リアルサウンド映画部に、『THE FIRST SLAM DUNK』について書きました。
『THE FIRST SLAM DUNK』は3DCGアニメのメルクマールに 恐るべき“心理的な時間感覚”|Real Sound|リアルサウンド 映画部
凄まじい傑作でしたね。とんでもない映画が誕生したなと思いました。いろんな点ですごいんですけど、この原稿では、一試合の短い時間に人生が凝縮されているという構成になっていたことについて中心的に取り上げています。
時間を創造するというのはすごいことです。映像って時間をコントロールすることに演出の肝があるわけなんですけど、この点についてこの作品はすごいなと。
その他、3DCG表現の驚くべき達成にも触れています。
いやあ、本当にすごい映画だった。
以下、原稿作成時のメモと構成案
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何について書くか。。。
モーションキャプチャと3DCGを使っているが、それだけではない。
膨大なりタッチをフレーム操作に支えられているから、漫画が動くように感じられる。
もっと映像の原理から考える内容にする。。。実写映像と3DCG、2Dのアニメの違いと重なり
モーションキャプチャで試合のデータを撮って、カメラアングルを探りながらできる。
膨大なレタッチ量
3DCG作品なのに手描きっぽい作品は、たいてい膨大に手でレタッチしている場合が多い。この作品もおそらくそうなのではないか。スパイダーバースもそうだった。
それは、ある意味手描きの味なわけだが。
3DCGでないと、あの動きは作れそうにない。そしてあのカメラワークも困難だった。しかし、それだけで漫画が動くようなインパクトを与えることはできない。
日本のアニメ的なタメ詰めよりもリアルな芝居が必要だった。
誇張表現とそうでない表現のジャッジが的確なんだろう。
スラムダンクはフォトリアルかというとそうではない。リアルだが、漫画の絵として成立している。絶妙な感覚がある。
Point
映像の時間感覚、漫画の時間感覚、現実の時間感覚、アニメの時間感覚、この映画特有の時間感覚、、時間のデザインセンス
手触りのざらつく3DCGと漫画の絵を再現して動かすということ、、、、スパイダーバースを引き合いに?
Intro
スラムダンクは日本アニメにおける、CG映像を一段階引き上げた。
何がそんなにすごいというのか。
Body1 映像の時間感覚、漫画の時間感覚、アニメの時間感覚
映像とは時間の彫刻。。タルコフスキー
実写映像は現実の時間を圧縮する、それはカットを切ることで彫刻していく作業だ。
そして、漫画の時間感覚は映像と異なる。
今回、漫画特有のギャグシーンなどはごっそり削っているし、モノローグなども最小限の使用にとどめている。
漫画の時間の使い方では、映像にアダプトする場合、難しくなることがある。
↓
漫画の感覚を再現するのが理想だったのか。そうではないのではないか。
しかし、井上雄彦はマンガを描いている時も現実的な試合の時間感覚をかなり意識して描いていたようだ。
原作漫画のプレイシーンを実際にモーションキャプチャ(※3)で収録して再現してみました。驚いたのは、井上先生の漫画で描かれているプレイのスピード感と、実際の時間(秒数)が、ぴったり一致することでした。なぜ? 先生は頭の中のイメージを漫画で描かれているはずなのに、こんなにプレイ尺がぴったり計れるもの? これは衝撃的な事実でした。https://www.slamdunk-movie-courtside.jp/interview/07
↓
その意味で、原作の本来の目標は現実の試合の時間感覚の中でマンガの架空のキャラクターに生き生きと試合をさせることだったのではないか。
↓
アニメと実写映像の時間感覚の違いもある。
これは神山健司監督の資料を引っ張ってくるか。
だが、モーションキャプチャを用いて3DCGによってキャラクターを起こした今回は、時間感覚としては実写映像に近いのではないか。
アニメ特有の誇張のタメ詰め表現は
作画の時間、演出の時間、絶望の時間――山下清悟・平川哲生の対談 – ぼくえん
テレビアニメ版はどうだったか。。。やはりそれはアニメ的なタイミングや時間感覚に支配されていた。それはアニメ作品としての別の正解だ。だが、それとは異なる解答を求めたのが今作。
どうしてもスピーディなバスケットの試合の流れにならない。
より現実に近い時間間隔を求めた。
Body2 漫画キャラクターが生きた人間として存在させるために必要だったこと
