アニメ!アニメ!に、IMART 2022の「マンガをデータサイエンスで売り伸ばす『出版社/電子書店/ベンダー』の挑戦」のトークセッションのレポートを書きました。
データサイエンスでマンガの売上はどう変わる? 出版社、電子書店、ベンダーが議論【IMART 2022レポート】 | アニメ!アニメ!
『 「デジタル化すればそれでOK」という時代は過ぎ、様々な戦略が必要になってきている』とのことで、各電子出版ベンダーや編集部がどんな戦略を持っていて、その戦略のためにデータをどう活かしているかを議論するセッションとなりました。
電子がマンガの売上を牽引していて、紙の売上を抜き、成長させています。マンガ業界の動向は、アニメをはじめとする映像産業にも大きな影響を与えますから、貴重な話だったと思います。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
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・マンガをデータサイエンスで売り伸ばす「出版社/電子書店/ベンダー」の挑戦
花田 健 (はなだ・たけし / Takeshi Hanada )
萬田 大作 (まんだだいさく / Daisaku Manda )
南川 祐一郎 (みなみかわ・ゆういちろう / Yuichiro Minamikawa )
菊池 健 (きくち・たけし / Takshi Kikuchi )
司会は菊池さん
漫画とデータサイエンス
マンガ業界は活況。電子が伸びて6000億円超え
書店アプリが好調、出版社が出す漫画アプリも、ウェブ雑誌も増えている。
アプリは獲得ルートが限られている。近年はユーザー獲得の広告費が上がっている。
紙の時代、出版社を出してアンケートをとる一次情報
電子はアプリをやってる書店が一次情報を持っているようになって出版社は一次情報を持てない
出版社、電子書店、ベンダーが現状を語る。
電子書店の南川さん
元とらのあなにいた。ヴィレバンなどを経てドワンゴ、DMMブックスへ。
DMMブックス、ウェブを主体にしたサービス。幅広く電子書籍を扱う。
ユーザーは7割男性。
人気ジャンルは少年、青年コミック
写真集は業界トップクラス
8年で95倍に増加。新規購入UU前年比で330%、8年で17倍
去年の施策で知名度アップ
どう戦うべきか。
ビジョン、DMM会員によるプラットフォーム、国内No1の電子書籍事業を作るのが目標、コンテンツ、プロダクト、マーケティング強化の3本柱
プロダクト強化。。主にSEO対策でシステム改修など、3月から縦読みを開始。
マーケティング強化・・認知度向上、女性ユーザー獲得、来訪頻度を上げる
認知度・・・去年テレビCMを単体で打つ。
女性ユーザー・・ポテンシャルはARPPUは男性の2倍、ARPUは他のサイトより高い。
訪問頻度・・・これまでは本を売るだったとこから、暇つぶしの提供へ。毎日0円のコミックをこれから提供する予定
コアミックス出版花田さん
コミックバンチ編集部を経て、デジタル領域に。
漫画家が取締役にいる珍しい会社、原哲夫や北条司
漫画事業をいろいろやってる、熊本事業を開始、漫画学科を設立
マンガほっと、ゼノン編集部を中心によって
雑誌が売れず一次情報がなくなったので、マンガほっとで一次情報を持つ。
堀江社長のジャンプ時代のアンケートから思想は変わっていない。
書籍販売データの取得と分析
販売データ取得先、紙取次5社、電子書店267書店、蓄積して全量保存、
あまりこういうことをしている出版社がないようで、作ったからには知りたいからやってる。
紙と電子の売上データ、紙と電子ごとに見れるように。地域別の実売、在庫、返本推移を可視化。書店ごとの実績、紙と電子書店両方で見る。書店ごとの強みがわかる。
既存ファン、新規ファン獲得の推移(新刊発売日)
できる限りカンの要素を減らしたいのでやってる。カンはだいたいあってるが。
コアミックスから見た書店ランキング推移。。DMMブックスのポイント施策で大幅に順位が上がる。セールで上がってからそのまま好調に推移。
データは全社員が見れる。編集者や経理が喜んだ。作家と会話ができる、経理はすぐチェックできる。
データを使っての成功事例・・過去巻との初動比較が可能。重版計画の精度が向上、作品と書店の相性が見えるようになった。返本率の減少
作家の利益の最大化を目指すのが基本的な考え。社内で
ベンダーコミチの萬田さん
会社は2018年に設立、
ナビタイムジャパンの創業、ITコンサルからリクルート、コルクを経てコミチを立ち上げ
データ分析が趣味、
デジタルマーケが得意分野、ヤンマガWEB、コアミックス、ベストカーを1億PVに成長させた。
データサイエンティストのいる出版社は珍しい・・・コアミックス。
マンガSaaS・・・WEBマンガ雑誌の制作運用支援ツール、大型予算は必要なく髪雑誌を電子雑誌にできる。
オウンドメディアの価値、見込客として集積、一次情報を取れる、ブランディング
マンガの分析・・・販売状況可視化、販路ごとに販売活動を仕掛ける土壌つくり。次巻販売予測。作品の将来性の法則分析イメージ、
現状のデータ状況、電子書店、電子取次のかしか、ツイート数のモニタリング、グーグル検索ボリュームのモニタリング。
DMMブックスの分析、7割引キャンペーンの分析、キャンペーン時はブックライブを超える話題に2021年4月、シーモアは常にトレンド的に大きい。
原作ボリュームの分析結果、2021年3月から月間50万検索
ツイートのアクティビティ、2021年4月上旬で伸びている、、CMの影響
サイト流入推移、2021年4月のキャンペーンでセッションが急増、いまでも500万セッションぐらいある
終末のワルキューレのデータ分析
グーグルトレンド2019年9月に山、2020年にアメトーク、配信開始でピーク、
ツイッター分析、2021年7月4日にツイートされている、7月に神回か。
熱烈なファンがいる、有名人のツイートも、バカリズムやえなこ、広瀬アリスなど
グーグル検索のボリュームの分析、2019年7月を堺にボリュームがあがっている。
ツイッターは変化が激しいが、グーグル検索は変わらない。有名人のツイートでキャズムを超えて、映像化でマスになっていく。
マンガDB構想、マンガ領域でグローバル最強DBを作る。
コミチメトリクス構想、
ディスカッション
データサイエンスで組織はどう変わる、
効果のあった取り組みと課題
今度取り組んでいきたい取り組み
南川;丸裸にされた。70%オフはトリガーになった。それまでも50%オフはずっとやっていた。CM似合わせて70%にしてみた。最初にうちは全然反応なかったが、ツイッターでDMMのカートで100冊すすめるならこれ、というのが回り始めた。
施策開始ではなく、ツイッターの反応で増えた。
萬田;20%増やした施策の決定は誰が
南川;当時の部長や南川が決めていったもの。爆発したころの日々は地獄だった。予算が減っていくので、止めざるを得ないという状況になった。
花田;うちのオタク女子そうが初めてDMMで買っていた
菊池;周辺の企業の事業にも大きな影響があった。
南川;継続文で見ると回収できる、来月の支払いさえ乗り越えればなんとかなる。あれを耐えたうちの会社はすごいと思った。
データサイエンスで組織はどう変わるか?
