[PR]

『ゴジラ-1.0』の北米ヒットの重要さについて書きました

[PR]

 シネマズPLUSに、『ゴジラ-1.0』の海外でのヒットが日本映画にとってどのような重要さがあるのかについて、コラムを書きました。

 日本映画の未来に『ゴジラ-1.0』の海外ヒットが極めて重要な理由 | CINEMAS+

 『ゴジラ-1.0』が全米1500スクリーンで公開され、全米ボックスオフィスランキングで初登場3位にランクインしています。アニメ映画以外の日本映画がこのようにヒットすることは極めて異例のこと。これが日本の映画産業にとってどういう意味があるのかについて書きました。

 簡単に結論を書くと、今後市場が人口減少などで縮小する国内の市場だけでは映画産業は持ちません。さらに、映画現場の過重労働・低賃金を是正しないと若い人が入ってきません。しかし、労働環境改善をすれば同じ内容の映画を作っても製作費が上がりますから、より大きく稼ぐ必要があります。なので、海外市場を切り開かないといけない、『ゴジラ-1.0』はそれに成功したということです。

 これに続く日本の実写映画がどんどん出てきて欲しいです。
 
 
 以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
—————
 
 
映適、予算20%くらいアップ

(648) 【 映画界の新しい働き方 】その② 『契約書、スケジュール、予算』【 映適ガイドラインで現場はどう変わったか 】 – YouTube

『ゴジラ-1.0』北米大ヒット&大絶賛の理由とは 日本実写映画の歴代最高記録を樹立|Real Sound|リアルサウンド 映画部

Point3つ

これから日本映画は制作費を上げないといけない

今までの悪循環を断ち切る必要がある

そのためにグローバル市場が必要
 
 
Intro

ゴジラ-1.0が大ヒット。

全米での成績を振り返る。日本の実写映画のみならずアニメを含めても一番のOP成績

非英語作品として歴代2位の成績。

この大ヒットは、今度の日本映画業界にとって大きな一歩、

かならずグローバル市場を必要とするから。
 
 

Body1日本の現場の悪循環

日本の映画は、これまで殆どの作品が国内市場で利益を出そうとしていた。

国内市場ではこの企画はこれぐらいの見込みなので、予算はこれぐらい、それで儲けはこれぐらい、低予算のままで重労働が続き、人材が減っていく、優秀な人材が減っていくから、作品のクオリティが保ちにくくなる、そうすると競争力が落ちるので、ますます制作費が下がる、制作費が下がると魅力的な映画を作りにくくなるので、ますます人気が落ちていく、という悪循環。

労働環境の面からこれを断ち切ろうという動きが出てきている。映適など。

まだまだ不十分だが、問題意識は高くなっている。
 
 
Body2これから制作費を上げる必要性

映適によって、予算は1.3倍、東映いわく

東映、オンラインで第2四半期決算説明会開催 – [文化通信.com]

**Q.映適のガイドライン策定など環境整備が進むなか、製作費の増加、制作期間の長期化といった起こりうる変化と、対応について。和田**

製作費、制作期間ともに従来の120%から130%になると予想している。良質な作品を制作するには、優秀な人材が集まる環境整備が必須。一方でバーチャルプロダクションの導入やその他の施策により作業の効率化を図っていく。良質な作品ができることでマルチユースによる収益拡大が望めるので、必要な取り組みをしていく。

これは、少なくとも映適に対応することで、映画の赤字回避ラインが1.3倍になるということでもある。

現場の予算も20%くらいアップしていると映適のシンポジウムで語られている。

(648) 【 映画界の新しい働き方 】その② 『契約書、スケジュール、予算』【 映適ガイドラインで現場はどう変わったか 】 – YouTube

これは現場の環境を良くしようと思ったら、当然発生するコスト。しかし、コストが上がればそれだけ売上も上げないといけない、

WOWOWの鷲尾さん 『私たちの声』プロデューサーが考える国際共同製作のメリットとは?「才能を世界に紹介する最短の方法」 | Branc(ブラン)-Brand New Creativity-
ハリウッドと比較して言うと、あちらは国を超えて撮影する時はプロダクション側が、現地の学校を手配したりベビーシッターを雇ったり、一切合切面倒を見るんです。それを日本でやるには製作費を上げる必要がありますが、そのためには日本の作品がより大きな市場で売れる必要があると思います。

