Brancに、韓共同製作映画『ナックルガール』のイベントのレポートを書きました。
「日本の精巧さと韓国の推進力が噛み合えばハリウッドとも戦える」。Amazon日韓共同製作映画『ナックルガール』シンポが開催 | Branc(ブラン)-Brand New Creativity-
この会見は東京国際映画祭のイベントの一環として行われました。日本と韓国のクリエイターが組んで、製作資金はアマゾンが出すという国際色豊かな作品です。日本を舞台にした作品ですが、原作は韓国のウェブトゥーンです。主演は三吉彩花さん。非常に切れのあるアクションを披露しています。監督は韓国のチャンさんです。
女性ボクサーが妹を救出するため、グローブを捨ててナックルをはめて裏社会を牛耳る犯罪組織に戦いを挑むという内容で、ハードなアクションが売りの作品です。
珍しい座組の作品ですが、今後こういう共同制作の事例をどんどん増やしていくべきですね。これまでの既存の作品とは異なるものが生まれるでしょうし、積極的に海外市場を狙っていくためにも、国際共同製作は必要だと思います。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
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Point3つ
作品について、それぞれの人から紹介
撮影秘話も合わせて
国際共同製作についての意見
Intro
ナックルガールがTIFFで上映
作品概要
カカオの人気WEBコミック日韓共同作品はじめてAmazon。新しい作品を生み出した
ボクサーが妹を助けるために裏社会に乗り込む。
日韓共同製作でAmazon Primeで世界に配信。
国際色豊かな企画の裏側を語ってくれた。
三吉:参加するのが4年ぶり。8~9年ぐらい前が最後。『ナックルガール』日韓共同製作。世界中から映画祭に参加者がいて色々な交流ができて楽しかった
チャン前回「君が描く光」で出品
チャン:東京国際映画祭の雰囲気がだいぶ変わった。レッドカーペット独創的に感じた。再び戻ってこれてうれしい
– Body1作品について、撮影秘話
三吉:今見ても誰なんだろうという感じ。去年まで撮影。半年ぐらいボクシングとアクションのトレーニングをした。なるべくワイヤーアクションもキャスト本人ができるとこまでやった。すごく自分自身も新しい境地を踏み出せた。
プロに見えるまで練習
三吉:はじめてボクシングにふれた。フォームを構えるところから一つ一つ、準備していった。基礎から。繰り返し練習した。
チャン:初めて会ったときに、強調したのはボクシングが身体にしみこんでいるようにしてほしいとお願いした。もちろん、ボクシングのトレーニングによって基礎を身に着けるのも大事。アクションの過程で怪我をしてしまうかもしれないから、ちゃんとトレーニングをしてほしいといった。契約前から三吉さんはトレーニングに励んでくれた。
三吉:はじめはボクシングをしみこませていった。神谷からケンカっぽい、ストリートファイターのようなものを教えてもらうシーンや相手が強いシーンに挑んでいくことが多かった。なるべく、本人と一緒に練習できるように、韓国チーム日本チームともに協力してくれた。珍しい体験で、ありがたかった。
トーマス:私たちはまず、キャスティングを考えたときにいろんな俳優を検討した。そこで、三吉さんの演技を初めて見て、この人だと思った。この女優だったら難しい演技もこなせると思った。日本に三吉さんに会いに来た。直観が当たったと思った。
驚いたのは、実際会ったときにまず圧倒的なビジュアルに驚いた。アクション演技への情熱を感じられた。この女優だったら、希望する役柄をしっかりこなしてくれると思った。主人公に適していると思った。
また、はげしいトレーニングをこなしてくれて感動した。プロとしてやってくれてリスペクトする気持ちが湧いた。私たちの映画がうまくいくと確信した。
石坂:主役のプレッシャー、アクションのプレッシャーを受けながら、こういうキャラクターと決めてやっている。監督に違うと言われてもスッと受け入れて、肝が据わっていると思った。
Body2国際共同製作についての意見
ナックルガール、映画化のきっかけ
トーマス:ナックルガールは韓国でとても有名なウェブトゥーン。この漫画を観てどの国でもストーリーテリングが可能だとおもった。アマプラが女性主人公の物語を話していると聞いた。アマプラと話をしてプロジェクトを進めることにした。
アクション映画なので予算も規模も大きいプロジェクト。日本ではたしてこの規模の作品ができるのか、女性主人公のものがつくれるのか不安だったが、アマプラが良い判断をしてくれた。映画づくり中も危機があったが、多くの方が支援してくれた。本日無事お披露目することもできた。
チャン監督起用の経緯
トーマス:
チャン監督はアクションやヒューマンが得意。快く引き受けてくれた。「日本語で撮影をする映画」と説明をしたら、それでも快くやってみたいと言ってくれた。さらに「日本語をできるか?」と質問をしたら、できない。と言っていた。演出が可能かしんぱいになったが、コミュニケーション能力が高く繊細な演出も可能だと思った