菊池、コアミックスは10年前と明らかに違ってきた。
花田;カンの領域が減っていった。読者の反応は昔から欲しかった。雑誌が売れずアンケートも減ったので、バイアスをどう除くか。書店員さんたちにみてもらって部数とか方向性をチュ=ニングしたりは10年はやっていた。今はデータを取れるのでみてみようかということ。半分くらいはやっぱりそうだよね、という根拠が数字で示せるようになった。ツイートの出稿もABテストや文言ひとつで反応が全く違う。当たる確率はあがっているのではないか。
萬田;数字を可視化することで異常なことを言うことを言えなくなったりする。
花田;偉い人にも数字は関係ないので、それは大きいかもしれない。
萬田;SNSの使い方が上手いのは若い人。リサーチを若い人にやらせて、意思決定するのが上のしごと。ツイッターの広告なども若い人のがうまいので、データを吸い上げて意思決定のためにデータサイエンスが必要。
菊池;組織の中の人がデータ主義になっていったという変化。数字ベースで編集会議
効果のあった取り組み
書店のKPIは。。。南川;売上はもちろん、新規ユーザー、ARPUを獲得、広告の効果などに分解指定って細かく見ている。この数字を見るのはこのチームという形に細分化してる。大きめのKPIを持つのがグループであって、チームで細かく見ていく。
菊池;全体を見る立場の南川さんはこれだけ見るということではなく、色々見ないといけない。
南川;自分で持ってる数字の大区分だったりするので、大きく上振れているのか割っているのか、何が駄目なのか、一個下の階層をみたり、さらに分解して下を見たり。
年に3回スーパーセールが軸になっていて、お得をブランディングとして成長してきたサービス。あとは常にポイント還元は30%くらいなら当たり前に走っている。特別なことにない。
BLなどをピンポイントで還元率を上げてターゲットを絞ってやったり、ジャンル別のセール。広告も各ジャンルそれぞれ出して、どれがいいのかだったり、どの作品傾向がいいのか。
萬田;ユーザーが300%増えたというのがあったが、最初はいいけどユーザーが根付かないリテンションが続かないことがあるが、根付かせるためにやった施策はあるか。
南川;セカンドバイがないユーザーが一番の課題。そこを引っ張らないと損失を回収できない。新規ユーザーを見て、セカンドバイ出てないと、クーポンやったりメルマガだしたり、リテンションはかなりやる。
萬田;併用するユーザーはいるが、DMMブックスを選んでもらうための施策はあるか
南川;コミック集中型のとこがあるがオールジャンル扱っているのは大きいと思うが、その時に実用書、設定資料集、素材集が異様に売れた。そういう方は素材を買う人はマンガ好きなので、ポイント還元も始まっていたので、またお得という感じで。
課題は、
南川;ストアなので、ユーザーさんがほしいもの、スキマ時間を埋めたいユーザーのニーズに答えないといけない。毎日0円サービスなど。アプリ周りでのアプローチが今後重要。今アプリはリーダーで読むためのもの。女性ユーザーへの見せ方はUI的なものも含めてマッチしてないので、女性ユーザーにつかいやすいものを実現しないといけない。
花田;課題はずっとある。書店さんは売れてる作品をガンガン売ってくれるが、1巻の商品はあまり売ってくれないし、書店さんもリスクが高い。我々としては1巻を売るためにプロモーションするのは出版社しかない。そうじゃないとこでも1巻を伸ばすためにツイッターの盛り上がりとかABテスト的なこととかを課題。かつては雑誌が担っていたけど、それに変わるものはなにか、結局そこ
萬田;データをどう集めてヒットの再現性が一番大事だと思っているので、販売データとツイッターの関係上を見ていって、新人さんの作品をどうやって売っていくかにつながっていくかと思う。成功データと失敗データがあることでそういう統計ができてくる、グローバルに展開していくことで支援していきたい。
花田;著者にこだわりたい。会社に生かされているけど、作家にお金をお戻しする目線にしないと存在価値。
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メモ終わり。
クリエイティブな世界もデータの根拠に基づかなければ売上を作ることは難しいということですね。時代が変われば戦略も変わるということがよくわかる内容のセッションですごく勉強になりました。