独自のバランスが必要。
現状、実写映画の人間しか関わっていないのは範囲が狭い
財源が劇場のチケット代なら、今その大半はアニメの売上ということになる
CNCは実際にゲームやアニメもサポートしている
↓
CNCが始まったころはテレビもない時代、少しずつ対象を時代ごとに広げてきた、今からやるなら、手広く始めないと正当性を失う
視聴覚メディアに対する多角的な支援の仕組みを持ちながら、CNC による支援制度の土台 を形成してきたのは、歴史的に見ても、長篇映画作品に対する支援であると考えられる。とりわけ、映 画館入場料から徴収する特別税を財源に、自動支援と選択支援という 2 つの異なる制度を動かしながら、 CNC による支援の基本構造が対象として据えてきたのは、やはり映画館での封切を初の一般公開とす る長篇映画作品である、と考えてよいと思う
映連をいかに動かすのか
映連の他人事感をなんとかする必要がある。。。。法律が変われば従う、言い換えると率先して変える気がないと言っているようにも見える
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映連が動かないなら、他の産業との連携を先に考えた方がいいのかもしれない、アニメやゲーム、あるいはマンガを作る出版業界とも連携を深めて、メディアミックスの国ならではの支援組織にしていく方が良いかもしれない。
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メモ終わり。
今後もこの活動については追いかけていきたいなと思っています。
日本はとにかく文化支援の予算があまりにも少ない国です。アメリカのような市場絶対主義に国でもない限り、この少なさでやっていくのはそもそも無謀というほかないので、なんとかしてもらいたいなと思いますね。
彼らは国のお金でなく、業界共助の仕組みでなんとかしようという狙いですが、政治的圧力に弱い国だから、そこはなるべく避けたいというのはよくわかります。でも、最終的には、国も動かす必要がある話だろうなとも感じています。まずは、共助から始めようということでしょうね。
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