3DCGは必須だったが、井上雄彦の絵には生の強さがやどっていた。これは3DCGでは弱点にあることがある、というよりセルルックの日本のCGはこれを乗り越えるための戦いの歴史と言える。
日本アニメのCG作品はSF系が多い。そうでない作品に挑むにはそれだけで大きなハードルを越える必要が出てくる。
https://realsound.jp/tech/2019/03/post-326085_2.html
――確かに(ハロハピのライブシーンがある)#4はSFだったかもしれません(笑)。SFではないことで、今までとは違う難しさはあるのでしょうか。例えば日常芝居を作るのは難しいとCGアニメーターの方はよくおっしゃいますが、この作品は日常芝居も重要な要素だと思います。
松浦:僕が『バンドリ!』でやりたいと思ったのは、ちゃんと日常を描くことです。これは感覚的な話ですが、ファンの方は人間ドラマやキャラクターの日常を観たいんですよね。サンジゲンが過去に制作した作品で例をあげると、『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』は完全にSFで、ヒロインのキャラクターが、人間性を獲得していくというお話で、、動きが最初のうちは多少固かったのですが、ストーリーと共にスタッフも成長していきました。そのノウハウを活かして、『バンドリ!』の登場キャラクターの高校生らしさ、人間らしさをちゃんと描いて評価されることは、サンジゲンの将来にとって重要だと思ったんです。
https://spice.eplus.jp/articles/123160
――CGの表現力というのをどこまで高めることができるのか、瀬下監督の理想がどこにあるのかをお聞きしてもいいでしょうか。
瀬下:僕らのチームは何を目指しているかというと、「日常」を描くことです。それはご飯を食べたり、お風呂に入ったり、着替えたり、そういうことをふんだんにやれる表現力が欲しいです。僕はCGを仕事にして、もうすぐ30年になりますけど、「日常」を描く表現力が昔からのテーマです。
吉平:CGはメカが得意だとかSF得意とか言われてますけど、僕らにしてみればドラマの表現力、キャラクターの表現力いいねって言われたいんです。
瀬下:SFの世界は、いわば誰もが見たことない世界なんです。悪くいえば、省略できるし、そういった「非日常」の中のリアリティは比較的作りやすいんです。繰り返しになりますが、とにかく難しいのは「日常」ですね。ごく普通に朝起きて、シャワー浴びて、ご飯食べて、トイレ行ってというような、全ての日常、そういう些細なことがCGは難しいです。そういう難関を全部超えたいですね。
今回、スラムダンクが挑んだのは、そういう嘘のない世界。日常芝居とは異なるが、嘘のないバスケットの試合を作ることが目的だった。これをこのレベルでやったことは驚きだ。
それは劇映画でも圧倒的に難しいことだ。プロのプレイヤーは芝居のプロではない、プロの役者はバスケのプロではないからだ。ものすごくバスケットに詳しいアニメーターを揃えて高密度の作画を時間を大量にやるのか、それとも3DCGしかないだろう。
そして、井上雄彦の絵を再現してみせたのもすごい。これはアメコミを動かしたスパイダーバースのやり方におそらく近いとは思う。スパイダーバースは膨大な手作業でレタッチしているから、あのような映像を生み出せた。
その意味でCGと手描きのハイブリッドと言っていい。
今回のスラムダンクもそれに近いことをしているのではないか。井上雄彦自身がかなりの量のレタッチをしていると言っている。https://www.slamdunk-movie-courtside.jp/interview/17
そのための新ツールの開発
https://www.slamdunk-movie-courtside.jp/interview/15
牧野 新しいツールを作る段階から試みていまして、「アニムストローク」っていうツールなんですけど、監督が描いた絵を目指すっていうところで、どうしても 3Dポリゴンだけでは表現しきれないようなものを表現するために開発したツールで。実際に3Dで動いているモデル自体そのものに描けるようなツールは、今まではやってなかったというか。
