リアルサウンド映画部での連載を更新。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を取り上げました。
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は“実写映画”なのか 提示された“新しい現実”|Real Sound|リアルサウンド 映画部
本記事でのテーマはフレームレートです。この映画は、一部のシーンでハイフレームレートの1秒48フレームの映像が使用されていて、1秒24と併存しています。フレーム数を変えて演出するというのは、とてもアニメーション的な作法です。
フレーム数以外にもこの映画は、実写映画と呼ぶにはあまりにもテクスチャーが実写ではないというか、写実的ではあるけど、ほとんど全編が3DCGのアニメーションキャラクターによって演じられているのも特徴です。
ハイフレームレートのハリウッド映画はこれまでにもありましたが、とりあえずやってみた感が強いものが多かったです。しかし、『アバター:WoW』はかなり効果的に用いているなと思いました。そういう意味でもエポックメイキングな作品だと思います。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
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If the picture is created in a cinematic style that could be mistaken for live action, the filmmaker(s) must also submit information supporting how and why the picture is substantially a work of animation rather than live action.
アバターは実写なのか、アニメーションなのか。
どっちでもいいといえばいい。
48フレームと24フレーム
(1684) ビデオサロン6月号特集 フレームレート比較
映像に映っているものが眼前にある感じは、48のがある。24のがシャープな動き。。。24は現実よりもシャープな動きしてる
アバター2はなぜ48コマなのか。HFR映画がもたらす視覚効果とリアリティ – AV Watch
3Dとフレームレートの関係について考えた場合、カメラがパンした時のような横方向の運動は、24fpsではストロビングが発生しやすく、被写体の正確な輪郭の認識を妨げる可能性がある。これは、LRの映像を脳内で1つにする“融像”という作業をし辛くさせ、これが疲れや不快感を発生させる原因となる可能性が考えられる。
同じことは、広過ぎるシャッター開角度によるモーション・ブラーにも言える。これに関しては、HFRは確実に効果を発揮するだろう。したがって、ドキュメンタリーやライブなどの3Dコンテンツでは、HFRの導入は必須と思われる。
世界のシミュレーション・ライドは、現在ほとんどが48~120fpsのHFRになっている。画面も、新しいシステムほど高解像度になっており、風や香り、水しぶきなどの4D的ギミックも加えられ、まさしく映像技術の実験場となっている印象だ。
HFRの効果は劇的で、初めてショースキャンを観た時のような、過剰なまでの生々しさを覚えてしまった。これは激しい銃撃戦のような場面では、臨場感としてプラスに働いてくれる。だが、普通のお芝居のシーンでは、どこか隣の部屋を覗き込んでいるような落ち着かなさを感じるのだ。そして、どうでも良いような細部が気になってくる点では、ショースキャンのドラマと同じだった。
彼の考えでは、不要な生っぽさを避けるため、通常の静かなシーンでは24fpsで上映し、動きの早い場面のみHFRを使うというプランだった。これは日本のアニメーションが、基本的に秒8枚で作画し、動きに合わせて12枚や24枚を組み合わせるという考え方に似ている。
アバター2はどう撮影した? 家庭用3D/HFRは「ソニー・パナの仕事」 – AV Watch
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を生み出した映像革命とは?その最新技術に迫る(前編)|CINEMORE(シネモア)
ゼメキス監督は、同じくSPIでパフォーマンス・キャプチャー作品の『ベオウルフ/呪われし勇者』(07)を作っている。この時SPIは、赤外線カメラの数を228台に増やし、さらに目の動きのキャプチャーにも挑戦した。これは、眼球運動を計測するEOG(Electro-oculograph)法を応用し、目周辺の電位変化を測定することで実現させた。だが、顔全面にビッシリと電極を貼られることになってしまい、俳優たちからはあまり評判が良くなかった。
そこでキャメロンは『アバター』のために、もっと実用的なフェイシャル・キャプチャー(顔の表情のキャプチャー)技術を求めた。そこで、Wetaデジタルのバーチャル・プロダクション・スーパーバイザーを担当していたグレン・デリー(*1)は、頭部に小型赤外線カメラを装着する、ヘッドマウンテッドカメラ(HMC)を考案する。
https://www.wetafx.co.nz/research-and-tech/technology/facets/
https://www.wetafx.co.nz/films/case-studies/neytiri/
これならば俳優たちは、顔にペイントやシールでマーキングするだけで済み、キャメロンの要求を実現させた。だがこの時は、カメラがSD解像度で不鮮明だったことと、俳優各自に1台付けられていただけだったため、マーカーを読み取れない箇所ができてしまった。結果として、CGアニメーターたちが手でかなり修正している。
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を生み出した映像革命とは?その最新技術に迫る(後編)|CINEMORE(シネモア)
ジェームズ・キャメロン監督「ナヴィはわれわれの善の部分、つまり一番よいところを表現しています」『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』【インタビュー】 | OVO [オーヴォ]
キャメロン、アン・リーら“ハードウェア監督”の新たな映像表現への挑戦 – 2ページ目 (4ページ中) – otocoto | こだわりの映画エンタメサイト
ピーター・ジャクソン&ジェームズ・キャメロンが目指す映画の“HFR”化 : FROM HOLLYWOOD CAFE – 映画.com
“映画らしさ”とは何か? 一石投じた『ジェミニマン』120/60/24fps上映、全部観た – PHILE WEB
「映画っぽい動き」とは何なのか|Real Sound|リアルサウンド 映画部
ナラティブにキャメロンのメッセージはあるだろうか。。。あんまりないんじゃないか、、いやあるか。
Point
これは実写かアニメ―ションか
HFR:48と24を使い分ける発想がアニメーション的
モーションキャプチャと芝居の未来。。。。前作はかなり手付けでアニメーターが頑張った、今回はどうなのか。技術は進化して精度も増しているのか。
生活感を描く中盤の描写をどう見るか。。。ここがキャメロンの主張なのでは
生活芝居を大事にする作品だった、、、アニメが生活芝居が大事なのと一緒?
