リアルサウンド映画部に、東中野にあるミニシアター、ポレポレ東中野の編成担当、石川翔平さんにインタビューしてきました。
ポレポレ東中野編成担当に聞くドキュメンタリー映画の動向 「世の中を豊かにしている」|Real Sound|リアルサウンド 映画部
この映画館には個人的にも高校生の頃から行っていて、いろいろな作品を見た思い出があります。『天安門』とか衝撃だったな。ドキュメンタリー映画の上映といえばポレポレという感じで、映画ファンの間でも認知されている劇場です。
そんなポレポレの上映作品を編成している石川さんに、昨今のドキュメンタリー映画事情についてお伺いしました。世界的にもドキュメンタリー映画祭は増えているし、作品数も増加して興行の中でもプレゼンスが上がっている状況にあります。Netflixでも人気のドキュメンタリー作品はありますし、もっと広い視野でとらえると、Youtubeに投稿される動画も大半はドキュメンタリーといえるかもしれません。
そんなドキュメンタリーの現代的状況と、ドキュメンタリーの持つ魅力など色んな話を聞いてきました。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
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参考
東中野のカフェ「ポレポレ坐」で実験映画の上映会 ベルリン映画祭上映作品中心に – 中野経済新聞
映画館運営は時代のイメージと重ねて~「ポレポレ東中野」代表・大槻貴宏さん~|MAGAZINE|Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE
映画館めぐりVol.3 『ポレポレ東中野』大槻支配人インタビュー | 映画ログプラス
ポレポレ東中野・大槻貴宏ロングインタビュー「映画館の新しい形、新しい役割」(1/4) – ぴあWEB
面白いドキュメンタリー映画をつくり、届けるための覚悟とは?【後編】 | PINTSCOPE(ピントスコープ)
南沙良、ミニシアターを巡るVol.4 ポレポレ東中野(後編)|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
この映画館に行きたい! 第4回ポレポレ東中野の巻
Point4つ
ポレポレの理念、ドキュメンタリーを大事にする理由
ドキュメンタリーの醍醐味
市民権を得ているドキュメンタリー、それ故の課題
近年の傾向,コロナ開けてどうなってるか。
Intro
ドキュメンタリー映画好きにとって、ポレポレは特別な場所。
ドキュメンタリー映画を編成の中心に置いているのは、全国でも珍しい
ドキュメンタリー映画の魅力を知り尽くしているであろう、編成の石川さんのドキュメンタリー映画の魅力と近年の傾向、市場の動向などについて聞いた。
Body1ポレポレとドキュメンタリー
– 2007年からポレポレで編成するようになった。
– 佐藤真監督の作品『阿賀の記憶』の公開記念オールナイトでの体験がきっかけ。
– ポレポレはドキュメンタリーを柱にしている。
– ドキュメンタリーの面白さは自分では見られないものが見れること、没入感があることにある。
– 『隣る人』はドキュメンタリーでありながらミステリー的な要素があり、没入感がある。
– 作品の選定基準は作った人や配給・宣伝の人によって面白いと思われるかどうか、またお客さんが楽しめるかどうか。
– コロナ後の客層の変化としては現役世代の来場者が増え、団体の人が減った。
– ドキュメンタリーの魅力は、自分が知らない世界を見られることと、予想もしなかった世界に連れて行ってくれること。
Body2 市民権を得ているドキュメンタリー、それ故の課題
– ドキュメンタリーの興行的価値はピンキリであり、売れるかどうかだけで一言で判断していいものではない。
– デジタル化により作品数は増えていて、市場も拡大していると感じている。ネットフリックスでも普通にたくさん配信されていて人気を博している。
– ドキュメンタリーの市民権が増しており、映画やテレビでも当たり前に取り上げられるようになった。
作り手の熱が伝わらないといけない、そうしないとお客さんが動かない時代になった。中村哲さんの『荒野に希望の灯をともす』のような作品
Body3近年の傾向,コロナ開けてどうなってるか。
– 上映タイミングはドキュメンタリーにおいて非常に重要であり、時事的なテーマを反映することが重視される。
– 例えば、『なぜ君は総理大臣になれないのか』は、公開タイミングがヒットにつながったと考えられる。
– 作品の公開タイミングが異なれば、結果も異なる可能性がある。
– タイムリーなテーマを扱った作品は社会に影響を与える可能性があるが、一本の映画だけで社会を変えることは難しい。
– ドキュメンタリーは社会の多様性を表現し、オルタナティブな視点を提供する貴重な機会である。
– タイムリーな公開を意識した作品もあるが、持ちつ持たれつの関係で一つの映画だけが社会を変えるわけではない。
– 近年のドキュメンタリー作品の傾向は多様であり、特定のトレンドが見えにくい。
– ウクライナ紛争などの国際的な出来事は国内のドキュメンタリー作品に直接的な影響を与えることは少ないが、間接的な影響はあるかもしれない。海の向こうでは今、いろいろな作品が制作されているのでは。
– コロナ禍を題材にした作品も増えており、自然にそのテーマが現れる作品もある。
Body4わかりやすさに抗う、実験映画の特集の狙いは
– 実験映画の特集上映を行う狙いは特になく、石川さんが個人的に好きなジャンルであるため。
– 実験映画は市場が狭いが、唯一無二の鑑賞体験を提供するものであり、その魅力はわかりにくいものの魅力を伝えたいという意図がある。
– 映画の魅力は言葉にならない感情が映し出されることであり、実験映画はわかりやすさや説明的な要素から離れた表現が特徴的である。
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メモ終わり。
東中野にはショッピングエリアなどがあるわけじゃないから、ここで映画館をやるには、ここを目的に来てもらう必要があるので、個性的なラインナップが必要というのが印象的でした。買い物ついでに映画を見ようかとはならない環境なんですよね。挑戦的な編成には、そういう事情もあるのだなと。
最終的な構成は、
ドキュメンタリーの魅力と石川さんがポレポレに入った経緯
↓
ポレポレの方針
↓
ドキュメンタリー映画をめぐる市場の動向
↓
ドキュメンタリーの社会的意義
のような形でまとめました。
ドキュメンタリー映画の面白さをストレートに伝えることがまず大事だろうと。
ウェブメディアでドキュメンタリー映画について書ける機会はそんなに多くないんです。なかなか数字とれないって言われてしまうので。どうしても大ヒット作に偏るんですよね。あるいは人気俳優が出てる作品とか。
ミニシアターの苦境が伝えられていますが、ポレポレのような存在は本当に貴重で、日本映画の多彩さを支える存在です。今後も足繁く通いたい劇場のひとつです。
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