松井 原作の絵を見ていただけるとわかると思うんですけど、『SLAM DUNK』っていう作品のキャラクターたちの顔っていうのが、すごく微細な感情を含んでいるような複雑な顔。造形というよりも感情が複雑な顔。それを表現するためには、微細なアイラインの一本分の開きとか、口角のニュアンスであるとか、CGが本来得意とするところをちょっと超えたような…かゆいところに手が届くというような調整がやっぱ必要になってくるんですけど、そういったところに手を届かせるためのツールっていうのを開発して、それを実装して、挑戦している。松井:モーションキャプチャーのデータをベースにするんですが、カットの中でスピード感を追加したり、エラーを直すであるとか、いろんな調整を入れてカットを作成していきます。その中で、アニメ特有の“タメツメ” (※1)みたいなことっていうのを、アニメーターの方で結構入れがちになるんですけど、その辺が入ってくると、大体リテイクがかさんでくるんですよね。流れで見たときに、このドリブルで抜けるのかとか、このタイミング感だとフェイクにはかからないよねとか、そういった内容がアニメーションの判断基準になってきていて、極端に誇張しようとしたりするとNGになることが多くて。
その他、参考
https://www.slamdunk-movie-courtside.jp/interview/02
―― どんな映画に仕上がりそうですか。
大橋外面はアニメですけど、ドキュメンタリーを作ってるなって感じる事があるんですよね。人間を追いかけてるから。
宮原“キャラクター”じゃないですもんね。
大橋“人間”がそこにいるなって。
https://www.slamdunk-movie-courtside.jp/interview/04
小倉監督からは「リアルな背景描き込みというよりは、マンガが動いてる感じ」という。背景が現実的な、コテコテのリアルな感じにするっていうよりも、淡い色使いにしたいと。キャラクターの線とかも綺麗に黒で描くというよりは、鉛筆で描いたふうに。“マンガが動いてる感じ”と聞いて僕はa-haの『Take On Me』のMVを思い出したんですけど(笑)。ああいうイメージなのかなぁって。
古性私もまったく同じで“マンガが動く”っていうところをものすごく意識して。監督はイラスト集とかも出しているんですけど、イラストじゃなくマンガっていう意識を自分としてしっかり持とうと。その違いを探っていくのが面白かったし、大変でもあったんですけど。私の中で言うなら、“マンガが動く”は実線(※8)が主役だなって。そこを意識して作っていきました。
https://www.slamdunk-movie-courtside.jp/interview/07
高度な2D作画がベストであることは変わりありませんでした。しかし、井上先生のキャラを作画で大量に描いて動かすのは現実的じゃないと思ってましたし、何よりバスケのプレイを表現するのにCG技術は魅力的なツールだったので、とにかく試してみたかったんです。我々はモチベを上げるために、井上先生のファン感謝イベント「SLAM DUNK 10 days after」を行った旧神奈川県立三崎高校の体育館をお借りして、プロのストリートバスケットプレイヤーにご協力いただき、原作漫画のプレイシーンを実際にモーションキャプチャ(※3)で収録して再現してみました。驚いたのは、井上先生の漫画で描かれているプレイのスピード感と、実際の時間(秒数)が、ぴったり一致することでした。なぜ? 先生は頭の中のイメージを漫画で描かれているはずなのに、こんなにプレイ尺がぴったり計れるもの? これは衝撃的な事実でした。
https://www.slamdunk-movie-courtside.jp/interview/09
―― バスケシーンにおいては、CGの恩恵をかなり受けるのでしょうか?
中沢もうCGのメリットを最大限に活かした作り方だと思います。作画で、試合中に出てるプレイヤーすべてを厳密に描くっていうのは、できないことはないと思うんですけど、非常に厳しい労力になる。プレーが作画になるシーンともあるんですけど、基本はそこもCGでガイドを作って、作画に置き換えていただく流れです。作画をされてる方が(プレイヤーを)イチから描こうとした場合、アニメーターはバスケに対する知識を非常に求められると思いますし、今回CGで作っているクオリティを作画でやるのは難しいと思います。モーションキャプチャーの収録を1ヶ月やったのですが、専門家の方に試合を分析していただいてるんですよね。各人がこう動いている、とか。
https://www.slamdunk-movie-courtside.jp/interview/11
西谷やっぱり筋肉の表現(ですね)。肩を動かしたときに、どう筋肉が動いていくのか。リアルな筋肉の動きを再現しつつ、(井上)先生特有のクセ感じゃないですけど、肘や肩の鋭角さをどうモデルとして表現できるか。それはリグだけじゃなくて、モデラーチームともいろいろと議論をしながら、落とし込んでいったっていう感じですね。
―― アニメーションやモデリングの描写に対して、リグの方で意識していた部分はありますか?