Intro
これは実写かアニメーションか。
結論を言うと、面白ければなんでもいいじゃんだが。
技術の進化について話すか。つまり、映像そのものについて書くか、ナラティブについて書くか。
本作は、ナラティブとして、このような超すごい技術を必要とする物語かというと、別にそんなことはない。
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むしろ、誰も見たことのない世界を映像で実現し、そこに親近感やわかりやすさを覚えてもらうために、極めて定型的な物語を当てはめたといっていい。特に海の世界だ。
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したがって、ジェームズ・キャメロンの主張はナラティブより(ナラティブに漏れ出る思想みたいなものは見えると思うけど)も超技術を投入しまくった映像そのものになる。
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未知の世界に身を浸すこと、世界と運動を創造すること自体に異様な執念を燃やしたキャメロン
Body1 モーキャプのおさらい
モーキャプはアニメーションか。。。。前作の年のオスカー基準の変更について
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しかし、実際前作は、かなり手付けアニメーターが芝居を作っている。
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今回はかなり技術の精度は上がったようだ。
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ますます、役者本人の肉体の動きが反映されたと言っていい。
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その意味では、従来の実写撮影に近づいたと言える?
Body2HFR:48と24の使い分けは的確だったか
フレーム数とは、
これを使い分けるのはアニメの考えと同じだ。24があるのは妥協ではない。
24のシーンはどこで、48のシーンはどこか
海のシーンが48なのは、絶対に正解と言える。なぜ?・・・
しかし、より積極的な演出としてフレーム数の変化をつけてもいいのでは。。
アクションはスピード感やシャープさを失ったシーンもあったのでは。
フレーム数の電車の例
(1684) ビデオサロン6月号特集 フレームレート比較 – YouTube
フレームレート効果について、より見極める
Body3 中盤のたっぷりある生活シーンの是非
本作の一番の見せ場はどこか。水の民との生活を描くシーンでは。
ここがすごい時間を使って描かれているのがポイント。
生活感のリアルさは、アニメでも」大事・・・生活芝居は嘘がつけない。全て絵空事で構成されるアニメーションでは、これがしっかりしていないとリアリティを損なう。
アバターの作品世界も同様なのではないか。前作もジェイクがナヴィの生活に馴致していく様子を丹念に描く中盤があった。この森の民の生活に馴染んでいく様子は見どころで、この作品の世界観を最もよく現わしている。
今度は水の民の生活を丹念に描いている。これだけの大金を投じた超大作で生活シーンが見どころであるのは、大胆というか、アクションシーンもあるけど、そこよりこの生活シーンに感動できるかが分かれ目な気がする。
生活芝居の感覚をしっかり見てくる。どのように演出されているか。
Body4 物語より世界観
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世界観が面白がれるかどうかにかかっている。キャラは相対的に弱いので。
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メモ、終わり。
この作品、中盤の戦いのない場面、水の民の生活に主人公一家が馴染んでいくところが一番キャメロンの描きたかった部分じゃないかなと思いました。あの民族たちの生態系がわかってくるというか、あの架空の世界の生活の実態を事細かに見せていく一連のシーンですね。水のシーンのちからの入れようがすごい。
それと48フレームの使い方がやっぱりいいですね。水のシーンでの優雅さ。これは48じゃないと出せなかったと思う。
連載のテーマとして、絶対に取り上げるべき作品でした。
それとやはりWetaのCGクリエイターたちの貢献は大きいですね。キャラクターの巧みな芝居は彼らの技術に負うところも大きいはずです。
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