チャン:
個人的に話をいただいてとてもワクワクした。海外のプロジェクトに拒否感はない。未知のところにチャレンジするのはワクワクする。似た価値観を持っているので、一緒に映画を作り上げていくことにとてもワクワクした。エネルギーが引き上げられるような感覚・刺激を感じた。
ロケは日本、出演者も日本、裏方が韓国 棲み分けはどうしたのか。
トーマス:
制作の立場から考えるとどのスタッフをプロジェクトに参加させるか。私たちはインドのプロジェクトの経験があるので、ある程度実績がある。監督が韓国人なのでサポートする人が重要だった。撮影監督と監督は切っても切れない監督。日本の撮影監督を使うと言われたときは驚いた。
色々なコミュニケーションの壁もあるが日本人の撮影監督とはどうだったか。
チャン:
コミュニケーションについて話すと、私たちの現場で通訳を務めてくれた人が映画の知識がある人だった。そこはとても重要なポイントだった。撮影照明美術監督を日本でキャスティングした理由は、日本の情緒をよく知っているわけではないので、スタッフのサポートが必要だと感じた。日本のスタッフの感性が必要だと思った。石坂監督の作品は観たことがあるものが多かった。ロケハンのスケッチをお願いして、美術監督もいいなと思った。
方法さえ見つければできないとはないと思った。
トーマス:
補足すると、チャン監督がこういう心構えで撮影してくれたので、適任者だと思った。前向きで現実的なところがある。言語も文化も違うが、チャン監督ならではの長所があったので、本作を無事に撮影できたと思う。
チャン監督とやってみて
石坂:国をまたいで映画をつくると問題が起こりがち。当たり前を壊していく必要がある。お互いのすり合わせが必要だが、チャン監督がこちらの事情を受け入れてくれる人だと思った。すごくやりやすかった。
日韓の違い
チャン監督:ナーバスになりかねないが、共に研究していくべきものでもあると思う。日本のスタッフは慎重でこまやか。日本のスタッフの皆さんの誠実さに感動を覚えた。ですが、ここには問題点もある。ただ、なにか現場で予期せぬことが起こったときに対処する対応力については韓国のスタッフの方が長けていると感じた。そこで私は今回の作業を通じて大きな可能性を感じた。韓国の推進力と日本の精巧なモノづくりの姿勢がうまく交われば、ハリウッドを超えるいい合作が作れると思いました。これからも交流していきましょう!
石坂:どういう変更をするかその場で判断できる。バランスが難しいときもあると感じた。
日韓がタッグを組むメリット
チャン:
先ほど答えましたよ。異なる長所短所を言いましょうか。これまでの歴史を振り返ると合作プログラムは意外と多く作られている。「レオン」のような映画も合作。合作映画がつくられる際に最も労力を使うのは、シナリオの開発。シナリオがどの国の人が見ても、ユニバーサルに受け入れられれば、合作にどんどんチャレンジしていくことができるだろう。とりわけロマコメ、ファンタジー、アクションは吸収しやすい映画。プログラムを開発したり、投資を共に開発したり、交流が活発になるといいと思う。
トーマス:
私が思うには、ナックルガールのプロジェクトをみると、多くの人が思ったのは、韓国50日本50だと思ったかもしれないが、私は、日本100韓国100で作りたいと思った。
日韓の人が見たときに新しいもののように受け入れてほしいと思った。より新しくこれまでにない映画をつくることがメリットだと思います。
石坂:
最後まで韓国でやって、こんなに近い距離なんだと感じた。国内移動の距離で異文化。違うところでお互い学べることが多い。違いがあるということがいいと思う。当たり前になってしまうのが危険で、常に新しいものがあると得るものが多い。大変だが続けていけるとノウハウがたまっていく。
Body3見どころとメッセージ
『ナックルガール』の見どころ
トーマス:日本映画だけれど日本映画らしくない映画。
石坂:アクション映画だけど、簡単にはスカッとさせてくれない。改めて暴力について考えさせられる。
チャン:僕たちの『ナックルガール』は青春映画です。皆さんアクション映画を観られるときによく登場するエージェントや軍人警察が登場するのではなく20代のボクサーを夢見る女性が主人公の物語。わたしはナックルガールの他のアクション映画との違いは青春映画であること。
三吉:撮影中感じなかったものを、作品を観て感じた。だれひとり完璧な人がいないところが特徴だと思う。主人公を筆頭に、色々なところに感情移入できると思う。人間味が溢れる部分にヒストリーがある。キャラクターそれぞれが色濃く描かれているところに感情移入できる。撮影中はほぼ闘っていてアドレナリンがでまくった。改めて観たときに、闘争心や悔しい気持ちが一歩踏み出す勇気を感じた。
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