西谷腕を上げたときの筋肉のシルエットを流れるようにできないかという要望として挙がってきた際、実際のNBAの選手のポージングの写真を見て、「じゃあリグのアプローチとしてはこういった形でできると思う。だから、モデラー(※2)さんの力もちょっと貸してください」という感じで、(他の部署とも)密接にコミュニケーションをとりながらやっていますね。
https://www.slamdunk-movie-courtside.jp/interview/14
松井基本的にはカメラに対してそのキャラクターの顔を映せば、一応カットとしては成立するんですよ。ただ、表現としては感情的に足りなかったりとか、作画的な嘘をつくことがないので、なんとなく整っただけの顔になることが多いんですね。なので、繊細に漫画のコマを作るようなイメージでアニメーターが作業できるように、細かい造形の調整ツールなどを用意して…アニメーターには通常踏み込みづらいような細かいところまでがんばって作業していただいています。
構成12月12日
Intro
アバンの過去のエピソードが明けると、鉛筆が走り出して漫画の絵が描かれ湘北メンバーが描かれる
↓
それがそのまま動き出す
↓
そして、色が付くと走りだす。
オープニングシークエンスがこの映画の姿勢を象徴している。
つまり、この映画はマンガの絵をそのまま動かすぞとここで宣言している。
そして、映画の最中はこれが漫画のキャラクターだったことをいつの間にか忘れて、本物の試合を観戦したかのような、リアルな試合に没頭してしまう。
↓
そして、ラストカットでまた漫画の絵に戻る。そこでようやく、これは「架空の漫画キャラクター」だったことを思い出す。
それぐらい手に汗握るシーンを生み出している作品だ。
このリアリズムはいかにして生まれたのか。
Body1 時間の彫刻の映画、時間の創造のアニメーション
タルコフスキーは、映画は時間の彫刻と言った。
「映画における作家の仕事の本質とは何か? 条件付きではあるが、それを時間の彫刻、と定義することが可能だろう。彫刻家が大理石の塊を前にして内部に自分の未来の作品像を感じつつ、余分なものをすべて取り去るのと同様、映画人は生活の事実という巨大で分解しがたい総体をかかえた「時間の塊」からあらゆる不要物を削り落とし、捨て去り、構成された映画的イメージとして、将来明らかになるものだけを残していく。」 映像のポエジア
この映画には、リアルな試合の時間が流れている。それは確かにリアルな試合時間を切り取り、余分を減らして構成されている。
元々はマンガ作品である。マンガは読者が時間をコントロールする。そのマンガを忠実に映像化する時は、しばしば時間の彫刻という観点からすると、やや余計なものが多いなという時がある。
↓
しかし、本作はそれがない。なぜなのか。そもそも、漫画自体がリアルな試合の時間感覚を有していたから。
しかし、井上雄彦はマンガを描いている時も現実的な試合の時間感覚をかなり意識して描いていたようだ。
原作漫画のプレイシーンを実際にモーションキャプチャ(※3)で収録して再現してみました。驚いたのは、井上先生の漫画で描かれているプレイのスピード感と、実際の時間(秒数)が、ぴったり一致することでした。なぜ? 先生は頭の中のイメージを漫画で描かれているはずなのに、こんなにプレイ尺がぴったり計れるもの? これは衝撃的な事実でした。https://www.slamdunk-movie-courtside.jp/interview/07
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しかし、読者が紙面でそれを体感するのは、難しかった。それを映像にしてようやく体感できることだった。
↓
そのリアルな試合の時間感覚をさらに、映画として彫刻していっている。
回想シーンなどを挿入して、プレイに走馬灯のように人生の積み重ねが宿るように演出できるのは、劇映画であるからできること。本物の試合には不可能だ。
↓
映像的な演出によって、心理的なリアルな体感を与えるのもテクニックとして非常に効いている。三井の3Pスートをスローモーションで見せることは、彼の美しいシュートフォームに「思わず息を呑む」観客席の気持ちを映画館の座席に座る我々に与える。
圧巻は終盤、山王のゾーンプレスを宮城が一人でかいくぐるカットの美しさと迫力。ビッグプレイを目の当たりにした時の一瞬の驚きは、例えば、後日ニュースなどでもスローモーションなどによってリプレイされるような、そんな感覚を与える。そのようにスポーツを観戦することが当たり前になっているという、映像とスポーツの関係についても、考えさせられる。
Body2 CGと手描きのレタッチのハイブリッドが生んだ臨場感
本作は、モーションアクター、それも本格的なプレイヤーによるモーションキャプチャデータを基礎に、生み出した迫真の運動が魅力になっている。
セルルックのアニメは生身の人間のようには動かない。この差異を以下に埋めていくのかは日本のCGアニメの課題であり続けている。
本作は、監督自ら膨大なレタッチをしているとも語られている。
スパイダーバースもCGのキャラクターにフレーム単位で膨大な手描きのレタッチを加えることでコミックがそのまま動いたような感覚を生み出した。
本作のアプローチもそれに近い。
そのためのツールを作ったらしい。
そのための新ツールの開発
https://www.slamdunk-movie-courtside.jp/interview/15
牧野新しいツールを作る段階から試みていまして、「アニムストローク」っていうツールなんですけど、監督が描いた絵を目指すっていうところで、どうしても 3Dポリゴンだけでは表現しきれないようなものを表現するために開発したツールで。実際に3Dで動いているモデル自体そのものに描けるようなツールは、今まではやってなかったというか。
松井原作の絵を見ていただけるとわかると思うんですけど、『SLAM DUNK』っていう作品のキャラクターたちの顔っていうのが、すごく微細な感情を含んでいるような複雑な顔。造形というよりも感情が複雑な顔。それを表現するためには、微細なアイラインの一本分の開きとか、口角のニュアンスであるとか、CGが本来得意とするところをちょっと超えたような…かゆいところに手が届くというような調整がやっぱ必要になってくるんですけど、そういったところに手を届かせるためのツールっていうのを開発して、それを実装して、挑戦している。
映画『SLAM DUNK(タイトル未定)』スタッフが座談会で語る、会社の垣根を超えた2社の協業プロジェクトから生まれるものとは?
