リアルサウンド映画部に、日本アニメの世界市場における位置づけについて書きました。
日本アニメが映画の世界市場を切り崩す? 『すずめの戸締まり』の評価で考える“現在地”|Real Sound|リアルサウンド 映画部
『すずめの戸締まり』がベルリン国際映画祭のコンペに選ばれたのは快挙と言えます。宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』の国際的評価もここから始まったといっていいでしょう。同じ道を辿れるのか注目です。
そして、昨年は日本アニメが世界市場で大きな興行収入を挙げたことが話題となりました。今までにはなかったような動きが出てきています。
世界の映画史上はハリウッドと、巨大市場を国内に持つ中国の2大国に支配された状況です。そこに曲がりなりにも日本のアニメは割って入っています。そういう勢力はなかなかないのです。他には韓国とインドくらいなもので。
これからこの世界市場をどれくらい開拓していけるのか、注目です。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
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トピック
すずめの戸締まり、ベルリン国際映画祭
スラムダンク、アジアでヒット中
昨年のアニメ映画の海外興行収入
ワンピース
ドラゴンボール
呪術廻戦0
転スラ北米で8位・・・元々アジア圏では強かったが欧米圏でも存在感
犬王。。。。ベネチアオリゾンティ、今年のロッテルダム国際映画祭で特集が組まれている(Focus: Yuasa Masaaki)
The Worldwide Anime Industry is Expected to Reach $56 Billion by 2030 – ResearchAndMarkets.com | Business Wire
Anime Market Size, Share & Growth Report, 2022-2030
Global Anime Market to Generate Revenue of $47.14 Billion
宮崎駿監督「風立ちぬ」、第70回ベネチア映画祭コンペ部門に選出! : 映画ニュース – 映画.com
『崖の上のポニョ』の受賞ならず。日本映画3作はベネチア・コンペ無冠 | ORICON NEWS
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「ハウルの動く城」も!ベネチア映画祭のコンペ出品作が決定 : 映画ニュース – 映画.com
Point
日本アニメの市場規模は今どれほどか。
2022 Worldwide Box Office – Box Office Mojo https://www.boxofficemojo.com/year/world/2022/
ワンピース25位、、、、アメリカの他にランクしているのは、インド、中国、日本アニメくらいか
映画祭などでの評価は。
すずめの戸締まりのベルリンはいかに快挙か
なぜ入れたか。。。ワイルドバンチの功績が強いのでは
曲がりなりにも3大国際映画祭のコンペに作品をおくりこめているのは日本アニメのみ
千と千尋、イノセンス、パプリカ
映画祭とはどういう存在か。。。ただ優れた作品が選ばれるというほど単純ではない
Intro
すずめの戸締まりの話題から入るか。
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21年ぶりの快挙。。。日本アニメとして21年振りだが、そもそもアニメーション作品としても21年振り。
昨年は、世界の興行収入ランクでも、日本アニメの話題が多かった。
ワンピースやドラゴンボールが北米市場で、大きな成績を残し、
今スラムダンクがアジアで大ヒット中だ。特に韓国では200万人の動員を突破。公開5週目にしてランキング一位をとった。
日本アニメは今、世界でどんな評価なのか。市場規模と芸術的評価の両面から考える
Body1 そもそも映画祭とはどういうものか
映画祭とは何か
基本的に国際映画祭は実写映画の祭典だ。そこにアニメーションが選ばれるケースはまれだ。
アニメーションにはアニメーション映画祭が存在する。アヌシーは元々カンヌから独立したもの。
それゆえにアニメーション自体が映像の芸術性を問う国際映画祭の中で傍流に置かれている現状がある。
2000年代にそれを覆すものが登場した。
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宮崎駿、押井守、今敏の3巨匠だ。世界の頂点である3大国際映画祭のコンペティションにそれぞれアニメ作品を送り込んだのだ。