――国内市場だけではマーケットの上限があり予算を上げられない、環境整備のためにもグローバルマーケットに進出する必要があるわけですね。

私はそう思います。ジェンダー格差問題の他、『私たちの声』に参加したかったもう一つの理由は、日本の才能である呉美保監督と杏さんを世界に紹介する最短の方法だと思ったからです。この作品はアカデミー賞歌曲賞にノミネートしたので、米国では確実に観られていますから監督や女優について気になる人も出てくるでしょう。

「TOKYO VICE」でも、笠松将さんが「あの若いヤクザ役は誰なんだ」と言われるようになり、今は海外で声をかけられることもあるそうです。こうやって日本の才能が世界に知られれば、結果として日本の作品のマーケット拡大にもつながるんじゃないかと思っています。

――国際共同製作は、日本のマーケットを拡げる点でもメリットが大きいんですね。

そうですね。「TOKYO VICE」は、HBO Maxのその年一押しの作品のような扱いで、米国で大きく宣伝されていましたから、日本の俳優さんもその分注目されます。だから、私は自分で発掘した企画であっても国際共同製作の形を取りたいと思って、アメリカの有名なショーランナーや監督にアタッチしてもらえるように交渉します。

さらに、人口減少時代なので、国内市場だどうなるか未知数。普通に考えれば成長するとは考えにくい。チケット代が上がればそれだけ客足も遠のきやすい。
 
 
Body3 グローバル市場の重要性

だからこそ、今グローバル市場への挑戦が求められている。というよりもう必須担っていると考えた方がいいかもしれない。

グローバル市場に進出できれば、今よりも高い売上を期待できるようになるから、制作費も上げられるわけです。

実際に東映アニメーションはそれを実践している。

東映アニメーションの海外戦略:20年以上かけグローバル市場を開拓、制作費増加でクオリティもアップ | Branc(ブラン)-Brand New Creativity-

実際、現在の東映アニメーションの事業を牽引しているのは海外の売上で売上全体の6割になる。グローバル市場にすでに一定のシェアを持っている同社は、映画を作る時も、実写映画とは「原価」のかけ方が異なっていると篠原氏は言う。

**篠原氏は2022年に親会社の東映から東映アニメーションに異動してきたそうだが、現在のアニメ映画の制作費は実写映画とはまるで異なることに驚いたという。一例として、2022年公開の『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』は、日本国内の興行収入は25億円だが、制作費はそれ以上だそうだ。**

多分スラダンはもっとかかっていると思います。あの映像の完成度なので。

それだけ予算を投入したら、国内市場だけなら赤字になるけど、グローバル市場があるので、黒字を作れる

それはクオリティの向上にもつながる。
*「マーケットの視点を変えることでクオリティを上げられる、正のスパイラルが働いている」と東映の人は言う。

ゴジラのヒットはこの正のスパイラルを実写映画でも回すために重要な一歩になれる。

まずはCG大作で活路を開き、日本のコンテンツそのものの価値を高めていくことで、グローバル市場でより戦える作品を増やしていく、そして、市場が広がればお金もよりかけられ、人件費も上げられるので、人材も獲得しやすくなっていく、そのための第一歩として非常に重要。
 
 
—————-
 
 メモ終わり。

 アニメーションの分野では今、製作費が結構上がってきているんですが、それはグローバル市場を開拓できているからです。東映アニメーションのプレゼンで東映の方がそれに言及していました。

 実写でも同じことをするしかないんです。今後はグローバル市場で戦える作品を作らねばなりません。『ゴジラ-1.0』はそれに成功した最初の作品といえるでしょう。
 
関連作品