西谷:弊社では「AnimStroke」というツールを新規開発しました。これはディズニーの『紙ひこうき』(2012年)のように、CGで動いているキャラクターに作画で線や塗りを描き足すためのツールです。
牧野:これはCGソフトというよりもデジタル作画に近いかたちのソフトで、自分も触らせていただき、レビューとフィードバックをさせていただきました。
↓
手描き感を感じるのは、膨大に手でレタッチしているからだと思われる。
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ドリームワークスの「バッド・ガイズ」なども手描き感覚を入れてる
長靴をはいた猫も2Dっぽさがある
How 'Puss in Boots: The Last Wish' Filmmakers Put the Cavalier Cat Back in Action | Animation Magazine
How ‘Puss in Boots: The Last Wish’ Filmmakers Put the Cavalier Cat Back in Action
Puss in Boots: The Last Wish Review: A Purr-fect Comeback
ある種のトレンドにアメリカでもなりつつある。
CGか手描きかを超えて、両方のブレンドできるツールも感性も増えている。本作の演出に両方を経験した人材が豊富だったのも強い
3DCGを用いたアニメーション作品として、メルクマールな作品であろう。今後はこれが一つの基準点になるのだろう。
CGクリエイターは生活芝居を究極の目標とする・・・いらないかも
https://spice.eplus.jp/articles/123160
――CGの表現力というのをどこまで高めることができるのか、瀬下監督の理想がどこにあるのかをお聞きしてもいいでしょうか。
瀬下:僕らのチームは何を目指しているかというと、「日常」を描くことです。それはご飯を食べたり、お風呂に入ったり、着替えたり、そういうことをふんだんにやれる表現力が欲しいです。僕はCGを仕事にして、もうすぐ30年になりますけど、「日常」を描く表現力が昔からのテーマです。
吉平:CGはメカが得意だとかSF得意とか言われてますけど、僕らにしてみればドラマの表現力、キャラクターの表現力いいねって言われたいんです。
瀬下:SFの世界は、いわば誰もが見たことない世界なんです。悪くいえば、省略できるし、そういった「非日常」の中のリアリティは比較的作りやすいんです。繰り返しになりますが、とにかく難しいのは「日常」ですね。ごく普通に朝起きて、シャワー浴びて、ご飯食べて、トイレ行ってというような、全ての日常、そういう些細なことがCGは難しいです。そういう難関を全部超えたいですね。
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メモ終わり。
一度構成して、もう一度再構成して書いています。リアルなプレイの時間間隔にあふれているんだけど、一方でその試合の短い時間の中に人生を詰め込む、そして、すごいプレイに目を奪われるみたいに、時がゆっくりになる感覚とか、実際のスポーツ観戦で感じた事ある人もいると思うんですけど、そういう時間の変容の感覚が全編にあふれてて、これが本当にすごいことだと思います。
あとは手描き感あふれるCGのあり方でこの映画はこのスタイルでないとここまでの傑作にはならなかっただろうと強く思わせます。スタイルと題材がベストマッチだと思いますし、アメリカでも色々な例が出てきているように、CG表現を進化させる作品じゃないかと思います。
まあ、お金は相当かかってるんだろうなと思いますけど。どれだけ興行収入いくのは楽しみです。