日本以外の国の作品でも、この3つのコンペに入選することはほとんどない。戦場でワルツを、香港のチェリー・レイン7番地など、わずかな数しかない。(コンペ外では、フランスの亡くした体や、韓国の豚の王などいくつか例がある)
おそらく、3大国際映画祭すべてのコンペにアニメーション作品を送り込んだことのあるのは日本だけだろう。
国外では湯浅監督はアニメーションの世界では巨匠と言える存在だ。アヌシーでも最高賞を獲得実績があり、マスタークラスも開催されている。
しかし、実写の国際映画祭で大きな実績を残していはいない。。。彼の作品はアニメーション文脈で非常に高度だが、実写映画の文脈では難解だ。
逆に新海誠監督は、アニメーション映画祭の文脈では、これまで高い評価は受けていない。
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日本アニメはここで実写的な演出をとことん追求してきたことで有利な面がある。宮崎・高畑の追求してきた実写映画的な絵作りと演出のロジックが国際映画祭では有意に働いた可能性もあると思う。
細田守監督が近年、カンヌに参加を続けているが、映画祭での実績で国際市場を拡大しようという戦略だろう。
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すずめの戸締まりの21年ぶりの要因は?
作品の力は前提として、世界配給にワイルドバンチがついたこと。
新海誠監督は、賞への野心はなさそうだが。
ベルリンは宮崎駿の千と千尋が金熊賞を受賞し、その後この作品は世界中で知られることになった。
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ワイルドバンチはそれと同じサクセスストーリーを思い描いているのだろう。
Body2世界でのアニメの市場規模
ワイルドバンチがアニメと契約するのはかなり異例のこと。それだけ無視できない存在になってきているとのことなんだろう。
近年、配信環境が整い、日本アニメも世界で多く視聴されていると言われる。さらに、世界の映画館の興行成績でも日本アニメが上位に顔を出すことも増えてきている。
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日本アニメ市場を数値で根拠だすか。
日本アニメの世界市場過去最高の2兆7400億円 アニメ産業レポートが報告
アニメ産業市場、21年は成長市場に戻る!コロナ禍の影響は1年だけで最高値更新「アニメ産業レポート2022」11月11日刊行 | アニメ!アニメ!
「アニメ産業レポート2022」刊行のお知らせ | 日本動画協会
世界興行収入ランク、年間50位に入るのは日本アニメとインド映画くらい。アメリカと中国を除くと
2022 Worldwide Box Office – Box Office Mojo
2022年
ロシア:Chebi: My Fluffy Friend 49位
日本:ドラゴンボール超 スーパーヒーロー 45位
インド:K.G.F: Chapter 2 43位
日本:The First Slam Dunk 40位
韓国:犯罪都市 THE ROUNDUP 39位
日本:すずめの戸締まり 38位
インド:RRR 30位
日本:ONE PIECE FILM RED 25位
2021年
日本:シン・エヴァンゲリオン劇場版 45位
日本:名探偵コナン 緋色の弾丸 44位
日本:劇場版 呪術廻戦0 26位
2020年
日本:鬼滅の刃無限列車編 2位
2019年
韓国:パラサイト 31位
日本:天気の子 45位
2018年
ハリウッドを擁するアメリカ(イギリス映画もたまに混じる)、自国の映画市場が巨大な中国を除くと、ベスト50に顔を出すのは日本アニメと韓国映画とインド映画だけ。
つまり、世界の映画市場はアメリカと中国が支配的。その2大大国が支配する市場で、曲がりなりにも勝負を挑めているのはわずか3つの勢力のみで、日本アニメはその一角ではあるのだ。
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メモ終わり。
面白い時代になってきたなと思います。ハリウッドの一強支配は終わり、これからは色々な国から面白い作品が生まれるような時代になるでしょう。その中に日本のアニメは重要な勢力の一翼を担う存在になって欲しいなと思いますし、それは充分に可能だと思います。
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