リアルサウンド映画部に、『映画大好きポンポさん』について書きました。
『映画大好きポンポさん』には人生の教訓が詰まっている “編集”に着眼した新しさ|Real Sound|リアルサウンド 映画部
映画制作を描いた映画は数多くありますが、この作品が従来のそれらと一線を画すのは、編集を中心にドラマを組み立てている点。たいてい、撮影現場が中心に来るんですよね、映画制作を描いた映画は。
編集の現場は絵として地味なので、難しいはずなんです。でも、この映画は自由闊達なビジュアルと想像力を駆使して、編集の現場にはめくるめくドラマがあり、それは人生の教訓めいてもいるのだということを説得力もって描いています。何かを得るためには何かを捨てないといけない。まさに編集がやっていることです。このシーンを輝かせるためには、このシーンを削らないといけない、的な。
平尾監督以下、アニメ制作陣の原作アレンジが素晴らしい作品だと思います。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
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お題:アニメとしての魅力と同時に、映画を扱う映画の系譜としての部分なども拾っていただけるとありがたい次第です。
実写の映画以外に、千年女優、シロバコなどにも言及しておくか。
英誌が選ぶ「映画を題材にした映画ベスト50」 : 映画ニュース – 映画.com
20 Great Movies That Revolutionized Film Editing – Taste of Cinema – Movie Reviews and Classic Movie Lists
Category:映画を題材とした映画作品 – Wikipedia
ドリー・尾崎の映画技術概論 〜第2回:編集〜|洋画専門チャンネル ザ・シネマ
ハリウッドで活動する現役の映像編集者が語った、巨匠リドリー・スコット | TECH+(テックプラス)
平尾隆之と今井剛が語る「映画大好きポンポさん」映像編集の世界(前編) : ニュース – アニメハック
アニメと実写の編集過程、驚きの違いとは?『映画大好きポンポさん』平尾隆之監督&今井剛&松尾亮一郎が鼎談で明かす秘話|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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編集マンが震える動画「 映画大好きポンポさん 」 | ぶいろぐ
『ニュー・シネマ・パラダイス』に『ラ・ラ・ランド』…『映画大好きポンポさん』に込められた名作映画のスピリット – 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
アニメ映画「映画大好きポンポさん」平尾隆之監督インタビュー、「マイノリティがマジョリティに一矢報いる」作品をいかにマジョリティにも伝わるように作ったか? – GIGAZINE
「夢を叶える」為には他の選択肢を捨てる覚悟も必要なんじゃないかと思ったんです。ジーンくんは社会にはじかれる前に、自分なりになじもうと努力はしたんだろうなと。でも自分の中であれはだめ、これもだめと消していって探したら、残ったのが映画だったという選択の歴史があったんだろうなと思ったんです。そして、選んできた今を肯定する映画にしたかった。じゃあそのメッセージを込められるのは実際の映画作りの工程だとどこかというと、「編集だな」と。そこにドラマとクライマックスを集約させようと。
デジタル時代になって編集の役職は重要度が増していると言えるか。
映画製作を描く映画
アメリカの夜
グッドモーニング・バビロン
雨に唄えば
デリーとボタンを執拗に映し続ける映画・・・何かを得るためには、何かを捨てなくてはならない、映画全体を象徴するのがデリートボタン
だから編集にポイントを置いている。編集作業は原作では大きく扱われていない
メイキングでも編集作業が大きくクローズアップされることは多くない。
何かを得るために何かを捨てること。それが人生
編集とは何かを得るために、一つの正解のためにたくさんのものをカットすること
編集作業が人生に見事に対比されている。。。。ここを説得的に最も深くなるためにどんな言葉を選ぶのか。
実際のハリウッドの編集手順を少し説明する
Point
映画作りの映画の系譜で何が特異か。。。まさに編集を中心的に扱うところ
ドラマは編集室でも起こり得る
編集と人生・・・何かを得るために何かを捨てる・・・デリートボタンの強調
Intro
この映画はデリートボタンが頻繁にアップになる
ポンポさんは映画作りを描く映画だ。
映画は、プリプロ、撮影、ポスプロの3段階だということはよく知られている。
プリプロは、脚本から資金調達、ロケ地選びキャスティングなど撮影前の準備全て、撮影は説明不要だろう、そしてポスプロは、編集と音響制作だ。
映画を描く映画の大半は、プリプロと撮影にフォーカスしてきた。DVDなどの特典映像のメイキングでも主には撮影現場が主体となる。
しかし、本作はポスプロの編集を中心に物語を組み立てた。これは画期的なことだ。
何が画期的なのか。
Body1 映画を題材にした映画の系譜
映画作りには多くの人間がかかわり、多くのお金が必要になり、多くの犠牲が必要になるもの。
映画を一本作るには、莫大なエネルギーを必要とする分、ドラマも数多く生まれる。
そんな映画作りの映画で、舞台となるのは撮影現場が多い。
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蒲田行進曲、アメリカの夜・・・撮影現場が舞台
あるいは、業界の内実を描く内幕ものも多い。
雨に唄えば・・・業界内幕もので、撮影よりもトーキー化によって規格変更を余儀なくされることから起きる騒動
ラ・ラ・ランド・・・映画スターを夢見る女性と音楽家になりたい青年の恋物語
そして、煌びやかなスターたちはやはり特別な人生を生きているだけあって、物語の題材となりやすい
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役者の輝きや悲哀、人生を描くもの。。。サンセット大通りやアーティスト、
