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敵役連載で『進撃の巨人』エレンについて書きました

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 『進撃の巨人』のエレンを、アニメ!アニメ!の敵役連載で取り上げました。

 「進撃の巨人」主人公エレンが“人類の敵”となった理由― 人が争うことを止められないメカニズムとは | アニメ!アニメ!

 『進撃の巨人』は、すでに一回この連載で取り上げていて、その時はライナーについて書きました。しかし、この作品は主人公のエレンが最後に人類の敵に回るという点に大きな特徴があるので、最終話の放送が終わった後、エレンも取り上げようとずっと思っていました。ようやく書けた。

 「進撃の巨人」には絶対の正義も悪もない―残酷な世界に翻弄される“鎧の巨人”の苦悩 | アニメ!アニメ!

 敵がいるから人類は結束できるということがかなり執拗に描かれる作品でしたよね。エルディア人とマーレ人が最後に丘の上で和解するのもエレンという脅威が迫っているからだし、そもそもライナー達とアルミン達が手を組めたのも共通してエレンを止めるという目標があったから。

 敵がいないとまとまることができない人類の理不尽さがこれでもかという説得力で描かれているのがこの作品でした。

 物語に敵役が必要なのも、人間のこの性質による部分が結構大きいように思うんですよね。人間って業が深いですね。
 
 
 以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
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Thesis 人類がまとまるには共通の敵が必要か
 
 

point

入れ替わる立場、ライナーたちとエレン側の視点移動

エレンは敢えて悪役になることを選んだのか。それは確かにアルミンたちを結果的に英雄にした

人はいつもまとまるために敵を必要とするのか。。。。アルミンとライナーたちが手を組んだのもエレンという共通の「敵」を止めるため

では、敵をいつも必要とするなら争いはなくならないのか。
 
 

Intro

進撃の巨人のアニメが放送終了を迎えた。

この物語は、人が争いを止められないメカニズムそのものが描かれていたのではないか。

エンドクレジットには、遠い未来に争いがなくなっていない姿を描いていた。これだけの戦闘を経て、多くの悲劇を経験しても人は戦い続けてしまう。

そして、本作の特徴は主人公だったエレンが最後には、人類の敵となり討伐されるという点にある。

この敵となる主人公は珍しい。しかし、ここには人が争いを止められないメカニズムが潜んでいるのではないか。

端的に、人はまとまるために敵を必要とするのではないかと思えるのだ。
 
 

Body1 敵味方の視点が入れ替わる物語

進撃の巨人、第一期のキービジュアルは、超大型巨人を見上げるエレンの背中だった

これが、ファイナルシーズン最初のキービジュアルはライナーに襲い掛かる巨人化したエレンとなっていた。似たような構図で襲う側と襲われる側を入れ替えている。

このマーレ編で、エレンは「ライナー、お前と同じだよ」という。何が同じなのか。

明白に罪のない人々を殺し始めてしまう。

こうして敵と味方の視点が入れ替わることで、この物語は深みを増していく。

敵にも戦う理由があり、家族もあって守っているだけなのがよくわかる。

人はいつも守るために戦う。全ての戦争は防衛戦争であるという言葉もある。

侵略戦争ですら、それは守るための先制攻撃の意味合いで行われる。少なくとも公にはそのように表明される。
 
 

Body2 エレンが敵になることでまとまったアルミン・ライナーたち

エレンは未来も過去も進撃の巨人の能力で観てしまった。

彼には選ぶ選択肢はあったかどうかはさておき、エレンは人類の8割を殺す選択をしてしまう。

このことが、アルミンやライナーたちに手を組ませる。直前まで殺し合っていた者同士が手を組む展開はアツいのだが、この時彼らがどうして手を組んだのか、

それは、エレンという共通の敵を止めるため。人はこうして敵の敵は味方という言葉があるが、人は共通の敵を見つけると結束しやすい。

マーレ人とエルディア人が土壇場で結束したシーンも描かれたが、あれもエレンに追い詰められなければ実現はなかった。

人間は結束するためには、外敵が必要なのか。もしそうだとすれば、必ず外敵が不可欠なため、いつまでも人は争うことを止められないのではないか。

エンドクレジットはそのことを示唆しているとも言える。遠い未来に争い続ける姿が描かれていた。

主人公だったエレンが絶対正義ではなく敵となること。そのことで人が争いを止められないメカニズムを描くことに成功したと言える。

確かにこの物語には必要だった。エレンは仲間を守りたかった。エレンの真意はそのわずかな仲間にだけ明かされて、世界の歴史の中では大虐殺を起こした悪魔として記録されているんだろう。

でも、外敵がいないとまとまれない人間の性質そのものがエレンをあのようにしたとも言えるかもしれない。現実の戦争もそんなことばかりだ。

誰かを外敵にせず、皆が争わずにすむ方法は人間にはないのか。その壮大な問いをなげかけた作品だった。

 
 
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 メモ終わり。

 人類がまとまるために敵を必要とするなら、この世界から争いをなくすことはできないということになりますね。しんどいけど、そのしんどさを正面から受け止めたエンディングは見事だったと思います。
 
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