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オードリーヘップバーンやマリリン・モンローなどが映画化されている。
ミシェル・アザナヴィシウスは内幕ものを3本も作っている、アーティスト、グッバイ・ゴダール、キャメラを止めるな
自らの体験を反映させる映画作家も。
人生は映画作りに例えられるか。
軽蔑
8 1/2
ニッケルオデオン
撮影現場か、撮影に入る前の段階が舞台に設定されることがほとんどだ。
しかし、映画作りはそこで終わらない。むしろ、映画としての形ができてくるのはポスプロにおいてだ。
Body2編集の重要さ
編集こそが映画を映画たらしめる要素
独自の表現、先行芸術にない要素だった
モンタージュの話などをする
芝居の話を作品内容に惹きつけて
2パターンの編集を見せている。同じ素材でも役者の芝居の上手さが異なってくる。
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編集の本から引用してくる。
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編集によって役者の芝居は輝くし、殺すこともできてしまう。オスカー取れたことに対して編集者に感謝するというのはそういうことだ。
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にもかかわらず、映画作りを描く作品では冷遇される傾向にある。
なぜか。
それは、絵的に地味だからだろう。暗い編集室ではドラマが起きない。
重要であるにも関わらず、映画作りの映画では冷遇されてきたセクションと言える。
だが、本当はドラマは起きている。編集者の心の中で。
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カメラにはそれは映しにくい。カメラに映らないものはアニメーションではなら描ける。
映画前半に登場する予告作りでそれがすでに発揮される。映画全体もたくさんの編集テクニックを演出ギミックとして利用しているの。
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本作がアニメで、映画作りを描くことの意義がここにある。
Body3 人生は編集だ
実際の編集作業は撮影と同時に始まる。
クランクアップ後、一週間ぐらいでエディターズカットをあげて、そこから監督との共同作業でディレクターズカットを仕上げていく。
ここら辺には、本作独自の嘘が混じる。
72時間はそんなに多くないのかも。
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編集によって気づきを得て追加撮影をするということも実際にある。
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この気づきと人生の気づきをリンクさせているのが、本作の秀逸な点。
なぜ、編集をフィーチャーしなくてはいけないのか。
ジーンの人間性が一番出るのもぼっちで編集している時だったりする。
「今、僕が地球上で一番幸せなのは間違いない」と思うような人間であるということ
もう1つの大きな理由は
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人生は、何を得るためには何かを捨てなくてはならない。
まさに編集がそういう作業だから。
劇中映画の内容ともさらにリンクさせて、「映画は人生」、さらには「映画作りは人生」を体現するように描く。
無限の選択肢の中から、1つのものに決める。それが正解かどうかなどだれにもわからない。しかし、それを選んだことには、何かがある。編集とは、無限に広がる宇宙からたった一つの運命を選び取る作業だ。その難しさを面白さが本作には、アニメーションならではの方法で描かれる。
ダイナミックにフィルムが飛び出してイメージは飛び交い、ハサミを持った主人公がそれをばっさばっさと切っていく。
ピーターゼンが昔のフィルムをつなぎ直している、映画オリジナルのシーン・
こういう可能性もあったかもしれないと思いにふける。一度選んだものに別の可能性があったかもしれない。それが映画編集の現場
人生も同じ。こういう可能性もあったかもしれないと人は考える。しかし、それを選ばないで自分の人生を選択したのも自分。
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だから、人生を前に進めるために(映画を完成させるために)デリートボタンを押すことをシンボライズしている。
原作には編集のシーンはほとんどない。
編集ルームに入ったジーンが、「その映画を一番見てもらいたい誰かのために作ればいいんだ」という言葉を思い出す。
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映画では、自分がその映画の中にいるのか、ということを考えてシーンの追加が必要だと結論に達する
編集段階で追加撮影が必要だと、編集者が考える時もある。
ポンポさんのためから、自分のために転じている。
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ジーンは自分の人生がどうだったのかを撮影現場ではなく、編集現場で見出す。ここにも実存のドラマの鉱脈があると本作は発見している点で画期的だ。
映画の作り手は、みんな編集がいかに重要なプロセスかを知っている。本作はそれを一般レベルにわかりやすい形で提示した上で、さらに人生を重ねてドラマがあることを示し、なおかつエンタメとして高い完成度を示している。
人生は編集だ
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メモ終わり。
人生は編集のようだ。とすごく説得力もって描いていますよね。編集作業は地味ですけど、これだけダイナミックな表現が可能になったのはこれがアニメだから、という点もあるのかなと思います。実写だとこういう表現はちょっとやりづらい。やれなくはないですが。
この作品の編集もとてもテンポ感があっていいんですよね。いろんなメタ視点で楽しめる作品です。